今回ご紹介する言葉は、熟語の「醸成(じょうせい)」です。
「雰囲気を醸成する」などの形で見かけることが多いかもしれませんが、実はお酒に関係する言葉であることをご存知でしたか?
今回の記事では、「醸成」の意味・使い方・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
「醸成」の意味をスッキリ理解!
「醸成」の意味を詳しく
「醸成」には、大きく分けて 2つの意味があります。
まず、1つ目は「原材料を発酵させて酒などを造ること」という意味です。酒や醤油、味噌などの食品は、原材料を発酵させてつくられています。これらの食品がつくられる過程を「醸成」と言うのです。
次に、2つ目は「ある状態を徐々に作り出すこと」という意味です。ある状態とは、場の雰囲気などを指します。たとえば、「応援が追い上げムードを醸成する」などと使います。「醸」という漢字は、「雰囲気を醸(かも)し出す」と言う時にも使われます。
2つ目の意味においては、「徐々に」という部分がポイントです。一気に何かが作られることを表す場合に「醸成」は適していないため、注意しましょう。
もとは「原材料を発酵させて酒などを造ること」という意味で使われていた「醸成」は、転じて「ある状態を徐々に作り出すこと」という意味でも使われるようになりました。
「醸成」の「醸」には「時間をかけて作り出す」、「成」には「出来上がる」という意味があります。原材料を発酵させたり雰囲気を作り出す際には、一定の時間がかかりますよね。
このことから、醸成という熟語は「ゆっくりと時間をかけて出来あがること」を指していると理解すると、覚えやすいでしょう。
「醸成」の使い方
- ここは味噌を醸成している工場だ。
- 彼が市長になったことで、市議会の意識が良い方向に醸成された。
- 長い時間を経る、ということも、仲直りの雰囲気を醸成する方法の 1つと言えよう。
①では「原材料を発酵させて酒などを造ること」を指して「醸造」を用いています。
②と③では、「ある状態を徐々に作り出すこと」という意味で「醸成」が使われています。③に描かれているように、雰囲気の醸成には時間がかかるものです。
「醸成」の類義語
醸成には以下のような類義語があります。
- 醸造(じょうぞう):原材料を発酵させて酒などを造ること
- 吟醸(ぎんじょう):細かく査定した材料を用いて、丁寧に醸造すること
酒などを造ることに関して、「醸造」と「醸成」はまったく同じ意味を持ちます。「吟醸」の場合は、「醸造」に比べて、より吟味した材料を用いているというニュアンスがあります。
ただ、「醸成」と違い、「醸造」や「吟醸」には雰囲気を徐々に作り出すという意味はありません。
「醸成」の英語訳
醸成を英語に訳すと、次のような表現になります。
- brew
(醸造する) - ferment
(発酵させる) - create
(空気感を作る)
“brew” は、ビールなどを醸造するという意味の動詞です。酒やしょうゆなどが目的語になります。
“ferment” は、単に発酵させるという意味の動詞です。 “fermented food” で、発酵食品という意味になります。
“create” は、雰囲気や気分を徐々に作り出すことを表します。
上記3つの表現を用いた例文は以下の通りです。
- I was taught by him the way to brew Japanese sake.
(私は、日本酒を醸造する方法を彼から教わった。) - In order to make wine, we fermented grapes.
(ワインを作るために、我々はぶどうを発酵させた。) - I tried to create an atmosphere for the reconciliation between them.
私は、彼らが仲直りしやすい空気感を醸成するのに努めた。
まとめ
以上、この記事では「醸成」について解説しました。
読み方 | 醸成(じょうせい) |
---|---|
意味 | 原材料を発酵させて酒などを造ること。また、ある状態を徐々に作り出すこと。 |
類義語 | 醸造、吟醸 |
英語訳 | brew(醸造する),ferment(発酵させる), create(空気感を作る) |
醸成は 酒などの発酵を意味することもあれば、雰囲気を作り出すことも表す言葉です。状況に応じて、きちんと使い分けましょう。