今回ご紹介する言葉は、熟語の「端的(たんてき)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「端的」をざっくり言うと……
読み方 | 端的(たんてき) |
---|---|
意味 | 手っ取り早く、はっきりしている様子 |
語源 | 中国語から |
類義語 | 明白、明瞭、簡潔など |
対義語 | 迂遠、婉曲、遠回しなど |
英語訳 | clear(明快)など |
「端的」の意味をスッキリ理解!
「端的」の意味を詳しく
「端的」の意味には、以下の4つがあります。
- はっきりしていて、明確にそれとわかる様子
- たちどころに何かが起こる様子
- 手っ取り早く要点だけをとらえる様子
- 物事の本質
③がメインの意味ですが、①や②で使うことも多くあります。④は限られた状況でしか使われません。また、①〜③は形容動詞の「端的」が持つ意味であるのに対し、④は名詞としての「端的」が持つ意味になります。
それでは、それぞれの意味を確認していきましょう。
意味①:はっきりしていて、明確にそれとわかる様子
「端的」の1つめの意味は、「はっきりしていて、明確にそれとわかる様子」です。
たとえば、肌荒れの原因が明らかに生活習慣の乱れだという場合に「肌荒れは、生活習慣が乱れている端的な現れだ」などと言います。
「端的」の中では最もベーシックな意味で、名詞としての「端的」の意味にも近いです。ただし、意味③と区別がつきにくいため、文脈からの判断が必要になります。
意味②:たちどころに何かが起こる様子
「端的」の2つめの意味は、「たちどころに何かが起こる様子」です。
これは意味①の派生で捉えるとわかりやすいです。「目の前ではっきりとわかるほどに物事が変化している」というような意味合いです。
たとえば、税率を下げたらいきなり株価が上がった、と言いたい場合には、「税率を下げたら、株価が端的に上がった」などと言います。
意味③:手っ取り早く要点だけをとらえる様子
「端的」で一番メインの意味は「手っ取り早く要点だけをとらえる様子」です。
「端的に言うと」「端的にまとめると」など、意味①と意味③を包含した形で使われることが非常に多いです。
たとえば、相手が冗長に説明していることを指摘したい場合には、「もっと端的に言ってほしい」などと要求します。
意味④:物事の本質
「端的」の4つめの意味は「物事の本質」です。
これは主に仏教用語などで使われる用法で、あまりメジャーな使い方ではありません。
「端的」の使い方
「端的」は、以下のような言い回しでよく使われます。
- 端的に言うと
- 端的にまとめると
- 端的に表すと
- 端的でわかりやすい
- 端的な文章
- 短く端的に
- 端的すぎる
それでは、それぞれの言い回しについて、例文と一緒に見ていきましょう。
「端的に言うと」の使い方
「端的に言うと」は、手短にはっきり言うと、という意味合いで使われます。
非常によく見る言い回しです。相手に言いにくいことを言うときの前置きとしても使われます。
「端的にまとめると」の使い方
「端的にまとめると」は、要点をまとめると、という意味合いで使われます。
ある程度込み入った物事の結論をスパッとまとめるときに、前置きとしてよく使われるフレーズです。
「端的でわかりやすい」の使い方
「端的でわかりやすい」は、余分な説明などがなく理解しやすい、という意味です。
ビジネスシーンでも日常会話でもよく出てくる褒め言葉です。
「端的な文章」の使い方
「端的な文章」は、要点だけを手短に書いている文章、という意味合いで使われます。
「短く端的に」の使い方
「短く端的に」は、とにかく要点を手短に、という意味です。
「短く端的にまとめてください」と指示を出す形でよく使われます。
「端的すぎる」の使い方
「端的すぎる」は、あまりにも手短すぎてその他の情報が抜け落ちている、という意味合いで使われます。
その他の言い回しはおおむねポジティブな意味ですが、この言い回しのみ、批判的な意味合いが強いです。
「端的」の語源
「端的」は、もともとは中国の言葉で、仏教用語でも俗語でもありました。それが日本に流入し、一般的な言葉として使われ始めました。
「端的」を漢字に分解すると、以下のような意味になります。
- 端:まっすぐで偏らない
- 的:明らかな目標
「端」の字は、以下の2つの成り立ちから、「まっすぐで偏らない」という意味を持つようになりました。
- 音:「全て、端から端まで」という意味を持つtmという音がtam、タンと変化した
- 形:「立つ人」と「巫女」が合わさって端という漢字になった。儀式が行われる場所での定まった立ち位置のことを意味している
- 端正:整っていること
- 異端:普通から大きく外れていること
「端的」の類義語
端的には以下のような類義語があります。
- 明白:はっきりとしていて、疑う余地がないこと
- 明快:明らかでわかりやすいこと
- 明瞭:不明なところがなく、はっきりしていること
- 明晰:明らかではっきりしていること
- 簡潔:手短ですっきりしていること
- 簡明:簡単で、はっきりしていること。簡単明瞭とも
- 手短:短くまとまっていること
- 平明:わかりやすく、はっきりしていること
- 率直:ありのままに、素直であること
- 正確:正しいこと
- クリア:明白なこと
「端的」と「明白」の違い
「明白」は「はっきりとしていて、疑う余地がないこと」という意味です。
「端的」と「明白」には以下のような違いがあります。
- 端的:要点がまとまっており、はっきりしていること
- 明白:疑う余地がなく、はっきりしていること
「端的」と「明快」の違い
「明快」は「明らかでわかりやすいこと」という意味です。
「端的」と「明快」には以下のような違いがあります。
- 端的:明らかでわかりやすいこと、要点だけがまとまっていること
- 明快:明らかでわかりやすいこと
「端的」と「明瞭」の違い
「明瞭」は「不明なところがなく、はっきりしていること」という意味です。
「端的」と「明瞭」には以下のような違いがあります。
- 端的:余分な点がなく、はっきりしていること
- 明瞭:不明なところがなく、はっきりしていること
「端的」と「簡潔」の違い
「簡潔」は「手短ですっきりしていること」という意味です。
「端的」と「簡潔」には以下のような違いがあります。
- 端的:短くすっきりしており、要点がとらえられていること
- 簡潔:短くはっきりしていて、表現も簡単なこと
関連語:「端的」と「簡単」の違い
「簡単」は「単純でわかりやすい」という意味です。
「端的」と「簡単」には以下のような違いがあります。
- 端的:短くすっきりしており、理解しやすいこと
- 簡単:短く単純でわかりやすいこと
言い方は「端的」であっても、内容は「簡単」ではないこともあります。
「端的」の対義語
端的には以下のような対義語があります。
「端的」の英語訳
端的を英語に訳すと、次のような表現になります。
- clear
(明快) - plainly speaking
(要するに) - straightforward
(率直に) - direct
(直接) - speak frankly
(ざっくり言うと)
まとめ
以上、この記事では「端的」について解説しました。
読み方 | 端的(たんてき) |
---|---|
意味 | 手っ取り早く、はっきりしている様子 |
語源 | 中国語から |
類義語 | 明白、明瞭、簡潔など |
対義語 | 迂遠、婉曲、遠回しなど |
英語訳 | clear(明快)など |
ビジネスにおいて非常によく使われる言葉です。