() は、「皮肉としての笑い」「純粋な笑い」「直前の言葉へのツッコミ」という3通りの意味を表すネットスラングです。
() は、見た目だけでは意味が推測しづらいスラングですよね。
そのため、インターネット掲示板やSNSで ()を見ても、正しい意味がわからないまま読み飛ばしている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、() の意味や例文、類義語などについて丁寧に解説します。
☆「()」をざっくり言うと……
意味 | 皮肉としての笑い 純粋な笑い 直前の言葉へのツッコミ |
---|---|
由来 | 2007年ごろに2ちゃんねるで流行した「スイーツ(笑)」 |
類義語 | w (笑) (爆) など |
英語訳 | lol (笑いを表す) RIP (「終わった」という意味を表す) |
()の意味
- 皮肉としての笑い
- 純粋な笑い
- 直前の言葉へのツッコミ
() には、上記のように3つの意味があります。
以下、それぞれの意味について詳しく解説します。
①皮肉としての笑い
() の1つ目の意味は、「皮肉としての笑い」です。
この意味は、次のような考え方のもと成り立っています。
(笑)から“笑”をとると、何もなくなる
→つまり、笑えない
() は元々、インターネット掲示板のなかで、「皮肉としての笑い」という意味をもって誕生しました。
そのため、現代でも、5ちゃんねるなどの掲示板では、()は苦笑や揶揄(やゆ)の意味合いで使われることが多いです。
- 財布なくしたかも()
笑えないほどの失敗をしたことに対して、自虐的に笑う - ベジタリアン()らしいけど、お肉ばっかり食べてない?
宣言と行動が噛み合っていない相手に対して、苦笑している
インターネット掲示板で生まれた言葉ですが、現在ではTwitterなどのSNSでも使われています。
②純粋な笑い
() の2つ目の意味は、「純粋な笑い」です。
つまり、 (笑)を簡単に書くために()を使っているだけなのです。
この意味での () は、TwitterなどのSNSでよく見受けられます。
=この漫画、めちゃくちゃ面白いよね(笑)
③直前の言葉へのツッコミ
() の3つ目の意味は、「直前の言葉へのツッコミ」です。
直前においた「ボケ」の言葉に対して、ツッコミを入れるときに使います。
=あの子は永遠の17歳(永遠の17歳なわけがないだろ)なんだよ。
つまり、カッコ内に入れるべきツッコミの文言を省略したかたちが、()なのです。
このように、() は、時と場合によって様々な意味を表します。
使うツールや文脈、相手の性格などをふまえて、() のもつ意味合いを読み取る必要があるのです。
() の書き方
() のカッコは、半角で入力するのが一般的です。
Google検索でも、() と半角で入力しなければ検索結果が出てきません。
このことから、ほとんどの人が半角で入力していることがわかります。
しかし、全角で () と入力しても、意味に変わりはありません。
() の読み方
() に決まった読み方はありません。
あえて読むとすれば、以下のようになります。
- 空欄カッコ
- 空(から)カッコ
- 空白のカッコ
- カッコ笑いなし
- (笑)の、笑がないやつ
- カッコだけの笑い
- 笑えない
- 笑いがない
- かっこ・かっこ閉じる
() の由来
() は、インターネット掲示板の2ちゃんねるで流行した「スイーツ(笑)」という言葉に由来します。
「スイーツ(笑)」という言葉が流行した経緯は、以下の通りです。
女性誌などで、甘い食べ物が「スイーツ」と呼ばれるようになる
↓
「スイーツ」という呼び方が、人々の生活に定着する
※ 「お菓子」と呼ぶよりもおしゃれであるため
↓
当時の2ちゃんねるで、「スイーツという呼び方は、お高くとまっている」「流行に振り回されている」という揶揄が盛り上がる
↓
2ちゃんねるで「スイーツ(笑)」という皮肉表現が流行
↓
2007年
ネット流行語大賞の第2位に「スイーツ(笑)」が選出される
このように、「スイーツ(笑)」は、「スイーツ」という呼び方を揶揄するために生まれた言葉なのです。
その後、「スイーツ(笑)」のかたちが変化し、「スイーツ ()」という表現になりました。
ここから、()が「皮肉や揶揄を込めた笑い」という役割で使われるようになったのです。
「スイーツ ()」以降に流行した ()
「スイーツ ()」以降も、ネット掲示板などを中心に、世間で流行する言葉に対して、皮肉を込めて () が使われてきました。
たとえば、以下のようなものが挙げられます。
- 意識高い系 ()
※意識高い系:自分の経歴などを過度にアピールする人 - 美魔女 ()
※美魔女:美しい年配女性
() の歴史
() を使う文化そのものは、大正時代から存在しています。
たとえば、演劇の台本のなかで、セリフ以外の指示に()が使われました。
- (一同笑い)
- (一度頷く)
() の類義語
() には、以下のような類義語があります。
- w
- (笑)
- (爆)
- わら
- www
- 草
これらは、すべて「笑い」を表すスラングです。
素直な笑いを表すこともあれば、皮肉としての笑いを表すこともあります。
ちなみに、w は、www などと連ねて使うこともできます。
皮肉としての笑いを表したい場合は、w を単独で使うほうが、連続で使うよりも嘲笑の意味合いが強くなります。
()の英語訳
() を英語圏のスラングに置き換えるならば、以下のようになります。
lol の意味を詳しく
lol は、“laughing out loud (大声で笑う)” の略語です。
「エルオーエル」または「ロウル」と読みます。
lol は、純粋な笑いだけでなく、以下のように皮肉めいた笑いも表す場合があります。
- A:I broke up with her today…
(今日、彼女と別れました…) - B:lol
(笑)
RIPの意味を詳しく
RIP は、ラテン語の“requiescat in pace (天国で安らかに眠れ)” の略語です。
通常は「R.I.P.」という表記で、誰かが亡くなった際に使います。
しかし、ネットスラングでは、「どうしようもない」という嘲笑の意味で用いられているのです。
日本語のスラングで言うところの「オワタ」にあたります。
(私のシャツ、終わった…笑 スープをこぼしちゃった!)
補足:その他のスラング
インターネット上では、()のほかにも、たくさんのスラングが使われています。
参考までに、以下のようなスラングも覚えておきましょう。
- (ry
「以下省略」を表す
ryとも表記する - ←
自分へのツッコミを表す
(← とも表記する - ((殴
自分へのツッコミを表す - ((蹴
自分へのツッコミを表す - ((照
照れている自分へのツッコミを表す
(ry の意味を詳しく
(ry は、「以下省略」を表すスラングです。
パソコンのキーで(略)と書きたいとき、(ryaku)と打ちますね。
この(ryaku)をさらに省略したかたちが、(ry なのです。
(ry は、以下のように使うことができます。
「意味が全くわからない」の省略
← の意味を詳しく
← は文末につけることで、直前に書いた内容にツッコミを入れることができます。
たとえば、以下のように使います。
- 明日から絶対ダイエットするから←
「どうせ嘘だろ」というツッコミを表す
← は使いすぎると、過度にツッコミを入れている印象になってしまいます。
そのため、ここぞというときに使いましょう。
((殴 と ((蹴の意味を詳しく
((殴 の (( は、「左頬を右から殴ったときに、頬に出るシワ」を表しています。
このことから、((殴 は、「自分の頬を殴って、ツッコミを入れている様子」を表すスラングなのです。
たとえば、以下のように使うことができます。
なお、((殴 のカッコの数を増やしたり減らしたりすると、ツッコミの度合いを調節することができます。
((蹴 の意味を詳しく
((蹴 は、自分に蹴りを入れてツッコミを入れる様子を表すスラングです。
((殴 と同じように使うことができます。
また、((蹴 も、カッコの数を増減させることで、ツッコミの度合いを調節することができます。
((照 の意味を詳しく
((照 は、照れながらおかしなことを言う自分に対して、ツッコミを入れるときに使います。
() のまとめ
以上、この記事では () について解説しました。
意味 | 皮肉としての笑い 純粋な笑い 直前の言葉へのツッコミ |
---|---|
由来 | 2007年ごろに2ちゃんねるで流行した「スイーツ(笑)」 |
類義語 | w (笑) (爆) など |
英語訳 | lol (笑いを表す) RIP (「終わった」という意味を表す) |
() には、3通りの意味があるため、意外にも使い方が複雑なスラングです。
() を使う際には、相手に意図が正しく伝わるように工夫しましょう。