今回ご紹介する言葉は、熟語の「頓挫(とんざ)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「頓挫」をざっくり言うと……
読み方 | 頓挫(とんざ) |
---|---|
意味 | 勢いが途中で弱くなる、または無くなること。文章などの調子が途中で変わること |
類義語 | 挫折、蹉跌、衰退など |
対義語 | 円滑、順調、貫徹など |
英語訳 | fail(失敗する) |
「頓挫」の意味をスッキリ理解!
「頓挫」の意味を詳しく
「頓挫」には以下のような意味があります。
- 途中で勢いが弱まること、または無くなること
- 文章などの調子が、途中で変わること
- 【医療】痙攣や発作などの症状がおさまる
- 【競馬】馬が試合に出場できなくなること
「頓挫」の意味について、「頓挫」の漢字の意味と一緒に詳しく見ていきましょう。
意味①:途中で勢いが弱まること、または無くなること
「頓挫」の一番メインの意味は、「途中で勢いが弱まること、または無くなること」です。
特に計画や事業が行き詰まることを指します。
たとえば「計画が頓挫する」の場合は計画に問題が起こって立ち消えになったり、勢いが弱くなったりすることを指します。
意味②:文章などの調子が、途中で変わること
「頓挫」には「文章などの調子が、途中で変わること」という意味もあります。
文章だけでなく、スピーチなどの調子についても使うことができます。
ただ「頓挫」と言った時にこの意味になることは少なく、「抑揚頓挫」などの四字熟語の中で使われる意味です。
ちなみに、「抑揚頓挫(よくようとんざ)」は「言葉の調子を変えたり、勢いを急に変えること」という意味です。
意味③:【医療】痙攣や発作などの症状がおさまる
「頓挫」は医療用語としては「痙攣や発作などの症状がおさまる」という意味で用いられます。
この場合の「頓挫」は「予想に反して勢いが弱まる」というニュアンスが強いです。
そのため、「期待通りに症状がおさまった場合に使うのは変だ」と考える人もいます。
正確に意味を伝えたい場合は「おさまる」「止まる」などの表現を用いたほうが無難でしょう。
意味④:【競馬】馬が試合に出場できなくなること
「頓挫」は競馬用語で「馬が試合に出場できなくなること」を表します。
「状態が良好だった馬の調子が急に悪くなる」というニュアンスが強いです。
「頓挫」の漢字の意味
「頓挫」の漢字には以下のような意味があります。
- 頓:急に、にわかに
- 挫:途中で勢いが衰える
2つの漢字で「途中で急に勢いが衰える」という意味を表していることがわかります。
「頓挫」の使い方
- 来週のプレゼンに向けて準備をしていたが、パソコンが壊れてしまい頓挫をきたした。
- その計画は出だしは順調だったが、実現する前に頓挫した。
- 彼が余計なことをしたせいで、せっかくの計画が頓挫した。
上記の例文のように、「頓挫」は以下のような言い回しで用いられることが多いです。
- 頓挫する
- 頓挫をきたす
- 〇〇が頓挫
「頓挫」がつく言葉
「頓挫」がつく言葉には以下のようなものがあげられます。
- 抑揚頓挫
- 沈鬱頓挫
- 一頓挫
- 頓挫薬
それぞれの言葉の意味について詳しく見ていきましょう。
抑揚頓挫
「抑揚頓挫」とは、「言葉の調子を変えたり、勢いを急に変えること」という意味です。
スピーチの様子を表す時に用いられることが多いです。
沈鬱頓挫
「沈鬱頓挫」とは、「文章の内容が奥深いあまり、意味が通じにくく読みにくいこと」です。
難しい文章を読んだ時に用いられることが多い表現です。
一頓挫
「一頓挫」とは、「順調に進んできた物事の勢いが途中で急にくじけること」です。
「頓挫」の意味に「これまで順調に進んできた」というニュアンスが加わります。
「頓挫」の意味を一層強調したい時にも用いられます。
頓挫薬
「頓挫薬」は片頭痛などの治療に用いられる薬です。
頭痛をおさえる作用があります。
頓挫薬には、トリプタン系薬剤などの種類があります。
「頓挫」の類義語
頓挫には以下のような類義語があります。
- 挫折(ざせつ):途中で駄目になること
- 蹉跌(さてつ):つまずくこと
- 衰退(すいたい):おとろえて勢いを失うこと
- 中止(ちゅうし):進行していた事を途中でやめること
- 立ち消え(たちきえ):物事が計画段階などでとりやめになること
- 沙汰止み(さたやみ):命令・計画などが中止になること
- おじゃん:物事が途中でダメになること
- 中倒れ(なかだおれ):計画などが途中でダメになること
- 空中分解(くうちゅうぶんかい):計画などが途中で分裂したりつぶれたりすること
- 水の泡(みずのあわ):努力が無駄になること
- ポシャる:計画などがつぶれてダメになること
- 暗礁(あんしょう)に乗り上げる:思いがけない困難で進行が妨げられること
「頓挫」と「挫折」の違い
「頓挫」と「挫折」には以下のような違いがあります。
- 頓挫:計画などが途中でダメになること
- 挫折:計画などが途中でダメになって意欲や気力を失うこと
「挫折」には「頓挫」の意味に加えて「意欲や気力を失う」というニュアンスが加わるのです。
また、「頓挫」は計画・事業など「モノ」を主語にとることはあっても、人を主語にとることはありません。
一方、「挫折」は「彼女は挫折した」などと、人を主語にとることが多いです。
「頓挫」の対義語
頓挫には以下のような対義語があります。
- 円滑(えんかつ):物事が滞り(とどこおり)なく進むこと
- 順調(じゅんちょう):物事が予定通りによどみなく進む様子
- 貫徹(かんてつ):物事をやりとおすこと
- 完遂(かんすい):完全にやりとげること
- 成就(じょうじゅ):計画通りに成し遂げること
- 成し遂げる:物事を最後までやり通すこと
「頓挫」の英語訳
頓挫を英語に訳すと、次のような表現になります。
- fail
(失敗する) - setback
(後退、挫折) - standstill
(行き詰まり) - frustration
(失敗) - abort
(中止になる)
“setback” と “standstill” は名詞です。
“experience a setback(挫折を経験する)” や “be at a standstill(行き詰まる)” のように動詞と共に使いましょう。
“fail” は「失敗する」という意味です。
「計画などが途中で続けられなくなる」という意味で「頓挫」を使う時には、 “fail” を使用しましょう。
まとめ
以上、この記事では「頓挫」について解説しました。
読み方 | 頓挫(とんざ) |
---|---|
意味 | 勢いが途中で弱くなる、または無くなること。文章などの調子が途中で変わること |
類義語 | 挫折、蹉跌、衰退など |
対義語 | 円滑、順調、貫徹など |
英語訳 | fail(失敗する) |
「頓挫」は、ニュースやビジネスシーンなどで日常的に耳にする言葉です。
意味や使い方等を是非覚えてみてください。