今回ご紹介する言葉は、熟語の「先般(せんぱん)」です。
言葉の意味・使い方・注意点・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「先般」をざっくり言うと……
読み方 | 先般(せんぱん) |
---|---|
意味 | さきごろ。このあいだ。 |
語源 | 「現在からそう遠くない過去。以前。」と「ある局面。回。」という意味の漢字から |
類義語 | 過日、先日、先程など |
対義語 | 今般など |
英語訳 | the other day、some time ago(先般)など |
このページの目次
「先般」の意味をスッキリ理解!
「先般」の意味を詳しく
「先般」とは、「さきごろ、このあいだ」という意味の言葉です。
現在からみてそれほど遠くはない過去のことを指しています。具体的な日時を指すものではなく、何日前というようなはっきりとした定義もありません。
基本的には、数日〜数週間ほど前のこと、長くても1ヶ月前の出来事のことを指します。
したがって、その出来事があった正確な日にちを覚えてない場合などに「先般」は広く使用することができます。
「先般」の使い方
「先般」は改まった表現であるため、ビジネスシーンにおいて使われることが多く、日常生活で使うことは滅多にありません。
口頭で用いるとやや堅苦しい印象を与えてしまいます。
日常会話では、「この間」や「この前」という表現が一般的です。
また、「先般」は名詞的に使われる場合と、副詞的に使われる場合があります。
名詞的に使われる場合の使い方
「先般」を名詞的に使う時には、以下のような言い回しで用いられることが多いです。
- 先般は
- 先般より
- 先般の〇〇
そして、名詞的用法の例文は以下の通りです。
- 先般は大変ご迷惑をおかけいたしました。
- 先般の会議での決定事項を、ご報告いたします。
副詞的に使われる場合の使い方
「先般」を副詞的に使う時には、以下のような言い回しで用いられることが多いです。
- 先般〇〇した
- 先般〇〇された
副詞的用法の例文は以下の通りです。
- 先般お送りした書類の提出期日は明日までとなっております。
- 先般開催された品評会で、新製品に対して大変高い評価をいただきました。
「先般来」の使い方
「先般来」とは「先日からずっと」という意味です。
- 先般来頼んでいるが、一向に原稿の修正をやってくれそうにない。
- 先般来進めている事業を今回の不況で休止する決断をした。
「先般」の使い方の注意点
「先般」には以下のような使い方の注意点があります。
- 日常生活で用いるのは不自然
- 具体的な日付がわかる場合は用いない
- 社内で用いるにはややフォーマルすぎる
それぞれの注意点について詳しく見ていきましょう。
注意点①:日常生活で用いるのは不自然
「先般」は敬語ではないものの、堅い場面で用いられる表現です。
そのため、友達同士や家族との会話で用いるのは不自然と言えます。
「先般」を用いるのは公の改まった場だけにし、日常生活では「この間」などの表現で代用しましょう。
注意点②:具体的な日付がわかる場合は用いない
「先般」は具体的な日付がわかる場合は基本的に用いない言葉です。
「先般」が何を指すのか自分と相手の間に共通認識があれば問題ありません。
しかし、いらぬ誤解を招かないためにも、具体的な日付がわかる場合には「15日の会議の件ですが」などと具体的な日付を書いたほうが良いでしょう。
「先般の会議」としてしまうと、どの会議か相手がわからない場合もあります。
注意点③:社内で用いるにはややフォーマルすぎる
「先般」は社内で用いるにはややフォーマルすぎる表現と言えます。
社内ではもう少しやわらかな印象がある「先日」などを用いると良いでしょう。
「先般」は基本的に取引先など社外の人とのやり取りで用いるようにしましょう。
「先般」の語源
「先般」を構成する漢字の意味は、それぞれ以下の通りです。
- 先:現在からそう遠くない過去。以前
- 般:ある局面。回
上記のそれぞれの漢字の意味からも、過去のある時を表す言葉であると推測することができます。
「先般」の類義語
「先般」には以下のような類義語があります。
「先般」と「過日」の違い
「過日」は「過ぎた日」という意味です。
「先般」と「過日」には以下のような違いがあります。
- 先般:思い出せる範囲の「近い」過去ことを指す
- 過日:「遠い」過去のことを指す
「先般」と「過日」では指している過去の範囲が異なるのです。
そのため、数日前から数週間の出来事に対しては「先般」、何ヶ月も前のことに対しては「過日」を用い使い分けましょう。
「先般」と「先日」の違い
「先日」は「近い過去のある日」という意味です。
「先般」と「先日」には以下のような違いがあります。
- 先般:近い過去の出来事を指す
- 先日:近い過去の日にちを指す
「先般」が「出来事」を指すのに対して、「先日」は「日にち」を指すのです。
また、「先般」は「先日」よりもかしこまった表現です。
ビジネス場面では文章でやり取りをする時には「先般」、口頭でやり取りする時には「先日」が用いられることが多いでしょう。
「先般」と「先程」の違い
「先程」は「少し前」という意味です。
「先般」と「先程」には以下のような違いがあります。
- 先般:日付をまたいだ場合に用いる
- 先程:その日の間にあった場合に用いる
「先程」が当日にあったかなり近い過去を指すのに対して、「先般」は日付をまたいだ比較的遠い過去を指すのです。
「先般」の対義語
「先般」には以下のような対義語があります。
- 今般:このたび。今回
また、現在進行中の物事に対しても使用することができます。
例文は以下の通りです。
- 今般の協議の結果について、メールでお送りいたしました。
「先般」の英語訳
「先般」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- the other day
(先日) - some time ago
(先般) - a few days ago
(この間) - not long ago
(少し前) - a while ago
(少し前) - just a few minutes ago
(数分前)
- I told you in the meeting the other day.
(先般の会議でお伝えしました。) - I received those documents some time ago.
(私はその書類を先般受け取りました。)
まとめ
以上、この記事では「先般」について解説しました。
読み方 | 先般(せんぱん) |
---|---|
意味 | さきごろ。このあいだ。 |
語源 | 「現在からそう遠くない過去。以前。」と「ある局面。回。」という意味の漢字から |
類義語 | 過日、先日、先程など |
対義語 | 今般など |
英語訳 | the other day、some time ago(先般)など |
本文中にもあるように、「先般」はかしこまった表現であるため、日常会話では使いません。
ビジネスシーンで使う表現だからこそ間違った表現で使うことのないよう類義語とのニュアンスの違いに注意して覚えましょう。