今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「無病息災(むびょうそくさい)」です。
言葉の意味、使い方、由来、類義語、「一病息災」との違い、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「無病息災」をざっくり言うと……
読み方 | 無病息災(むびょうそくさい) |
---|---|
意味 | 病気にならず、健康であること。 |
由来 | 息災の由来:仏教用語から。 |
類義語 | 平穏無事、延命息災、家内安全など |
「一病息災」との違い | 一病息災:病気がひとつあるほうが健康に気を使い、長い間元気でいられる |
対義語 | 天変地異、衰老病死、飛花落葉など |
英語訳 | in sound health(無病息災で) |
このページの目次
「無病息災」の意味をスッキリ理解!
「無病息災」の意味を詳しく
「無病息災」は、「病気や事故などの災いに見舞われることなく、健康な状態であること」を意味する四字熟語です。
この四字熟語は「無病」と「息災」という2つの熟語から成り立っています。
- 無病:病気にならないこと
- 息災:災いがなく、元気でいること
これらが組み合わさることで、「災いに見舞われず、健康であること」を意味するようになりました。
ちなみに、「息災」はもともと仏教用語です。
「息」という字には「やめる」「とめる」といった意味があるため、「息災」は「災いがない」という意味になります。
「無病息災」の使い方
「無病息災」を用いた文には、以下のようなものがあります。
- 私は元旦に神社で家族の無病息災を祈るようにしている。
- 彼の叔父は高齢だが、これまで目立った病気にもかからず、無病息災で過ごしてきた。
- 冬至には無病息災を願って柚子湯に入る風習がある。
生きている以上、人間は様々な病気やけがに見舞われる可能性があります。「無病息災」は人間が祈りを込めて用いることが多いです。
「無病息災」の由来
「無病息災」を「無病」と「息災」に分けて、それぞれの由来を見てみましょう。
「無病」の由来
「無病」の由来は、明らかになっていません。
ただし、前漢時代の中国で書かれた『淮南子(えなんじ/わいなんし)』という書物のなかに、以下のような文章があります。
そのため、「無病」は古代中国において、すでに用いられていた言葉であることがわかります。
良醫者 常治無病之病 故無病
この文を現代の言葉に訳すと、「優秀な医者は、常に無病の病を治す。だから、病がないのである」という意味になります。
「無病の病を治す」とは、「病気がない」という状態を治療とするという意味です。
つまり、「しっかりと予防する」ということを指します。
「息災」の由来
「息災」は、もともと仏教用語でした。「息災」の「息」には、「防ぐ、とどめる」という意味があります。
「息災」は、「仏の力で、災害や病気を食い止める」ということを指す言葉なのです。
仏教用語の「息災」の由来をさらに遡ると、サンスクリット語の「扇底迦(せんていきゃ)」という言葉に行き着きます。
「扇底迦」は、密教で用いられる言葉です。「修行をすることで、病気や災害を防ぐ」という意味をもちます。
「無病息災」の類義語
無病息災には以下のような類義語があります。
- 平穏無事(へいおんぶじ):何事も起こらず、平和である様子。
- 延命息災(えんめいそくさい):災いに見舞われず、長生きすること。
- 家内安全(かないあんぜん):家族に災いが起こらず、無事であること。
- 地平天成(ちへいてんせい):世の中が平穏で、災いが起こらないこと。
- 太平無事(たいへいぶじ):平和で、変わったことが起こらないこと。
- 無事息災(ぶじそくさい):病気や災いがなく、平和に暮らすこと。
- 安穏無事(あんのんぶじ):特に何も問題が起きず、平和なこと。
- 息災延命(そくさいえんめい):災難なく、長生きすること
- 足手息災(あしてそくさい):体が丈夫なこと
- 健在(けんざい):健康でいること
- 健全(けんぜん):健康でいること
- 達者(たっしゃ):健康なこと(転じて、何かに器用なことも指す)
- 健康(けんこう):病気がなく健やかであること
- 病気知らず:病気が一切なく、元気であること
- 剛健(ごうけん):体が病気であること
- 健やか(すこやか):病気がないこと
- 元気:体の調子が良いこと
- 老健(ろうけん):年をとっても、健康であること
「無病息災」と「家内安全」の違い
「家内安全(かないあんぜん)」は、「家族全員に病気や事故がない」という意味です。
「人に病気や災難がなく、平穏である」という点は、「無病息災」と共通しています。ただし、以下の違いに気をつけましょう。
- 無病息災:個人の健康を指す
- 家内安全:家族全員の健康を指す
「無病息災」と「家内安全」では指す対象が異なるのです。
「無病息災」と「無事息災」との違い
「無病息災」と「無事息災」はどちらも、「平穏であること」を表しているため、ほぼ同じ言葉といえます。
ただし、細かい意味合いに着目すると、両者には違いがあります。
- 無病息災:どちらかといえば「病気がないこと」に重きをおいている
- 無事息災:病気や災害などもふくめ、「悪いこと全般がないこと」を表す
「無病息災」と「一病息災」との違い
「一病息災(いちびょうそくさい)」は、「無病息災」と似ているため、混同されがちな言葉です。
ただし、両者は意味が全く異なります。
- 無病息災:健康であること
- 一病息災:病気をひとつくらい持っているほうが健康に気を使うため、長い間元気でいられる
「無病息災」が「一切病気がないことの良さ」を表しているのに対して、「一病息災」は、「かえって病気が1つあってほうが良い」ということを表しています。
意味が異なるため、混同しないように気をつけましょう。
「無病息災」の対義語
無病息災には以下のような対義語があります。
「無病息災」の英語訳
無病息災を英語に訳すと、次のような表現になります。
- in sound health
(無病息災で) - hale and hearty
(元気がいい) - good health
(活発で元気)
実は “sound” には「健全な」「健康な」といった意味があるのです。
そのため、 “in sound health” で「無病息災」という意味を表します。
まとめ
以上、この記事では「無病息災」について解説しました。
読み方 | 無病息災(むびょうそくさい) |
---|---|
意味 | 病気にならず、健康であること。 |
由来 | 息災の由来:仏教用語から。 |
類義語 | 平穏無事、延命息災、家内安全など |
「一病息災」との違い | 一病息災:病気がひとつあるほうが健康に気を使い、長い間元気でいられる |
対義語 | 天変地異、衰老病死、飛花落葉など |
英語訳 | in sound health(無病息災で) |
人間は生まれてきた以上、いつか必ずこの世を去ります。
ですがせめてその時まで、可能な限り無病息災のまま人生を謳歌(おうか)したいものですね。