今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「一得一失(いっとくいっしつ)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「一得一失」をざっくり言うと……
読み方 | 一得一失(いっとくいっしつ) |
---|---|
意味 | 一方で得する面があると、他方で損する面があること。また、物事には良い面と悪い面があるということ。 |
由来 | 中国の『無門関』に登場する法眼禅師の言葉から |
類義語 | 一利一害、一長一短、利害得失など |
英語訳 | advantages and disadvantages(利点と欠点) |
「一得一失」の意味をスッキリ理解!
「一得一失」の意味を詳しく
「一得一失」には2つの意味があります。
1つ目は「一方に得があると、他方には損がある」という意味です。「一得」が「一方に得がある」ことを表し、「一失」が「他方に損がある」ことを表します。つまり、別々の物事を比較するときに使います。
2つ目は、「物事には良い面と悪い面の両方がある」という意味です。この場合、何か1つの事に2つの側面が存在するということを表しています。
「一得一失」の使い方
- この商談は一得一失のため、慎重に話し合う必要があります。
- 例え失敗したとしても、それが自分に向いていなかったとわかるでしょうから、意味があります。何事も一得一失ですよ。
「一得一失」の由来
「一得一失」は中国の仏教書である、『無門関(むもんかん)』に出てくる言葉です。『無門関』は、南宋時代に無門慧開(むもんえかい)という僧が書きました。
『無門関』の第二十六則に、法眼禅師(ほうげんぜんし)という人物が登場します。彼は、法眼宗という中国の宗派の創始者です。その法眼禅師が僧達といる際に、突然部屋にあったすだれを指差しました。すると、2人の僧がそのすだれを巻き始めました。法眼禅師は、「一得一失(片方は合格だが、片方は不合格だ)」と言いました。
書かれている内容はこれだけなのですが、この話には様々なとらえ方があると言われています。
1つは、下手だと言われたのがどちらの僧なのかわからないため、自信がない者は焦ってしまうという解釈です。その焦る心こそが不合格だということです。
もう1つは、物事には良い面と悪い面があるという解釈です。そのため、誰かが良くて誰かが悪いと決めつける事は、本質から外れているというとらえ方もあります。
このような法眼禅師の言葉から、「一得一失」という四字熟語が生まれました。
「一得一失」の類義語
一得一失には以下のような類義語があります。
- 一利一害(いちりいちがい):利害も損もどちらもあること。
- 一長一短(いっちょういったん):人や物事には、長所も短所もあるということ。
- 利害得失(りがいとくしつ):得るものと失うもののこと。
- 一失一得(いっしついっとく):利益と損失の両方があること。
「一得一失」の英語訳
一得一失を英語に訳すと、次のような表現になります。
- advantages and disadvantages
(利点と欠点) - pros and cons
(長所と短所) - gains and losses
(利益と損失)
“pros and cons” はよく使うフレーズなので、覚えておくと便利です。「良い点と悪い点」という意味で様々な場面で使うことができます。例えば、 “Let’s discuss the pros and cons of SNS.(SNSの長所と短所について話し合いましょう。)”のように使います。
まとめ
以上、この記事では「一得一失」について解説しました。
読み方 | 一得一失(いっとくいっしつ) |
---|---|
意味 | 一方で得する面があると、他方で損する面があること。また、物事には良い面と悪い面があるということ。 |
由来 | 中国の『無門関』に登場する法眼禅師の言葉から |
類義語 | 一利一害、一長一短、利害得失など |
英語訳 | advantages and disadvantages(利点と欠点) |
「一得一失」は元々、禅の教えから来ています。物事の本質を説いているため、そこから学べることは多いですね。ぜひ意味を覚えてみましょう。