今回ご紹介する言葉は、熟語の「不文律(ふぶんりつ)」です。
言葉の意味・使い方・語源・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
「不文律」の意味をスッキリ理解!
「不文律」の意味を詳しく
不文律は、互いに心の中で了解している決まり事を意味します。「不文」は文章や文字などで書かれていないことを、「律」は秩序のある決まり事やルールを表します。
もともとの意味は、「明文化されていない法律」であり、そこから派生した熟語です。現在ではビジネスシーンや日常生活まで幅広く使われています。
社会には様々な不文律があるので見てみましょう。
- ゲームの発売日は木曜日
- コンビニのおでんは秋に発売を開始する
①は、ゲーム業界の不文律です。もともとは、ゲームを金曜日に発売して土日に遊ばせたいという意図がありました。しかし、多く売れるソフトは当日に売り切れてしまいます。そのため、工場が動いている金曜日のうちに再生産することができるよう、木曜日に発売されることが多くなりました。
②は、コンビニ業界の不文律です。おでんは冬に食べるイメージがありますが、日本人は四季とともに食の嗜好(しこう)も変化します。夏が終わると、冷たいものから温かいものへと食べたいものが変わるという、日本独特の不文律です。
「不文律」の使い方
- サッカーには、試合終了後にお互いにユニフォームを交換する不文律がある。
- 大相撲の不文律の一つは、横綱が張り手をしてはいけないということである。
- 私が父の帰宅までに風呂掃除をすることは、我が家の不文律だ。
- 芸人の世界で、先輩が後輩に奢ることは不文律だ。
①と②では、スポーツ界におけるルールブックに載っていない決まり事を表しています。他のスポーツにも不文律は存在します。たとえば、野球では圧勝しているチームのバントや盗塁が無礼だと見なされ、ゴルフではキャディーにチップを払う不文律も存在します。
③では、家庭の不文律を示しています。靴の並べ方や、洗濯物の干し方、家族全員がそろうまで食卓についてはならないなど、どんな家族でも暗黙のルールは多くあります。
④は、業界の不文律です。たとえば、宝塚音楽学校の新入生徒は、私服で赤い洋服を着てはなりません。ほかにも廊下の端を歩くなど、多くの不文律が存在しています。
「不文律」の類義語
不文律には以下のような類義語があります。
- 暗黙の了解:黙っていても、誰もが理解していること。
- 以心伝心:言葉ではなく、心と心で通じ合うこと。
- 阿吽(あうん)の呼吸:お互いの考えや行動がぴったりと合うこと。
- 紳士協定:正式な形ではないが、お互いを信頼して結ぶ取り決め。
- 不文法:文章化されていない法律。
不文律の類義語は多く存在しています。主に「言葉」を用いずに複数の人間が考え、行動することを指しています。ただし、「不文律」が主によい行いを促すための決まりであるのに対し、「暗黙の了解」は悪企みをする際でも使われることがあります。
ニュアンスの違いに注意して使い分けましょう。
「不文律」の対義語
不文律には以下のような対義語があります。
- 成文律:文章で表現されている法律のこと。
- 明々白々:非常にはっきりとしていること。
「不文律」の英語訳
不文律を英語に訳すと、次のような表現になります。
- unwritten law
(不文法) - in-group rule
(仲間内の決まり) - tacit understanding
(暗黙の了解)
“unwritten”は否定の意味の”un”と”write”の過去分詞形を組み合わせた語で「書かれていない」を意味します。”tacit”は「無言の」を意味する形容詞です。一緒に覚えておきましょう。
まとめ
以上、この記事では「不文律」について解説しました。
読み方 | 不文律(ふぶんりつ) |
---|---|
意味 | 互いに心の中で了解している決まり事 |
類義語 | 暗黙の了解、以心伝心、紳士協定など |
対義語 | 成文律、明々白白など |
英語訳 | unwritten law(不文法) |
不文律は、文章化されてはいませんが社会で大切な決まりとして通用しています。ぜひ覚えてみてください。