「啓発」と「啓蒙」の違いとは?意味から使い方までわかりやすく解説

違いのギモン

「啓発」と「啓蒙」という言葉を目にすることはよくありますが、その違いを明確に説明することはできるでしょうか?知識や認識を深めるという点では「啓発」も「啓蒙」も同じ事柄を表わしている言葉のようにとらえがちではありますが、実はそのニュアンスは微妙に異なります。

本記事では「啓発」と「啓蒙」について、例を挙げながらくわしく解説していきます。

結論:「啓発」は答えを考えるように導き、「啓蒙」は答えを教えること。

「啓発」は、答えを自分で考えるように導くことを表わす言葉です。

一方で、「啓蒙」は、専門的な知識を持つ人が知識のない人に教示することを表わす言葉です。

「啓発」をさらに詳しく


「啓発」は、基本的に「新しい知識を与えて、教え導く」ことを表わす言葉です。相手の知識の有無は特に関係なく、今まで気づいていなかったことを気づかせるように導く状態を表わします。また、新しい知識を得るだけでなく、既知の知識を深めることや理解を高めるといった意味も含みます。

今まで気づいていなかったことに気が付くことによって、立ち止まっていた状態から前進するといったポジティブなニュアンスで使用される場合もあります。

偉い人から専門的な知識を無知な人に教えるという意味を含む「啓蒙」とは異なり、「啓発」は特に「誰から誰へ」といった限定的な使い方はされません。

「啓発」の使い方の例

それでは、「啓発」について例を用いて説明します。

  1. 自己啓発セミナーに通うことで、新たな自分を発見できた。
  2. このビジネス書籍には、啓発されることが多くある。
①の「自己啓発セミナー」とは、自分の能力を開発したり、成長したりすることを目的としたセミナーのことです。例文の話し手は、気づかなかった自身の可能性について知ることができたようです。

②の例では、このビジネス書籍を読むことで、今まで気が付かなかった自分自身の可能性について認識して気づかされることが多くあるということを表わしています。

「啓蒙」をさらに詳しく


「啓蒙」は、専門家がその分野の知識のない人に向けて教示することを言います。また、偉い人が無知な人に知識を与え教えるというニュアンスも含み、立場が上の人から下の人へ向けておこなう状態を表わす言葉でもあります。

「新しい知識を与え、教え導く」という点では「啓蒙」も「啓発」と同じ意味を含む言葉です。しかし、「誰から誰へ」という限定的な使い方をしない「啓発」とは異なり、「啓蒙」は立場が上の人から下の人へと知識を与えるといった限定的な使い方をします。

「啓蒙」の使い方の例

それでは、「啓蒙」について例を挙げて説明します。

  1. 飲酒運転を撲滅するための啓蒙活動では、アルコールがもたらす悪影響について解説された。
  2. 彼は投資技術に関するセミナーに参加して、資産運用について啓蒙されたようだ。
①の例では、飲酒運転を撲滅するため、知識のない人が認識を高められるよう、専門家からアルコールに関する悪影響について教示されたことを表わします。

②の例では、投資の方法についてのセミナーに参加したことで、資産運用についての専門的な知識を得たことを表わします。

まとめ

以上、この記事では、「啓発」と「啓蒙」の違いについて解説しました。

  • 「啓発」:自分自身でその答えに気が付くように教え導く状態。
  • 「啓蒙」:立場が上の人から、立場が下の無知な人へ知識を与える状態。

一見すると、「啓発」も「啓蒙」も、新しい知識を与えて、より深い理解を得られるようにするという点では似通った言葉です。

しかし、「啓発」は自分自身で答えを見つけるように導く状態を表わし、「啓蒙」は専門的な知識がある立場が上の人から知識のない人に教えを与えるという、双方が異なったニュアンスを持つ言葉であることがわかりましたね。