「杞憂」の意味とは?使い方から英語や類語や対義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、故事成語の「杞憂」です。

この記事では「杞憂」の意味、由来、例文、類義語、対義語、英訳についてわかりやすく解説します。

☆「杞憂」をざっくり言うと……

読み方杞憂(きゆう)
意味必要のないことを心配すること
由来杞の人が「天が落ちてくるのではないか」と心配したことから
類義語取り越し苦労、強迫観念、懸念、危惧、悲観
対義語楽観、のんき、気楽
英語訳needless anxiety
absurd fear

「杞憂」の意味をスッキリ理解!

杞憂(きゆう):必要のないことを心配すること

「杞憂」の意味を詳しく

「杞憂」とは、必要のないことを心配することです。

そのため、本当に何らかの問題がある時には用いません。

本当に問題がある時には「心配」などの表現が適切です。

ちなみに、「紀憂」と表記するのは間違いです。

 

「杞憂」のそれぞれの漢字には、以下のような意味があります。

「杞憂」の漢字の意味
  • :古代中国にあった国の名前
  • :「心配する」「案ずる」という意味

どうして国の名前が使われているのでしょうか。

その謎を探るために、次は「杞憂」の由来について見ていきましょう。

「杞憂」の由来

「杞憂」の出典は『列子(れっし)』の「天瑞(てんずい)」という章です。

以下のような話が由来になっています。

中国の周の時代、「杞」という国がありました。

杞の国に住んでいたある人は、「天の空が崩れ落ちてきたらどうしよう」と心配になり、夜も眠れませんでした。

その人に「天が落ちてくることなどない」などと説明すると、その人はやっと納得して安心しました。

「杞憂」は「杞人憂天(きじんゆうてん)」という表現を略したものです。

」の国のある「」が「」が崩れ落ちてこないかと「」いたという話から、「杞人憂天」という言葉が生まれたのです。

 

これは現在の常識では考えられないかもしれません。

しかし、当時はまだ、空は巨大な天井だと考えられていました。

そう考えると、このような心配をする人がいるのも理解できるでしょう。

列子

列子とは、列禦寇(れつぎょこう)という人物が書いた道家の文献です。

この本では多くのたとえ話を用いて、道家の思想を伝えています。

「杞憂」の例文

「杞憂」を使った例文には以下のようなものが挙げられます。

  1. 彼は大地震が起こるのではないかと心配していたが、杞憂に終わった。
  2. 杞憂かもしれないが、私は彼が留年する可能性もあると思っている。
  3. 彼の心配は杞憂に過ぎない。

例文からもわかるとおり、「杞憂」は以下のような表現で用いられることが多いです。

「杞憂」を使った表現
  • 杞憂に終わる
    ある人の心配が、結果として必要なかった場合に使われる表現
  • 杞憂かもしれない
    自分の心配が、必要ないと可能性がある場合に使われる表現
  • 杞憂に過ぎない
    ある人の心配を、「必要ない」と断定する時に使われる表現

ちなみに、「杞憂だ」という表現は間違いではありませんが、あまり使われません。

また、「杞憂する」という言い方はしないので注意が必要です。

「杞憂」の類義語

「杞憂」には以下のような類義語があります。

  • 取り越し苦労:必要のない心配のこと
  • 強迫観念:意思とは関係なくある種の考えが浮かんできて消えないこと
  • 懸念:気になって心から離れないこと
  • 危惧(きぐ):うまくいかないのではないかと危ぶみ恐れること
  • 悲観:現在は未来について暗い方向に考えてしまうこと

「杞憂」の対義語

「杞憂」には以下のような対義語があります。

  • 楽観:物事は良い方向へ向かうと考えて心配しないこと
  • のんき:物事をあまり気にしないこと
  • 気楽:苦労がなくのんびりしているさま

「杞憂」の英語訳

「杞憂」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • needless anxiety
    (必要のない心配)
  • absurd fear
    (必要のない心配)

まとめ

以上、この記事では「杞憂」について解説しました。

読み方杞憂(きゆう)
意味必要のないことを心配すること
由来杞の人が「天が落ちてくるのではないか」と心配したことから
類義語取り越し苦労、強迫観念、懸念、危惧、悲観
対義語楽観、のんき、気楽
英語訳needless anxiety
absurd fear

「杞憂」は日常生活でも使っていきたい表現です。

友達がいらない心配をしている時に使ってみてはいかがでしょうか。

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和佐 崇史
文章を書くこと、読むことが大好きな大学生です。中学2年生で漢検2級を取得するなど、言葉については詳しい自信があります。Webライターとしてはこれまで累計1,000記事以上を執筆してきました。