今回のシュールとは「現実離れしたようす・日常では見ない奇妙な状態」という意味です。
シュールは、日常生活でもよく使われますが、間違った意味で使われやすい言葉でもあります。
この記事では、シュールの意味を由来にさかのぼって詳しく解説します。
☆「シュール」をざっくり言うと……
英語表記 | シュール(surreal) |
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意味 | 現実離れしたようす・日常では見ない奇妙な状態 |
語源 | 「超現実主義」という意味のフランス語フランス語の “surréalisme” |
類義語 | 超現実主義 奇抜 など |
対義語 | 現実的 写実的 など |
このページの目次
「シュール」の意味
現実離れしたようす・日常では見ない奇妙な状態
例:火曜に見た話題作はシュールな映画だった。
「現実離れしたようす」の中でも、特に以下のようなようすを表します。
- 現実では起こらないこと
- 現実をありえない形で皮肉ったもの
- 実際に起きてはいるが非日常的な光景
また、現代では、単純に非現実的なようすだけではなく、難解でありながら、ユニークであるもの、個性的なものを表す際に使われる言葉です。
「失笑を誘うようなもの」というニュアンスで使われることも多くなっており、本来のシュールの意味から、意味合いが拡大しています。
また、「高度で芸術的である」というニュアンスで使われることもあります。
「シュール」の具体例
「お笑い」を具体例に挙げて、シュールの意味を詳しく解説します。
非現実的な設定のコントを「シュールなコント」だと表現できます。
これは、コントの設定が「現実離れしている」という意味でシュールが使われています。
また、コンビ揃ってひたすらボケ続けることで笑いをとる漫才を「シュールだ」と表現できます。
ボケとツッコミという王道な形ではない「奇妙で変わっているようす」を「シュールだ」と表しているのです。
さらに、「シュールな笑い」と言った場合、単に「現実離れした難解な笑い」という意味ではなく、「高度で芸術的でさえある笑いの取り方だ」というニュアンスを含むことがあります。
また、「シュールな笑い」と言うときは、大爆笑ではなくクスクスとつい笑ってしまうような面白さを表現しています。
「シュール」の使い方
シュールは物事や言動、体験のようすが「超現実的で、不条理で、奇抜で、難解である」というときに使われます。
シュールは形容動詞ですので「シュールだ」「シュールな○○」という形でよく使われます。
- 彼が学園祭で披露した漫才は、かなりシュールだった。
- 今年のアカデミー賞作品は、シュールな世界観が人気だ。
- 昨日見た映像はシュールすぎてついていけなかった。
「シュール」の語源
シュールの語源はフランス語の “surréalisme” です。
フランス語の “surréalisme” は、超現実主義という意味です。
1920年代にフランスでおこった芸術運動の名前として使われ始めた言葉です。
この芸術運動の流れでは「現実ではなく夢の中にいるような独特の現実感」を持つ作品が多く創作されたことが特徴です。
超現実主義の「超」は「とても」という強調表現ではなく、「超える」という意味で使われています。
つまり、超現実主義は「現実を超える」という意味の言葉であり、あくまで「非現実的」ではないという点に注意が必要です。
しかし、カタカナ語の「シュール」では、「非現実的」というニュアンスが強くなっています。
「シュール」の関連語
シュールの関連語には、以下のようなものがあります。
- シュルレアリスム
1920年代におこった芸術運動 - シュルレアリスト
シュルレアリスムの芸術家や思想を実践する人
「シュルレアリスム」の意味
語源の項でも述べたように、シュルレアリスムとは、1920年代にフランスでおこった芸術運動を表す言葉です。
一般に、サルバドール=ダリの『記憶の固執』という絵画が、シュルレアリスムの代表作として知られています。
[出典:サルバドール・ダリ]
ダリの絵画は、フロイトの精神分析の手法にも大きな影響を受けていました。
ダリは、フロイトの理論で重要になる「無意識」の概念を受けて「意識下の世界を客観的に表現すること」を主軸としていました。
つまりシュルレアリスムは、あくまで「超現実主義」であり、決して「非現実主義」ではなかったのです。
シュルレアリストは、「シュールレアリスム」「シュールレアリズム」「シュールリアリズム」などと表記されることがあります。
「シュール」の類義語
シュールには以下のような類義語があります。
- 超現実的
現実からかけ離れているようす - 奇抜
きわめて風変わりで、人の意表をつくこと - 難解
分かりにくくて難しいこと - 奇妙
珍しく、不思議なこと - 不条理
筋道が通らないこと
「シュール」の対義語
シュールには以下のような対義語があります。
- 現実的
現実のものであるさま・現実に即しているさま - 写実的
現実を、主観をまじえずありのままに表現しようとするさま - 平凡
特に優れている点や変わった点がなく、当たり前であること - ありきたり
珍しくないこと - 月並み
ありふれていて新鮮味がないこと
「シュール」のその他の意味
シュールという言葉は以下のような形で使われています。
- シュールストレミング
塩漬けにして発酵させたニシンの缶詰
「シュールストレミング」の意味
「シュールストレミング」は塩漬けにして発酵させたニシンを缶詰にしたスウェーデンの伝統的な珍味です。
「世界一臭い食品」として有名な缶詰です。
「シュールストレミング」の「シュール(sur)」はスウェーデン語で「酸っぱい」という意味の単語です。
「超現実的」という意味のカタカナ語である「シュール」とは、まったく関係無い意味です。
「シュール」のまとめ
以上、この記事ではシュールについて解説しました。
英語表記 | シュール(surreal) |
---|---|
意味 | 現実離れしたようす・日常では見ない奇妙な状態 |
語源 | 「超現実主義」という意味のフランス語フランス語の “surréalisme” |
類義語 | 超現実主義 奇抜 など |
対義語 | 現実的 写実的 など |
シュールには、非常に広い意味があることがわかりましたね。