今回ご紹介する言葉は、熟語の「閑古鳥(かんこどり)」です。
言葉の意味・使い方・語源、また、「閑古鳥が鳴く」というフレーズの意味・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「閑古鳥」をざっくり言うと……
読み方 | 閑古鳥(かんこどり) |
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意味 | かっこう |
語源 | 平安時代の古語「呼子鳥」から |
類義語 | かっこう |
このページの目次
「閑古鳥」の意味をスッキリ理解!
「閑古鳥」の意味を詳しく
「閑古鳥」とは、かっこうという鳥の別称です。
多くは、「閑古鳥が鳴く」というフレーズで使われます。
補足:俳句での「閑古鳥」
「閑古鳥」は単語1字で使われることはあまりありません。しかし、俳句などでは初夏季語として「閑古鳥」が使われています。
たとえば、松尾芭蕉は以下のような句を読みました。
俳句で読まれる場合は、どこか物寂しげなイメージを表すとき使われます。
「閑古鳥」の使い方
「閑古鳥」は、主に以下の言い回しで使われます。
- 閑古鳥が鳴く
- 閑古鳥が鳴く店
- 閑古鳥が歌う
「閑古鳥が鳴く」の使い方
「閑古鳥が鳴く」は、「商売が流行らなくて寂れた様子」を表します。
重要なのは「本来賑わっているべきなのに、そうではない」という点です。たとえば図書館などが静かである場合には、「閑古鳥が鳴く」とは使いません。
「閑古鳥が鳴く店」の使い方
「閑古鳥が鳴く店」は、「商売が流行らず寂れてしまった店」のことです。
「閑古鳥が歌う」の使い方
「閑古鳥が歌う」は、「商売などが流行らず、生活が貧しいこと」を表します。「閑古鳥が鳴く」よりも、生活の貧しさにフォーカスされた言い方です。
「閑古鳥」の語源
「閑古鳥」は、平安時代は「呼子鳥(よぶこどり)」と言われていました。
その「呼子鳥(よぶこどり)」が、読み方はそのまま「喚子鳥(よぶこどり)」になり、その後音読みで読まれて「喚子鳥(かんこどり)」へと変化しました。
そして、「喚子鳥」が「閑古鳥」という漢字に代わり、今の「閑古鳥」と言われています。
「閑古鳥が鳴く」の意味を詳しく
「閑古鳥が鳴く」とは、商売が流行らず、寂(さび)れた様子のことです。
かっこうは主に人の少ないところに生息しており、また鳴き声もどこか寂しげです。そのことから、「閑古鳥が鳴く」という言い回しで寂れた様子を意味するようになりました。
「閑子鳥が鳴く」と書くことができます。また、「諌鼓鶏(かんこどり)が鳴く」が正しい表記だとする説もあります。
閑古鳥が鳴いている場合、暇であることが多いため、使い方によってはあながち間違いとも言い切れません。しかし、あくまで「客足が少なく寂れている」という意味の単語です。
ただ「暇だ」と言いたいときには、違う言葉を使いましょう。
「閑古鳥が鳴く」の類義語
「閑古鳥が鳴く」には以下のような類義語があります。
- 門前雀羅(もんぜんじゃくら)を張る:訪ねてくる客がおらず、寂れていること
- 鳥の網(あみ)張る宿:訪ねてくる客がおらず、寂れていること
- 門外雀羅を設(もう)くべし:訪ねてくる客がおらず、寂れていること
- 閑散(かんさん):ひっそりしていて静かなこと
- 閑寂(かんじゃく):ひっそりと物寂しいこと
- 閑静(かんせい):物静かで落ち着いていること
- 静寂:しんと静まり返っていること
- 森閑(しんかん):物音ひとつせず静まり返っていること
- 深閑(しんかん):物音ひとつせず静まり返っていること
- 過疎:人や店が少なくまばらなこと
- 閉店休業:店がしまっていること
- 閑散としている:ひっそりしていて静かな状態
- 寂(さび)れている:活気がなく寂しいこと
- 廃(すた)れている:使われなくなっていること
- 不入り:興行などで、客が少ししか入らないこと
- 人気(ひとけ)がない:人の気配を感じないほど人が少ないこと
- お茶をひく:暇であること
- 人っ子一人いない:人が一人もいないほど人が少ないこと
- 猫の子一匹いない:猫すらも一匹もいないほど人が少ないこと
- スカスカ:まばらなこと
- ガラガラ:物や人が全然いないこと
「門前雀羅を張る」「鳥の網張る宿」「門外雀羅を設くべし」の語源は、全て同じです。
「門の前で遊んでいる雀を捕まえるための網を張れるほど、人が少ない」ということから、「人が少ない」という意味合いになりました。
「閑古鳥が鳴く」の対義語
「閑古鳥が鳴く」には以下のような対義語があります。
- 門前市を成す(もんぜんいちをなす):ある人物の権力や名声を敬い、多くの人が出入りすること
- 門前市の如(ごと)し:ある人物の権力や名声を敬い、多くの人が出入りすること
- 門庭(もんてい)市の若し:ある人物の権力や名声を敬い、多くの人が出入りすること
- 大繁盛:非常ににぎわうこと
- 隆盛:とても栄えて力のある様子
- 発展:物事が進んで栄えること
- 大忙し:とても忙しいこと
- 猫の手も借りたい:非常に忙しい様子
- 満員御礼:客が多く、店の席などが埋まっていること
- 賑わう:客などがたくさんいること
- 興隆:勢いが盛んになること
- 流行る(はやる):多くの人の間で人気になること
- 書き入れ時:売れ行きがいいとき
- 景気がいい:活気があること
- 売れ行きがいい:よく売れていること
「閑古鳥が鳴く」の英語訳
「閑古鳥が鳴く」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- silent
(静か) - slow
(ゆっくりと) - slack
(沈滞している) - inactive
(活動的でない) - to be quiet
(静かにしている) - to in a slump of a business
(あまりうまくいっていない) - to have a little business
(あまり多くの商売ができていない) - to have hardly customers
(あまり客が多くない)
なお、「閑古鳥が鳴く」の直訳は “cuckoo sings” になります。ただ、「店が繁盛していない」という意味合いで使いたい場合は、上記の訳を使うようにしましょう。
まとめ
以上、この記事では「閑古鳥」について解説しました。
読み方 | 閑古鳥(かんこどり) |
---|---|
意味 | かっこう |
語源 | 平安時代の古語「呼子鳥」から |
類義語 | かっこう |
「閑古鳥が鳴く」というフレーズとセットで覚えましょう。