「かたい」は、よく日常でも使われます。会話の場面で、文章を書く際、「固い・堅い・硬い」どの漢字を使うべきかわからなくなる時はありませんか?
ここでは、「固い・堅い・硬い」の区別を解説します。
結論 : 対義語で考えるとわかる
「かたい」の意味をそれぞれ解説します。
「堅い」は、モノの質が強くて丈夫なこと、変わることがなく確かであること。対義語は「もろい」
「硬い」は、力強いようす、こわばっている様子。「対義語」は「やわらかい」
「固い」をもっと詳しく
「固い」は、①「力を加えても簡単に形が変わらない様子」、また②「心が揺るがないこと」です。
①の「力を加えても簡単に形が変わらない様子」とは、「一定の形が出来上がっており、固まっている状態」のことを指します。たとえば、「固体」・「固形」・「凝固」などは、物質が強く結び付き、1つの形を成していることを指します。
②の「心が揺るがないこと」とは、「強い決心が固まっている状態」のことを指します。たとえば、「固い信念」や「頑固」、「断固」などです。このように、精神的なことに対しても「固い」という漢字が用いられます。
また、固いの反対語は、「緩い」です。
「固い」の使い方の例
- 紐を固く結ぶ。
- あなたの誘いは嬉しいが、断固として拒否する。
「堅い」をもっと詳しく
「堅い」とは、①「モノの質が強くて丈夫であること」、また②「変わることがなく確かであること」です。
①の「モノの質が強くて丈夫であること」とは、「しっかりとしたモノ、衝撃を与えても壊れにくいモノ」を指します。たとえば、「堅い木材」などの表現があります。
②の「変わることがなく確かであること」とは、「ほとんど確実にできる」ことを指します。たとえば、「合格は堅い」という表現があります。この文は、8割・9割合格する見込みがあるという意味が含まれています。そのほかにも「堅い商売や口が堅い」などが例として挙げられます。
また、「堅い」の対義語は、「もろい」です。
「堅い」の使い方の例
- 欅の木は、堅い。
- 1日10時間以上毎日勉強したのだから、合格は堅い。
「硬い」をもっと詳しく
「硬い」とは、①「物質的な硬さ」、また②「こわばっている様子」です。
①の「物質的な硬さ」とは、「硬い石」や「硬いえんぴつ」、「硬質」などのように「質が丈夫で傷つきにくい」という意味です。また、「力強いようす」にも「硬い」という漢字が用いられます。たとえば、「硬化」です。
②の「こわばっている様子」とは、「ぎこちないようす」のことを指します。たとえば、「顔が硬い」や「表情が硬い」です。
また、「硬い」の対義語は、「やわらかい」です。
「硬い」の使い方の例
- このラーメン屋さんは、麺の硬さを選べる。
- 面接の前は、緊張で顔が硬くなる。
「かたい」の使い分け例
「かたい」の区別は、対義語で意味をとらえると分かりやすくなります。以下に「かたい」の対義語をまとめました。
「かたい」 | 対義語 |
---|---|
固い | ゆるい |
堅い | もろい |
硬い | やわらかい |
こう考えると、麺のかたさを表現するときは、どの「かたい」で表すことができるでしょうか?
麺のかたさは、「かたい、ふつう、やわらかい」と表すことができます。「ゆるい」や「もろい」とは言いません。とすると、「やわらかい」の対義語は、「硬い」ですので、麺のかたさは、「硬い」と表すことができます。
以上のように、対義語の意味をとらえることができれば、どの漢字を使うべきなのかわかると思います。
「かたい」の語源
「かたい」という言葉は、同じ語源を持っているとされており、2つの説があります。1つは、「金や石のモノに降れる音、カタを形容詞に使ったモノ」という説です。それが物質的な「かたさ」を、ひいては状態や精神の頑健さを意味するようになったとされています。
もう一1つの説は、「形・型(カタ)」と同源であるという説です。「形・堅」は、「土を固めて乾かしカタを取った」のが語源です。こちらにしても、物質的な「かたさ」から、状態や精神の「かたさ」につながっていったとされています。
まとめ
以上、この記事では、「固い」「堅い」「硬い」の違いについて解説しました。
- 固い :力を加えても簡単に形が変わらない様子、心が揺るがないこと
- 堅い:モノの質が強くて丈夫であること、変わることがなく確かであること
- 硬い:力強いようす、こわばっている様子