「適宜」の意味とは?使い方から英語や類語や対義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「適宜(てきぎ)」です。

言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「適宜」をざっくり言うと……

読み方適宜(てきぎ)
意味状況に応じてふさわしい行動をとること
語源「ふさわしい」「都合がいい」という意味の漢字から
類義語適時、随時、適切など
対義語常時など
英語訳appropriately

「適宜」の意味をスッキリ理解!

適宜(てきぎ):状況に応じてふさわしい行動をとること

「適宜」の意味を詳しく

「適宜」は、状況に応じてふさわしい行動をとることという意味です。

詳細には、2つの意味に分けることができます。

  1. その状況に応じてふさわしい行動をとるさま
  2. 自分の判断で適していると考える行動をとるさま

それぞれの意味について詳しく見ていきましょう。

「その状況に応じてふさわしい行動をとるさま」の意味

「適宜」の一つ目の意味は、「その状況に応じてふさわしい行動をとるさま」です。

つまり、客観的に見て、「ふさわしい」と思われる行動をすることを表します。

「自分の判断で適していると考える行動をとるさま」の意味

「適宜」の二つ目の意味は、「自分の判断で適していると考える行動をとるさま」です。

一つ目の意味が「客観的に相応な行動をすること」を指すのに対して、二つ目の意味は、「主観的にふさわしいと思う行動をすること」を表すのです。

なお、二つ目の主観的な意味では、「適宜〜してください」「適宜〜することができる」などのように、依頼や許可の表現を伴うことが多いです。

たとえば、「適宜対応しておいて」と上司から頼まれた場合には、自分で何をすべきか考えて対応する必要があるので、二つ目の意味に当てはまります。

 

このように、「適宜」は、「客観的な判断か、主観的な判断か」という観点から、2つの意味に分かれるのです。

ただし、「適宜」は、「適当な」という意味合いで使われることもあります。たとえば料理のレシピなどで使われる「適宜」は、「適当な分量」という意味で使われています。

「適宜」はふさわしいとされる対象が限定されません。

数量や状態など、何に関してもちょうどよく、“ふさわしい” 行動をとることを示します。

「適宜」の使い方

  1. 資料を公開する範囲は適宜変更して参ります。
  2. 適宜ご連絡いただけると幸いです。
  3. お昼休みは適宜とって構いません。
  4. この件の適宜さについて、あらためて検討しませんか。
  5. お湯が沸騰したら、塩を適宜加えましょう。

①②の例文は、「その状況に応じてふさわしい行動をとるさま」という意味で「適宜」が使われています。

③の例文は、「自分の判断で適していると考える行動をとるさま」という意味で用いられています。

 

「適宜」は「適宜〜する」のように、動詞と組み合わせて使うことがほとんどです。

名詞を修飾する場合には、「適宜な」「適宜の」などの形で用いられます。

ただし、「適宜であるかどうか」という尺度を指す場合には、④の例文のように、「適宜さ」と体言化されて表現されることもあります。

⑤の例文は、料理のレシピで、「適当な分量」という意味で使われています。

「適宜」の語源

「適宜」を構成する漢字の意味は、それぞれ以下の通りです。

  • :ふさわしい、当てはまる、たまたま、偶然
  • :よろしい、都合がいい

上記の意味を組み合わせると、「適宜」は場や状況にぴったりあっていることを示します。

ここから、状況に応じてふさわしい行動をとることという意味が推測できます。

「適宜」の類義語

「適宜」には以下のような類義語があります。

  • 適時:それをするのにちょうど良いとき
  • 随時:その時々、好きな時にいつでも
  • 適切:よく当てはまって、ふさわしいこと
  • 適当:ほどよいこと、ちょうどよく合うこと
  • 適正:適当で正当なこと
  • 随意:自由な意志であること
  • 相応:ふさわしいこと
  • ふさわしい:適していること
  • 然るべき:相応であること
  • よしなに:良い具合になるように
  • そぐわしい:相応であること
  • 必要に応じて:必要になったとき、適当に

「適宜」と「適時」の違い

「適宜」と「適時」は、どちらも「ふさわしいこと」を表すときに使われます。

ただし、「ふさわしい対象が何か」という点において、以下のような違いがあります。

  • 適宜:「場や状況」にふさわしい行動をすること
  • 適時:ふさわしい「時」であること

つまり、「適宜」があらゆる面を総合して「ふさわしい」ことを表すのに対して、「適時」は「ふさわしい時間」のみを表すのです。

「適宜」と「適時」の違いとは?読み方から意味や使い分けまで解説

「適宜」と「適当」「適切」の違い

「適宜」と「適当」「適切」も、意味合いが似ている言葉です。

細かいニュアンスの違いは、以下のようにまとめることができます。

「変化に応じる」という意味「主観の判断」という意味副詞の用例
適宜比較的強いありあり
適当・適切比較的弱いなしなし

「適宜」の対義語

「適宜」には以下のような対義語があります。

  • 常時:普段、常に、いつも、どの状況でも

適切な場面だけでなく、常に何かをする必要があるという意味の「常時」が対義語として挙げられます。

「適宜」の英語訳

「適宜」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • appropriate
    (適切な)
  • correctly
    (正確な)
  • properly
    (正確な)
  • as you like
    (好きなように)
  • whatever it suits you
    (それがあなたに都合がよいなら何でも)
  • whenever it suits you
    (それがあなたに都合がよいならいつでも)

「適宜」を英語で表す際には、“apporopriate” を用いて、”as appropriate”と表現する場合が多いです。

以下が例文です。

例文
  • The following exceptions are raised as appropriate.
    (適宜、以下の例外が送出されます。)
  • Please post information appropriately on the website.
    (ウェブサイトに情報を適宜掲載してください。)

なお、“correctly” “properly”は、「適切な」という正確性のニュアンスを含めたいときに使うと良いでしょう。

一方で、“whatever(whenever) it suits you” は、正確性に関係なく、単純に「各自の都合に合わせて行う」という意味合いを表わしたいときに便利な表現です。

まとめ

以上、この記事では「適宜」について解説しました。

読み方適宜(てきぎ)
意味状況に応じてふさわしい行動をとること
語源「ふさわしい」「都合がいい」という意味の漢字から
類義語適時、随時、適切など
対義語常時など
英語訳appropriately

「適宜」はビジネスシーンにおいても日常的に用いられる言葉です。意味を理解して使いこなせるようにしましょう。