雪辱とは「受けた恥や汚名を払うこと」という意味です。
「雪辱を果たす」か「雪辱を晴らす」なのか迷っている方も多いのではないでしょうか。
また、なぜ雪という漢字が使われているのか気になりますよね。
そこで、この記事では雪辱の意味から使い方まで詳しく解説します。
☆「雪辱」をざっくり言うと……
読み方 | 雪辱(せつじょく) |
---|---|
意味 | 受けた恥や汚名を払うこと |
語源 | 雪:洗い清める。すすぐ。ぬぐう 辱:恥。名誉が傷つく |
類義語 | 仕返し しっぺ返し 報復など |
対義語 | 屈辱 汚辱 侮辱など |
英語訳 | revenge (復讐) retaliate (報復) avenge (仕返しをする)など |
「雪辱」の意味
受けた恥や汚名を払うこと
例:今年の大会で雪辱を果たした。
雪辱は、「受けた恥や汚名をぬぐい消すこと」という意味です。
主に、競技で負けたことのある相手に勝つことで、恥や汚名をぬぐい消すことを表します。
「雪辱」の使い方
雪辱の使い方を、よくある言い回しと一緒に見ていきましょう。
- 雪辱する
例:悔しさをバネに、絶対に雪辱してみせる。 - 雪辱を果たす
例:昨年負けた相手に、今年の大会で雪辱を果たした。 - 雪辱を遂げる
例:彼女は努力の末、雪辱を遂げた。 - 雪辱を誓う
例:雪辱を誓い、4年後のオリンピックに向けて練習を重ねる。 - 雪辱を目指す
例:雪辱を目指して日々のトレーニングに励む。 - 雪辱に燃える
例:見下していた相手に負かされて、彼は雪辱に燃えている。 - 雪辱を期す
例:雪辱を期したいのはみんな同じだ。 - 雪辱戦
例:明日は彼にとっての雪辱戦だ。 - 雪辱の日
けれども、その雪辱の日は、なかなかに来なかった。
[出典:太宰治『古典風』]
「雪辱」の誤用
「雪辱」の誤用に、「雪辱を晴らす」があります。
「晴らす」は、「不快な気持を取り去る」という意味です。
雪辱は「受けた恥や汚名を払うこと」という意味ですので、「雪辱を晴らす」は重複表現になります。
しかし、文化庁による「国語に関する世論調査」では、以下のような結果がみられました。
(2010年度) | (2019年度) | |
---|---|---|
「雪辱を果たす」を使う人 (本来の言い方とされる) | 43.3% | 38.3% |
「雪辱を晴らす」を使う人 (本来の言い方ではない) | 43.9% | 50.5% |
「前に負けた相手に勝つこと」を表現する時に、本来の言い方ではない「雪辱を晴らす」を使用する人が増加していることがわかります。
これは、以下のような語と混同したためだとされています。
- 屈辱を晴らす
- 恨みを晴らす
- 疑いを晴らす
- 濡れ衣(ぬれぎぬ)を晴らす
また、「汚名を晴らす」も誤用です。
「雪辱」の語源
雪辱には、それぞれ以下のような意味があります。
- 雪
洗い清める。すすぐ。ぬぐう - 辱
恥。名誉が傷つく
つまり、雪辱は「恥を洗い清める」ことから、「受けた恥や汚名をぬぐい消すこと」という意味をもつのです。
「辱を雪ぐ」を用いた語
雪辱は、漢文で「辱(はじ)を雪(すす)ぐ」と書き下します。
「辱を雪ぐ」を用いた語に、「石淋(せきりん)の味を嘗めて会稽(かいけい)の恥を雪ぐ」があります。
「石淋の味を嘗めて会稽の恥を雪ぐ」は、「屈辱に耐えて、復讐すること」という意味です。
古代中国で囚われの身となった越(えつ)の王・勾践(こうせん)が、呉(ご)の国に負けて恥ずかしい思いをさせられましたが、努力を重ねて呉を討ったことから生まれました。
省略して、「会稽の恥を雪ぐ」とも表記します。
「雪辱」の類義語
雪辱には以下のような類義語があります。
- 仕返し
不当な酷い仕打ちを受けた人が、相手にやり返すこと - しっぺ返し
すぐに仕返しをすること - 報復(ほうふく)
仕返しをすること - 仇討ち(あだうち/かたきうち)
①江戸時代に公認されていた、親兄弟を殺した者を討ち取ること
②仕返しをすること - 復讐(ふくしゅう)
仕返しをすること - 復仇(ふっきゅう)
仇(かたき)を取ること - 返報(へんぽう)
①人がしてくれたことに報いること
②仕打ちに対して仕返しをすること - 返礼(へんれい)
①人がしてくれたことに報いること。また、その品物。
②恨みを返すこと - リベンジ
仕返しをすること - リターンマッチ
ボクシングなどで、タイトルを奪われた前チャンピオンが新チャンピオンに挑戦する試合 - 一矢を報いる(いっしをむくいる)
少しでも相手に仕返しをすること - 汚名返上(おめいへんじょう)
新しい成果をあげ、悪い評判を取り除くこと - 名誉挽回(めいよばんかい)
失った信用や評価を取り戻すこと
「雪辱」の対義語
雪辱には以下のような対義語があります。
- 屈辱(くつじょく)
①屈服させられて、恥ずかしい思いをさせられること
②屈服させられている恥のこと - 汚辱(おじょく)
①相手を軽んじ、恥ずかしい思いをさせること
②恥ずかしい思いをさせられた恥のこと - 侮辱(ぶじょく)
相手を軽んじ、恥ずかしい思いをさせること - 恥辱(ちじょく)
体裁や名誉などを傷つけること - 辱める(はずかしめる)
①恥をかかせること
②地位や名誉などを傷つけること
③暴力で女性を犯すこと - 赤っ恥(あかっぱじ)
ひどく恥ずかしい思いをすること - 不名誉(ふめいよ)
社会的評価を悪くするような、恥ずかしいこと
雪辱は「受けた恥や汚名を払うこと」という意味ですので、「恥ずかしい思いをさせられること」というニュアンスの言葉が対義語になります。
「雪辱」の英語訳
雪辱を英語に訳すと、次のような表現になります。
- revenge
(復讐) - retaliate
(報復) - avenge
(仕返しをする) - clear the stigma
(汚名を返上する) - get back at
(やり返す) - get even with
(仕返しをする)
英語の “revenge” は、雪辱の英語訳には適しません。
なぜなら、カタカナ語のリベンジと異なり、被害者の仇を取るような深い憎しみが込められているからです。
「雪辱」のまとめ
以上、この記事では雪辱について解説しました。
読み方 | 雪辱(せつじょく) |
---|---|
意味 | 受けた恥や汚名を払うこと |
語源 | 雪:洗い清める。すすぐ。ぬぐう 辱:恥。名誉が傷つく |
類義語 | 仕返し しっぺ返し 報復など |
対義語 | 屈辱 汚辱 侮辱など |
英語訳 | revenge (復讐) retaliate (報復) avenge (仕返しをする)など |
長い人生、一度も負けたことがないという人はいないのではないのでしょうか。
努力を重ね、雪辱を果たすことが出来ると良いですね。