今回ご紹介する言葉は、ことわざの「鬼の霍乱(かくらん)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「鬼の霍乱」をざっくり言うと……
読み方 | 鬼の霍乱(かくらん) |
---|---|
意味 | 普段は極めて丈夫で健康な人が、珍しく病気にかかること |
由来 | 丈夫で力強い鬼が、夏の暑さで病気になること |
類義語 | 青菜に塩 |
対義語 | 鬼に金棒 |
英語訳 | The strongest are not proof against illness.(最強であることは、病気にならないことの裏付けにはならない。) |
このページの目次
「鬼の霍乱」の意味をスッキリ理解!
「鬼の霍乱」の意味を詳しく
「鬼の霍乱」は、普段は極めて丈夫で健康な人が、珍しく病気にかかることを意味することわざです。
「霍乱」とは、日射病や熱中症のことです。江戸時代では、特に夏にかかる嘔吐・下痢の病気のことを指していました。もともとは「揮霍撩乱(きかくりょうらん)」という四字熟語でしたが、略された結果「霍乱」という言葉が生まれました。
このことわざでは、「鬼が暑さにやられて病気になる」という様子を表現しています。丈夫で健康な人を鬼にたとえています。
「鬼の撹乱」と表記してしまうケースがありますが、こちらは間違いです。「撹乱」は「混乱させること」という意味なので、ことわざの意味とは、ずれてしまいます。
また、「鬼」という存在自体には「悪さをする」「醜い」「暴力的」といったマイナスのイメージがあります。そのため、相手の普段の丈夫さ・健康さをほめる意図であったとしても、目上の人に対して直接使うのは失礼にあたります。
「鬼の霍乱」の使い方
- 体だけは誰よりも鍛えてきたから、体の丈夫さだけは自信があった。そんな俺が、まさか風邪を引くなんて。鬼の霍乱ってやつかな。
- え、あの生命力の塊みたいな社長が風邪だって。信じられない。まさに鬼の霍乱じゃないか。
- 鬼の霍乱という言葉はあるが、うちの兄が体調を崩した姿をいまだ見たことがない。
例文➁では、体が丈夫な人の体調不良をからかう表現として「鬼の霍乱」を使用しています。
「鬼の霍乱」の由来
「鬼の霍乱」は、丈夫で力強い鬼が、夏の暑さで病気になることに由来しています。
鬼は、非常に体が大きく、力も強いです。口にはするどい牙があり、人間を食べるとされていたため、人間から恐れられる存在でした。
そんな鬼が日射病になることを、健康な人が体調をくずすことに重ねたことわざです。
「鬼の霍乱」の類義語
「鬼の霍乱」には以下のような類義語があります。
- 青菜に塩:普段の元気をなくし、しょげている様子
「鬼の霍乱」の対義語
「鬼の霍乱」には以下のような対義語があります。
- 鬼に金棒:もともと強いものに、さらに強みが加わること
「鬼の霍乱」の英語訳
「鬼の霍乱」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- The devil succumbing to sunstroke
(日射病になった悪魔) - The devil in a sickbed
(病床にいる悪魔) - The strongest are not proof against illness.
(最強であることは、病気にならないことの裏付けにはならない。)
“succumb” は、「負ける、屈服する」「死ぬ、倒れる」という意味の動詞です。
まとめ
以上、この記事では「鬼の霍乱」について解説しました。
読み方 | 鬼の霍乱(かくらん) |
---|---|
意味 | 普段は極めて丈夫で健康な人が、珍しく病気にかかること |
由来 | 丈夫で力強い鬼が、夏の暑さで病気になること |
類義語 | 青菜に塩 |
対義語 | 鬼に金棒 |
英語訳 | The strongest are not proof against illness.(最強であることは、病気にならないことの裏付けにはならない。) |
「霍乱」という表現は、現在ではあまり使われません。そのため、聞きなれない人も多いと思います。
しかし、「霍乱」の意味をおさえておくことで、「鬼の霍乱」の意味も容易に推測することができます。
「霍乱」「鬼の霍乱」のどちらも、あわせて覚えておきましょう。