「硬い」と「固い」「堅い」はニュアンスが異なります。
「硬い」と「固い」「堅い」は辞書でもまとめて紹介される場合が多く、どのように使い分けたら良いかわからないと感じている方もいるのではないでしょうか。
そこで、この記事では「硬い」と「固い」「堅い」の違いについて詳しく解説しています。
ぜひ参考にしてみてください。
このページの目次
「硬い」と「固い」と「堅い」の違い
「硬い」と「固い」と「堅い」は以下のようにニュアンスが異なります。
- 硬い
①物が頑丈で、外からの力が加わっても容易に形を変えないこと
②緊張してぎこちない様子 - 固い
①ものの形が普通よりも変化しにくい様子
②厳格で揺るがないこと - 堅い
①中身が丈夫でしっかりしていること
②あやういところがなく、確実
③まじめで几帳面
ただ、辞書で区別されずに掲載されていることからもわかるように、「硬い」と「固い」と「堅い」はほぼ同じ意味で使い分けは難しいです。
具体的な使い分けについては下で詳しく解説しています。
「硬い」の意味
- 物が頑丈で、外からの力が加わっても容易に形を変えないこと
例:硬い石を見つけた。 - 緊張してぎこちない様子
例:新入社員が硬くなっている。
「硬い」は、物が頑丈であるという意味のほかに、緊張してガチガチになっているという比喩でも使うのです。
「硬い」の使い方
「硬い」の使い方を具体的な例文で見ていきましょう。
- 硬い鉛筆が好きだ。
- 世界一硬い石はダイヤモンドだ。
- 思わず表情が硬くなった。
「硬い」の対義語
「硬い」の対義語としては以下のようなものが挙げられます。
- やわらかい
- 脆(もろ)い
「硬い」の対義語は「やわらかい」だと解説しているサイトもありますが、実際のところ「やわらかい」は「固い」「堅い」の対義語としても使えます。
また、「脆い」は「堅い」の対義語としても使います。
「硬」を使った熟語
「硬」という漢字を使った熟語としては以下のようなものがあります。
- 強硬(きょうこう)
自分の主張を強く押し通すこと - 硬貨(こうか)
貨幣のうち金属製のもの - 硬直(こうちょく)
こわばっていること - 硬水(こうすい)
ミネラルが多く含まれている水 - 硬変(こうへん)
本来はやわらかいが、異変でかたくなること
「固い」の意味
- ものの形が普通よりも変化しにくい様子
例:このパンは固い。 - 厳格で揺るがないこと
例:彼の決意は固い。
「固い」にも、物理的な意味と精神的な意味の2つがあることがわかります。
「固い」の使い方
「固い」の使い方を具体的な例文で見ていきましょう。
- このパンはとても固い。
- 結び目を固く結ぶ。
- 固い決意で本番に望む。
「固い」の対義語
「固い」の対義語としては以下のようなものが挙げられます。
- やわらかい
- 緩い
「緩い」は「固い」のみに用いれる対義語です。
「固」を使った熟語
「固」という漢字を使った熟語としては以下のようなものがあります。
「堅い」の意味
- 中身が丈夫でしっかりしていること
例:堅いクッキーを食べる。 - あやういところがなく、確実
例:手堅い戦略だ。 - まじめで几帳面
例:彼は少し堅いところがある。
「堅い」は物理的な意味に加えて、比喩として使うこともあれば、性格を表す時に使うこともあるのです。
「堅い」の使い方
「堅い」の使い方を具体的な例文で見ていきましょう。
- 非常に堅い商売をしている。
- 彼は堅い性格だから融通がきかないところがある。
- 相手チームの守りはとても堅い。
「堅い」の対義語
「堅い」の対義語としては以下のようなものが挙げられます。
- やわらかい
- 脆(もろ)い
「堅」を使った熟語
「堅」という漢字を使った熟語としては以下のようなものがあります。
- 堅気(かたぎ)
まともな職業に従事している人 - 堅物(かたぶつ)
まじめで融通が効かない人 - 中堅(ちゅうけん)
社会は団体の中心となって活動する人 - 堅実(けんじつ)
てがたく確実なこと - 堅固(けんご)
しっかりしていて、容易にこわれないこと
「硬い」「固い」「堅い」を使い分ける方法
「硬い」と「固い」と「堅い」を使い分ける方法としては、主に以下の3つがあります。
- 意味で使い分ける
- 対義語で使い分ける
- 漢字で書かない
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
方法①:意味で使い分ける
「硬い」と「固い」と「堅い」は一部の場合は意味で使い分けることができます。
意味でどの「かたい」か特定できる場合について詳しく見ていきましょう。
確実性が高いという意味→「堅い」を用いる
「硬い」と「固い」と「堅い」は多くの意味を共有していますが、「確実性が高い」という意味の場合は基本的に「堅い」を使います。
迷ったら→「固い」を用いる
物理的な丈夫さを表したい時に「かたい」の使い分けで迷ったら、「固い」を使うのがおすすめです。
「固い」が一番簡単な漢字であり、多くの人が理解できるからです。
方法②:対義語で使い分ける
「硬い」と「固い」と「堅い」のよくある使い分けとして、対義語で使い分けるというものがあります。
それは、以下のような使い分けです。
- 対義語が「やわらかい」→「硬い」を使う
例:かたい石の対義語はやわらかい石→「硬い石」 - 対義語が「ゆるい」→「固い」を使う
例:かたい靴紐の対義語はゆるい靴紐→「固い靴紐」 - 対義語が「もろい」→「堅い」を使う
例:かたい意志の対義語はもろい意志→「堅い意志」
この使い分けはある意味合っており、この使い分け方をもとにすれば、「かたい」を正しい漢字で使うことができます。
ただ、かたい石の対義語がやわらかい石であっても、「固い石」や「堅い石」が間違っているというわけではありません。
たとえ対義語が違っても、正しい使い分けになっているパターンは多くあるのです。
方法③:漢字で書かない
使い分けとは違いますが、そもそも「かたい」を漢字で書かないというのもひとつの解決策です。
使い分けに困ったらひらがなで書けば、とりあえず間違いとされることはありません。
「かたい」の語源
「かたい」の語源としては、主に以下の2つの説が考えられています。
説①:「形」「型」と同じ語源
まず、「かたい」の語源は「形」「型」と同じではないかという説があります。
「形」「型」は固まった状態を表しているのですが、これが「かたい」という意味につながっているのです。
説②:石などが触れ合った時の「カタカタ」という音から
石などの「かたい」ものが触れ合うと「カタカタ」という音がなります。
この音が「かたい」の語源になったという説もあります。
「硬い」と「固い」と「堅い」の違いのまとめ
以上、この記事では、「硬い」「固い」「堅い」の違いについて解説しました。
- 硬い
①物が頑丈で、外からの力が加わっても容易に形を変えないこと
②緊張してぎこちない様子 - 固い
①ものの形が普通よりも変化しにくい様子
②厳格で揺るがないこと - 堅い
①中身が丈夫でしっかりしていること
②あやういところがなく、確実
③まじめで几帳面
「硬い」と「固い」と「堅い」は使い分けるのが難しいということがわかっていただけたでしょうか。