四字熟語「海千山千(うみせんやません)の意味と使い方:例文付き

言葉

今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「海千山千(うみせんやません)」です。

言葉の意味、使い方、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。

「海千山千」の意味をスッキリ理解!

海千山千(うみせんやません):様々な経験を積み、物事の裏側まで知り尽くしていて、ずる賢いこと

「海千山千」の意味を詳しく

「海千山千」は、「多くの経験を積んで、物事の表も裏も知り尽くしており、ずる賢いこと」「狡猾(こうかつ)なこと、また、そういった人のこと」を表す四字熟語です。

どちらかといえば、マイナスの印象を与える言葉です。

「海に千年山に千年」「海千河千」と表記されることもあります。

「海千山千」は以下のように間違って使われることもあります。

「海千山千」の誤用
  1. 「経験豊富なこと」という意味で用いるのは誤用
  2. 経験の浅い人間に用いるのは間違い
  3. 「かいせんさんせん」「かいせんやません」と読むのは間違い

特に①の誤用には注意しましょう。

確かに「経験豊富な」という意味は含んでいますが、本質はそこではありません。

「海千山千」は「(様々な経験を積んでおり)ずる賢いこと」「とても狡猾(こうかつ)なこと」という意味を表します。

また、「海千山千」では色々な経験を積んでいる必要があるため、たとえずる賢くても経験が少ない若者には用いません。

「海千山千」の使い方

この四字熟語は「ずる賢い」という意味ですから、一筋縄ではいかないような物や、曲者に対して用いることが多いです。

以下に使い方の例を挙げてみましょう。

  1. 海千山千の詐欺師に、多くの財産を騙し取られた。
  2. あの部長は海千山千の曲者(くせもの)だから、用心した方が良い。
  3. 海千山千の商人と交渉しても、時間の無駄だ。

使うときに注意したいのは、先ほども述べたようにこの言葉は相手を褒める言葉ではない、ということです。

相手の駆け引きの巧みさを、皮肉を込めて称える場合などでは褒め言葉として用いられる場合もあります。

しかし、基本的には相手に悪い印象を与える言葉だと覚えておきましょう。

目上の人には使わない方が無難ですね。

「海千山千」の由来

「海千山千」の由来は「海に千年、山に千年住んだ蛇がいれば、その蛇は竜になる」という中国の伝説です。

古来より蛇は世界中で「再生」や「永遠」の象徴とされてきました。もちろん、現実の蛇はそこまで長い間生きられるわけではありません。

しかし、「もしも海に千年間、山に千年間住み続けるような特別な蛇が存在したとすれば、多くのことを経験したその蛇は、竜へと進化する」という言い伝えからこの四字熟語が誕生しました。

 

そのため、もともと「海千山千」は「立派になる」というポジティブな意味の四字熟語でした。

しかし、現在では「ずる賢い」というネガティブな意味で用いられるのがふつうです。

「海千山千」の類義語

海千山千には以下のような類義語があります。

  • 怜悧狡猾(れいりこうかつ):悪賢いこと。
  • 百戦錬磨(ひゃくせんれんま):多くの経験を積んで技術を磨くこと。
  • 千兵万馬(せんぺいまんば):経験豊富でしたたかなこと。
  • 飽経風霜(ほうけいふうそう):世渡り上手で、したたかなこと。
  • 曲者(くせもの):癖があってしたたかな者
  • 老獪(ろうかい):経験を積んでいて悪賢いこと
  • 聡穎(そうえい):才能があって賢明なこと
  • ずる賢い:悪いことによく知恵が回ること
  • したたか:なかなか手ごわいこと

「海千山千」には聞いたことのある人も多い「百戦錬磨」をはじめとして様々な類義語があります。

共通しているのは、「多くの経験を積むことで、技術やしたたかさを身につける」という意味です。

このような意味を含んでいる熟語は、「海千山千」の類義語と言えますね。

「海千山千」と「百戦錬磨」の違い

「百戦錬磨」は「多くの経験を積んで技術を磨く」という意味の四字熟語です。

「海千山千」と「百戦錬磨」には以下のような違いがあります。

  • 海千山千:多くの経験を積んでいてずる賢い
  • 百戦錬磨:多くの経験を積んでいて技術が高い

「百戦錬磨」はネガティブなニュアンスを持つ「海千山千」と違って、「技術が高い」ということを褒める言葉なのです。

「海千山千」と「千軍万馬」の違い

「千軍万馬」は「経験豊富でしたたか」という意味です。

「海千山千」と「千軍万馬」には以下のような違いがあります。

  • 海千山千:多くの経験を積んでいてずる賢い
  • 千軍万馬:多くの経験を積んでいて頼りがいがある

「千軍万馬」は「多くの経験がある」ということを「頼りがいがある」というポジティブなニュアンスでとらえた言葉なのです。

「海千山千」の対義語

海千山千には以下のような対義語があります。

  • 浅学非才(せんがくひさい):知識があまりなく、経験が乏しいこと。
  • 口尚乳臭(こうしょうにゅうしゅう):まだ年が若く、経験が足りないこと。
  • 芋の煮えたも御存じない(いものにえたもごぞんじない):世間知らずな人
  • 世間知らず(せけんしらず):経験が少なくて世間の事情をよく知らない人
  • 非常識(ひじょうしき):常識がないこと
  • 箱入り娘(はこいりむすめ):極力他人と接触させずに育てられた女性のこと
  • 苦労知らず(くろうしらず):世の中の苦労をあまり知らない人
  • ぼんぼん:良家の若い息子

「経験豊富でずる賢い」という意味である「海千山千」の対義語ですから、当然「経験が浅い」「知識が乏しい」といった意味の四字熟語が当てはまります。

「海千山千」の英語訳

海千山千を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • as cunning as Captain Drake
    (ドレイク提督のように老練な)
  • an old fox
    (経験を重ねていてずる賢い)
  • sly dog
    (ずる賢くてたまたま成功しただけの人)
  • shrewd
    (抜け目のない)
  • clever
    (賢い)
  • experienced
    (経験豊富な)
  • have gone through a lot
    (たくさんのことを経験していること)

“as cunning as Captain Drake” の意味

“as cunning as Captain Drake” は「ドライク提督のように老練な」という意味の表現です。

ドレイク提督とは、16世紀のイギリス人海軍提督であるフランシス・ドレイクのことを指しています。

彼はイギリス人として初めて地球を一周した人物であると同時に、当時異常な強さを誇っていたスペインの無敵艦隊(かんたい)を破った人物でもあります。

英語圏ではそんな彼の功績を称えて、日本語の「海千山千」にあたる表現に彼の名前を用いています。

“an old fox” の意味

“an old fox” は「経験を重ねていてずる賢い」という意味です。

“an old fox” は直訳すると「年老いた狐」という意味です。

英語圏にも狐には「ずる賢い」「狡猾」といったイメージがあります。

そのため、「ずる賢い」という意味になっているのです。

“sly dog” の意味

“sly dog” は「ずる賢くて、たまたま成功しただけの人」という意味のスラングです。

直訳すると「ずるい犬」になります。

「海千山千」が持つ「経験豊富」というニュアンスは表せませんが、ずる賢い人のことを表現することができます。

「海千山千」の中国語訳

「海千山千」を中国語に訳すと、次のような表現になります。

  • 老油子lǎo yóu zi)
    (豊富な経験の結果、物事の裏側まで知り尽くしていて、ずる賢いこと)
  • 奸诈狡猾jiān zhà jiǎo huá)
    (ずる賢い)
  • 老奸巨滑 lǎo jiān jù huá)
    (ずる賢い)
「奸诈狡猾」と「老奸巨滑」は「ずる賢い」という意味合いしか持っていません。

そのため、海千山千の正確な中国語訳といえるのは「老油子」ですね。

まとめ

以上、この記事では「海千山千」について解説しました。

読み方海千山千(うみせんやません)
意味経験豊富でずる賢いこと
由来中国に伝わる故事
類義語怜悧狡猾、海千河千、百戦錬磨など
対義語浅学寡聞、口尚乳臭、芋の煮えたも御存じないなど
英語訳as cunning as Captain Drake, an old foxなど

「海千山千」は経験が豊富で熟練しており、一筋縄ではいかないようなものや人物に対して使います。

現在は悪い意味で使われていますが、1つのことに熟練している人物というのは脅威であると同時に頼もしい存在でもありますよね。

ずる賢くなるべきだ、とは言いませんが、何かに熟練し、「これなら負けない」というものを持った人間になりたいものですね。