ベンダーとは「製品を消費者に提供する会社」という意味です。
ビジネスの場ではよく使われる言葉ですが、メーカーやサプライヤーなどとの違いがよくわからない人も多いですよね。
この記事では、ベンダーの意味だけではなく類義語との違いも詳しく解説します。
☆「ベンダー」をざっくり言うと……
英語表記 | ベンダー(vendor) |
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意味 | 製品を消費者に提供する会社 |
語源 | 英単語の “vend” |
類義語 | メーカー サプライヤーなど |
対義語 | ユーザー エンドユーザーなど |
このページの目次
「ベンダー」の意味
製品を消費者に提供する会社
例:彼は有名なベンダーに勤めている。
ベンダーとは、簡単に言えば「売り手」であり、製品やサービスを消費者へ直接販売する会社のことを表します。
特にIT業界で使われることが多く、ソフトウェアやシステム、ハードウェアの機器を販売する会社という意味で使われます。
また、IT業界では製品(つまり、システムやソフトウェア、ハードウェアなど)の開発と販売を両方行う企業が多いです。
そのため、ベンダーが「システムの開発を行う会社」という意味で使われることもあります。
ベンダーは英単語をカタカナ語読みしたものなので「ベンダ」と表記されることもあります。
「ベンダー」の業界ごとの意味
ベンダーは、IT業界以外にも、以下のような業界で使用されます。
- 建築
- 流通
- 食品
- 金融
- 広告
それぞれの業界におけるベンダーの意味を詳しく見ていきましょう。
業界➀:建築
建築業界においてベンダーは、鉄製の素材を曲げるための作業器具を指します。
また、ホテルなどに設置される複数の自動販売機が用意された「ベンダールーム」を表すこともあります。
上記2つのベンダーは「販売業者」という意味のベンダーとは異なる意味なので、使い分けに注意しましょう。
業界➁:流通
流通業界においてベンダーは、仕入れ先や商品の供給先全般のことを指します。
実際に消費者に商品を販売する小売業者が、卸売業者から商品を仕入れる場合、その卸売業者をベンダーと表現します。
通常の業界では、実際に消費者に商品を販売する小売業者をベンダーと表すのが一般的なので注意しましょう。
業界➂:食品
食品業界では、流通業界と同様、仕入れ先や商品の供給先全般のことを表します。
また、自動販売機の自動販売機の運営・設置を行う企業を「ベンダー」や「ベンダー企業」と呼ぶことがあるので使い分けに注意しましょう。
業界➃:広告
広告業界では、「アドテクベンダー」という名称でベンダーが使われます。
アドテクベンダーとは、アドテクノロジーを活用した事業を行う企業のことです。
アドテクノロジーとは「インターネット広告の配信やその最適化に用いる技術」を表す言葉です。
つまり、広告を出すだけではなく、その効果を最大化するための分析や活用を行う企業がアドテクベンダーなのです。
「ベンダー」の使い方
ベンダーは業界ごとに若干意味が異なるので、使い分けに注意が必要です。
また、ベンダーは前や後ろに名詞を付けた形で使われることが多いです。
- そのパソコンは大手ベンダーから購入したものです。
- 中国のベンダーによって、日本企業は苦い思いをしている。
- あのベンダーはベンダーながら、システムの開発も行っている。
「ベンダー」の語源
ベンダーの語源は、「売る」「行商する」という意味の英単語 “vend” です。
ここから「~する人」を意味する “or” を付けて “vendor” という英単語が生まれました。
“vendor” には、以下のような意味があります。
- 売人
- 売主
- 行商人
- 仕入れ先
カタカナ語のベンダーは「売り手である企業」を限定的に表すという点で “vendor” とは異なります。
「ベンダー」の類義語
ベンダーには以下のような類義語があります。
- メーカー
製造業者 - サプライヤー
仕入先・供給元 - 問屋(とんや)
生産者から商品を買い入れて小売業者に卸す業者 - 小売業者
商品を最終消費者に販売する販売業者
「ベンダー」と「メーカー」の違い
メーカーとは、製品を作る会社のことです。
それに対して、ベンダーは製品を売る会社を表すので意味がまったく異なります。
IT業界では製造と販売を1つの会社で行うことも多いため、ベンダーとメーカーが区別されない場合があります。
「ベンダー」と「サプライヤー」の違い
サプライヤーとは、仕入先、供給元、納品業者などの意味を持つ言葉です。
小売業者や製造業者などの企業に対して、さまざまなものを供給する会社です。
ベンダーとサプライヤーには、以下のような違いがあります。
- ベンダー
仕入れた商品を消費者へ販売する - サプライヤー
仕入れた商品を企業へ販売する
つまり、商品を販売する先が、消費者なのか企業なのかという違いがあるのです。
一般の業界では、メーカーが製造した製品をサプライヤーが仕入れ、ベンダーが消費者に販売します。
しかし、IT業界では開発から販売までをすべて行う企業が多いことから、この3つがほぼ同じ意味で使われることもあります。
「ベンダー」の対義語
ベンダーには以下のような対義語があります。
- ユーザー
商品を買って使う人 - エンドユーザー
商品を使う人 - 消費者
商品を買う人 - クライアント
ある製品を実際に使ったり消費したりする人や組織のこと
「ベンダー」の関連語
ベンダーには以下のような関連語があります。
- シングルベンダー
単一企業の製品を取り扱うコンピュータシステム販売業者 - マルチベンダー
複数企業の製品を取り扱うコンピュータシステム販売業者 - ベンダーロックイン
自社の顧客を競合他社に奪われないように自社製品で囲い込むこと - ベンダーコード
どこのベンダーの製品であるかを示すコード - ベンダー資格
特定ベンダーが自社技術の知識や技術を持っている人を認定する民間資格 - ベンダーコントロール
ベンダーに発注する側が開発に必要なリソースを確保すること - ベンダーセントラル
ユーザーがAmazonに商品を納品し、販売してもらう方式 - ベンダープレフィックス
ブラウザでサイトのレイアウトやデザインを決定するプログラムを正しく表示させるための識別子 - ベンダー登録
中小企業がIT技術を導入する際に、補助金が支給される制度 - 開発ベンダー
販売だけではなくIT製品の開発も行うベンダー - パソコンベンダー
パソコンを販売している企業 - ネットワークベンダー
ルーターなどのネットワーク関連の機器を販売している企業 - クラウドベンダー
クラウドサービスを提供している企業
「ベンダー」の代表例
IT業界の中で、有名なベンダーをいくつか紹介します。
- 富士通
- 日立製作所
- NTTデータ
- NEC
- 日本IBM
ベンダーは実際に商品を売っているので、知名度が高いことが特徴です。
「ベンダー」のまとめ
以上、この記事ではベンダーについて解説しました。
英語表記 | ベンダー(vendor) |
---|---|
意味 | 製品を消費者に提供する会社 |
語源 | 英単語の “vend” |
類義語 | メーカー サプライヤーなど |
対義語 | ユーザー エンドユーザーなど |
ベンダーの業界ごとの意味の違いをしっかりと理解しておきましょう。