「啓蒙」の意味とは?使い方から英語や類語や対義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「啓蒙(けいもう)」です。

言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「啓蒙」をざっくり言うと……

読み方啓蒙(けいもう)
意味無知の人々に正しい知識を与え、合理的な考え方をするように教え導くこと
語源「未知のものを明らかにする」「愚かで知識不足であること」という意味の漢字から
類義語啓発、教育、指導など
対義語暗愚
英語訳enlightenment

「啓蒙」の意味をスッキリ理解!

啓蒙(けいもう):無知の人々に正しい知識を与え、合理的な考え方をするように教え導くこと

「啓蒙」の意味を詳しく

「啓蒙」は、無知の人々に正しい知識を与え、合理的な考え方をするように教え導くことという意味です。

わかりやすく言い換えると、相手の知らないことを教えてあげて、知的水準を高めることです。

かつては、後進的な知識しか持たない人たちに先進的な知識を広めるという意味合いで使われました。たとえば、迷信を信じている人に対して科学的な知識を教えるなどの場面です。

現代では、ある分野の専門家が、その分野についてそれほど知識のない人に対して指導を施すなどの意味で使用することが多いです。

「蒙」は愚かという意味が含まれており、そのような意図がない場合でも差別用語や不適切用語として捉えられてしまう場合があるため、使い方には注意が必要です。

「啓蒙」がつく言葉

「啓蒙」のつく言葉は、以下のようなものが挙げられます。

  • 啓蒙思想
  • 啓蒙君主制
  • 啓蒙書
  • 啓蒙活動
  • 啓蒙運動
  • 啓蒙的

「啓蒙思想」とは

「啓蒙思想」は、17世紀末から18世紀にかけてヨーロッパで広がった歴史的思潮です。

宗教的な考え方から離れて、理性や科学に基づく政治を行うように社会を構築しようとする思想のことを言います。この思想は、ロックやルソーら哲学者を中心に広まったとされています。

日本における「啓蒙思想家」として代表的な人物は明治時代の福沢諭吉です。福沢諭吉は思想家であり、教育者でもありました。

「啓蒙」の使い方

  1. メディアの発達により、インターネットが市民の教養を啓蒙する時代になった。
  2. 先生の言葉に啓蒙された。
  3. 子育ての啓蒙的なセミナーに参加する。
  4. 投資技術に関する啓蒙事業に取り組む必要がある。
  5. 薬物乱用防止のための啓蒙活動が行われている。

「啓蒙」は社会に対して、広く新しい知識や考え方を導く際に使います。例文ごとに「啓蒙」の使い方を説明していきます。

 

①の例文では「啓蒙する」の形で、動詞として使われています。

②の例文は「啓蒙される」の受け身の形です。その人が個人的に教え導かれた時や、自分自身が知識を得た時に使います。主に目上の立場の人から下の立場の人に対して使う言葉で、先生から生徒、専門家から一般人などの状況が当てはまります。

③は「啓蒙的」の形容詞として用いられています。「啓蒙」は専門的な知識を多くの人に教えるセミナーなどの場面に対してよく使います。

④の「啓蒙事業」、⑤の「啓蒙活動」は名詞と組み合わせて用いています。ある物事や知識を「啓蒙」するための事業や活動を意味します。

「啓蒙」の語源

「啓蒙」を構成する漢字の意味は、それぞれ以下の通りです。

  • :未知のものを明らかにする、わからないことを教え導く
  • :愚かで知識不足であること

この2つの漢字の意味から、「啓蒙」は情報を持たない人々に対して、知識のある者が教え導くことを意味するようになりました。

ただし、「蒙」は愚かという意味が含まれており、差別用語や不適切用語として捉えられてしまう場合があります。

「啓蒙」の類義語

「啓蒙」には以下のような類義語があります。

  • 啓発:人を教え導き、さらに高い知性や理解を与えること
  • 教育:知識や技術を教え授けること
  • 指導:ある目的に向かって教え導くこと
  • 教化:人に教え、良い方向に導くこと

「啓蒙」と「啓発」の違い

「啓蒙」と「啓発」には、以下のような違いがあります。

  • 啓蒙:相手に知識がないことを前提として、教えること
  • 啓発:相手の知識の有無に関わらず、相手が気付いていないことに対してさらに高い認識に導くために教えること

また、「啓蒙」は答えそのものを教えてしまうことであるのに対し、「啓発」は答えを考えるために導くことであるという違いもあります。

「啓蒙」が差別的な用語と捉えられてしまうような場面では、「啓発」が用いられることが多いです。

「啓発」と「啓蒙」の違いとは?意味から使い方までわかりやすく解説

「啓蒙」の対義語

「啓蒙」には以下のような対義語があります。

  • 暗愚(あんぐ):道理がわからず、愚かなこと
  • 愚蒙:おろかで道理がわからないこと。

「啓蒙」の英語訳

「啓蒙」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • enlightenment
    (啓蒙)

「啓蒙する」は “enlighten” 、「啓蒙思想」は “the enlightenment”です。

まとめ

以上、この記事では「啓蒙」について解説しました。

読み方啓蒙(けいもう)
意味無知の人々に正しい知識を与え、合理的な考え方をするように教え導くこと
語源「未知のものを明らかにする」「愚かで知識不足であること」という意味の漢字から
類義語啓発、教育、指導など
対義語暗愚
英語訳enlightenment

「啓蒙」は歴史用語として登場することが多いですが、日常的にも使われる場面はあります。正しい意味と使い方をマスターしましょう。