今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「喜怒哀楽(きどあいらく)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・英語訳・感情の分類についてわかりやすく解説します。
☆「喜怒哀楽」をざっくり言うと……
読み方 | 喜怒哀楽(きどあいらく) |
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意味 | 喜びと怒りと悲しみと楽しみ。人間のさまざまな感情 |
語源 | 書物『礼記』の中の「中庸」の一文から |
類義語 | 感情、喜笑怒罵、悲喜交々など |
英語訳 | emotion(感情、喜怒哀楽)など |
このページの目次
「喜怒哀楽」の意味をスッキリ理解!
「喜怒哀楽」の意味を詳しく
「喜怒哀楽」とは、人間の持つさまざまな感情の中で「喜び」「怒り」「悲しみ」「楽しみ」という、最も代表的な4つの感情を言い表した四字熟語です。
それぞれの漢字の意味を詳しく見ていきましょう。
- 喜:よろこぶこと、嬉しく思うこと
- 怒:いかる、腹をたてる、しかる
- 哀:泣きたくなるほど辛い、心が痛んで耐えられない
- 楽:満足で愉快な気分である、快い
「喜」と「楽」の違い
「喜怒哀楽」には、プラスの感情が2つ含まれていますが、「喜」「楽」には以下の違いがあります。
- 喜:自らが成し得た成果を嬉しく思うこと
- 楽:趣味や娯楽などをして満足で愉快な気分になること
「哀」が使われている理由
悲しみを表現するのに「哀」が使われているのは、「哀」の方が人の悲しみを強く表しているからです。
「哀」が衣に口をするようにむせび泣く状態を表しています。つまり「悲」より「哀」の方がより感情的に悲しさを、そして心の痛みを伝えています。
「喜怒哀楽」の使い方
- 先生は喜怒哀楽が激しいタイプだから、怒らせないように注意しよう。
- 君は喜怒哀楽が出やすいから、交渉の場では気をつけたほうがいい。
- 彼は喜怒哀楽がないので、何を考えているのかわからない
主に、今回の例文のように、「感情が顔や態度に出やすかったり、ころころ感情が変わったりする」という、ネガティブな意味で使用します。しかし、一方で「感情が豊かだ」というポジティブな意味で取られることもあります。
②の「喜怒哀楽が出やすい」とは、いろいろな感情が表れて、他人から見てもよくわかるという状態です。
③の「喜怒哀楽がない人」とは、感情を表に出さない人のことを表します。ポーカーフェイスな人や無表情の人のことを指します。
「喜怒哀楽」の語源
「喜怒哀楽」の語源は、『礼記(らいき)』の中の「中庸」の一文にあります。
「喜怒哀樂之未發、謂之中」 (訳:喜怒哀楽の感情が生じないことを中という)
ここから「喜怒哀楽」という四字熟語が生まれました。
「喜怒哀楽」の類義語
喜怒哀楽には以下のような類義語があります。
- 感情(かんじょう):物事に対して起こる気持ち
- 哀歓(あいかん):悲しみと喜び
- 苦楽(くらく):苦しいことと楽しいこと
- 情緒(じょうちょ):出来事によって起こるさまざまの微妙な感情、その感情を起こさせる雰囲気
- 喜笑怒罵(きしょうどば):喜んだら笑い、起こればののしるという人の感情のこと
- 悲喜交々(ひきこもごも):喜びと悲しみの感情が交互に入れ替わる状態
- 機嫌気褄(きげんきづま):快・不快の気持ち、気分、機嫌
- 情緒纏綿(じょうしょてんめん):快・不快などの感情が深く突き動かされ、心にまとわりついて離れがたいこと
- 人非木石(じょうちょ):人間は木や石と異なり、感情があるということ
- 酸いも甘いも(すいもあまいも):豊かな人生経験のため、苦い経験と甘い経験の両方をしているため、世の中のことに精通している
「喜怒哀楽」の英語訳
喜怒哀楽を英語に訳すと、次のような表現になります。
- emotion
(感情、喜怒哀楽) - feeling
(感情、気持ち) - mood
(気分、機嫌、気持ち)
喜怒哀楽はさまざまな人の感情という意味のため、感情という意味の”feeling”や”emotion”などが使われます。
喜怒哀楽以外の感情の分類
喜怒哀楽以外にも、感情を分類する考え方があります。
- 五情
- エクマンの基本5感情
- 六情
- 「三字経」の7つの感情
- ナヴァ・ラサ
五情
中国では「喜・怒・哀・楽・怨」の5つの感情をまとめた「五情」という言葉があります。中国に伝わる五情では、「喜怒哀楽」に“恨み”を意味する「怨」を加えて人間の5つの感情とします。
エクマンの基本5感情
アメリカの心理学者・ポール・エクマンは、人間の感情を「楽しみ」「嫌気」「悲しみ」「恐れ」「怒り」の5つに分類しています。
六情
六情では、「喜・怒・哀・楽・愛・悪」の6つの感情に分類しています。
「喜・怒・哀・楽」は「喜怒哀楽」と同様です。「愛・悪」は、それぞれ下記の感情を表しています。
- 愛:いとおしむこと
- 悪:憎しみや恨み
「三字経」の7つの感情
一方で、中国で宋の時代に作られた伝統的な初学者向けの学習書『三字経』では、人は「喜・怒・哀・懼・愛・悪・欲」の七つの感情を持っていると説かれています。
「喜・怒・哀」は「喜怒哀楽」と同様です。「懼・愛・悪・欲」は、それぞれ下記の感情を表しています。
- 懼:恐れ
- 愛:いとおしむこと
- 悪:憎しみや恨み
- 欲:何かをほっすること
ナヴァ・ラサ
るインドの伝統的な美学理論「ナヴァ・サラ」では、基本的な感情を9つに分類しています。
- シュリンガーラ:恋愛感情
- ハースヤ:滑稽な笑い
- カルナ:悲しみ
- ラウドラ:怒り
- ヴィーラ:活力あふれる気持ち
- バヤーナカ:恐れ
- ビーバッサ:嫌悪
- アドブサ:驚き
- シャーンタ:平和
まとめ
以上、この記事では「喜怒哀楽」について解説しました。
読み方 | 喜怒哀楽(きどあいらく) |
---|---|
意味 | 喜びと怒りと悲しみと楽しみ。人間のさまざまな感情 |
語源 | 書物『礼記』の中の「中庸」の一文から |
類義語 | 感情、喜笑怒罵、悲喜交々など |
英語訳 | emotion(感情、喜怒哀楽)など |
「喜怒哀楽」とは人の持つ代表的な感情をまとめた四字熟語です。
喜怒哀楽が出すぎては付き合いにくい人となり、かといって喜怒哀楽が出ていない人は何を考えているのかわからないと敬遠されることもあります。
ほどよい感情表現を日常生活で意識していきましょう!