「冠省(かんしょう)」とは?意味や使い方を例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「冠省」です。

言葉の意味・使う場面・一緒に使う結語・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

「冠省」の意味をスッキリ理解!

冠省(かんしょう):時候の挨拶などの前文を省略して手紙を書きだすための言葉

「冠省」の意味を詳しく

「冠省」とは、「時候の挨拶などの前文を省略して手紙を書きだすための言葉」です。

手紙は、以下のように構成されています。

  • 前文:頭語・時候の挨拶・相手への安否伺い
  • 主文:本文
  • 末文:結びの言葉・結語
  • 後付:日付・署名・宛名

この構成の中の「前文」を省略して「主文」にいきなり入るための断りの言葉です。手紙の最初に書く決まり文句のようなものである「頭語」のひとつです。

「時候の挨拶」は、「挨拶状で最初に書く季節を表す言葉を用いた文章」です。

次の「相手への安否伺い」とは、「貴殿におかれましてはますますご健勝のこととお喜び申し上げます」などの相手の様子や過ごし方をうかがう文章です。

これらを合わせて「前文」と言います。

「冠省」を使う場面

「冠省」は、挨拶を省いて要件を伝えられる便利な言葉です。しかし、手紙を簡略化するものであるため、ビジネスシーンの大切な手紙や、目上の人に対する手紙で使うのには適しません。

具体的には、以下のような場面では「冠省」を使っても問題がないことが多いです。

  • 家族や親しい友人への手紙
  • 急いで用件を伝えたいときの手紙
  • 相手の体調を気遣う内容の手紙

➌については、相手の体調や具合についての内容なのに、前文で「○○様におかれましては、ますますご健勝のことと存じます」などと先に言うのはおかしいので冠省を省略します。

「冠省」と一緒に使う結語

「冠省」は手紙で使われる「頭語」のひとつだと言いました。「頭語」は、「結語」という締めの言葉とセットになっています。

「冠省」を使うときは以下のような「結語」がセットで使われます。

  • 早々(そうそう)
  • 匆々(そうそう)
  • 草々(そうそう)
  • 不一(ふいつ)

上の4つの中からどれかひとつだけを「結語」として書きます。

「早々」「匆々」「草々」の3つはどれも「あわただしいようす」を表しています。「前文を省略して手紙を走り書きしてしまったことを詫びる」という意味が込められています。

また「不一」とは「早々不一」を略したものです。「早々不一」には、「手紙が十分に書ききれていないことを詫びる」という意味が込められています。

「冠省」の使い方

  1. 冠省 入院をなさっていると伺いましたが、その後のようすはいかがでしょうか。
  2. 冠省 この度は私の連絡ミスによってご迷惑をかけてしまい、本当に申し訳ございません。

例文のように「冠省」と書いた後にスペースを開けたり改行をして主文に入ります。

➊は、「相手の体調を気遣う内容の手紙」です。➋は、「急いで要件を伝えたいときの手紙」です。

「冠省」の類義語

「冠省」には以下のような類義語があります。

  • 前略(ぜんりゃく)
  • 略敬(りゃくけい)
  • 前文失礼いたします
  • 前文お許しください

「前略」と「略敬」はどちらも「頭語」であり、役割は「冠省」と全く同じです。

「前略」についての詳しい説明は、コチラをご覧ください。

また、これらの表現には「冠省」と同じようにセットとなる「結語」が決まっています。

 

頭語結語
前略草々
略敬不一
前文失礼いたします不尽(ふじん)
前文お許しください不備・かしこ

「冠省」の英語訳

「冠省」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Dear Sir
    (拝啓)

欧米の手紙には、日本のような「時候の挨拶」などの文化がないので「冠省」という意味の英単語はありません。

近い言葉で言えば、日本で言う「拝啓」のような頭語として “Dear Sir” が使われます。

「拝啓」についての詳しい意味はコチラをご覧ください。

まとめ

以上、この記事では「冠省」について解説しました。

読み方冠省(かんしょう)
意味時候の挨拶などの前文を省略して手紙を書きだすための言葉
使う場面使う場面家族や親しい友人への手紙
急いで用件を伝えたいときの手紙
相手の体調を気遣う内容の手紙
一緒に使われる結語早々・匆々・草々・不一
類義語前略
略敬
前略失礼いたします
前文お許しください
英語訳Dear Sir(拝啓)

正式な手紙を書くときに使う言葉なので、この機会にしっかりと理解しておきましょう。