「不文律」の意味とは?例から類語や英語までわかりやすく解説

言葉

不文律とは「文章に表されていないものの、慣習的に守られている規則」という意味です。

不文律という言葉は聞いたことがあっても、正確な意味がよくわからないという方が多いのではないでしょうか。

また、正しい読み方に自信がないという方もいるでしょう。

そこで、この記事では、不文律の意味や具体例、使い方、類義語などについて詳しく解説します。

「不文律」をざっくり言うと
  • 不文律とは「文章に表されていないものの、慣習的に守られている規則」のこと
  • 不文律の例は「上司より先に帰らない」など
  • 不文律の言い回しは「不文律がある」「不文律を守る」「不文律に従う」など
  • 不文律の類義語は「暗黙の了解」「暗黙のルール」「紳士協定」など
  • 不文律の対義語は「規定」「契約」「合意事項」など
  • 不文律の英語訳は「unwritten rule」「wordless rule」など

☆「不文律」をざっくり言うと……

読み方不文律(ふぶんりつ)
意味文章に表されていないものの、慣習的に守られている規則
類義語暗黙の了解
暗黙のルール
紳士協定 など
対義語規定
契約
合意事項
英語訳wordless rule
(書かれていないルール)
unspoken rule
(口に出されないルール)
unsaid rule
(口に出されないルール) など

「不文律」の意味

不文律ふぶんりつ

文章に表されていないものの、慣習的に守られている規則

不文律とは、文章で表したり、口に出したりしなくても、皆が「守らなくてはならない」と共通して思っているルールのことです。

不文律の3文字を分解すると、それぞれに以下のような意味があります。

  • 不文
    文字や文章に書き表してないこと

  • 基準となる決まり

「不文」と「律」の3文字を組み合わせると、「文字や文章に書き表してない、基準となる決まり」となりますね。

ですから、不文律は、文字に起こされていない規則という意味になっているのです。

また、不文律は、文字に起こしていないものだけでなく、言葉で明言されていないものに対しても使います。

「ふもんりつ」と読むのは誤り

不文律の正しい読み方は「ふぶんりつ」です。

誤って「ふもんりつ」と読まないようにしましょう。

「不文律」の具体例


「不文律の具体例を、下記の4つのジャンルに分けて詳しく見ていきましょう。

  • スポーツ
  • 企業
  • 家庭
  • その他の場面

以下、1つずつ解説します。

スポーツにおける「不文律」

スポーツには、種目ごとに様々な不文律が存在します。

特に不文律が多いのは野球です。

野球における「不文律」
  • 投手は野手に文句を言わない
  • 大記録が出るかもしれない試合ではバントしない
    バント:バットを大きく振らず、ボールを緩く転がるように当てること
  • 2塁ランナーがバッターにサインを教えてはいけない
  • 始球式ではバッターが空振りをするのが慣例

野球以外の競技でも、以下のように様々な不文律があります。

競技不文律の内容
サッカー試合後に選手がユニフォームを交換する
ロードレース(自転車競技)すね毛を剃る
テニス相手のコートにボールが入ったら手を挙げて謝る
相撲女性は大相撲の土俵に上がってはいけない
横綱は張り手やかち上げをしてはならない
卓球相手の得点が0点のとき、こちらから無理に点数を獲得しない

このようにスポールでは、公式での競技ルールとは別に、「明文化されていないものの、慣習として守られているルール」がたくさんあるのです。

企業における不文律

企業でも、様々な不文律があります。

下記は、すべての企業に当てはまることではありませんが、多くの会社組織で見られる不文律です。

  • 上司は部下に奢らなくてはならない
  • 上司より先に帰らない
  • 有給をとる場合は、目安として3日前までには報告する

不文律を破ってしまうと、会社や部署の調和を崩す可能性があります。

しかし、企業によっては、良くない慣習が不文律になっていることもありますから、「不文律を守ることが正しい」とは一概に言えない可能性があります。

家庭における不文律

家庭のなかでも、各家族によって、様々な不文律があるでしょう。

例として、以下のような不文律がある家庭があります。

  • 自分の食器は自分で洗う
  • 夏休みになったら必ず旅行に行く
  • ティッシュは最後の1枚を使った人が補充する

なお、かつては社会全体の不文律として、「男性は仕事をし、女性は家事をするものだ」という考え方が存在していました。

現在では、人々のあいだで性別での役割分担に対しての批判意識が高まり、現代ではその不文律は崩れつつあります。

その他の場面における不文律

ここまで、スポーツや企業、家庭における不文律について紹介しました。

他にも、様々な場面で不文律が見られます。

  • 部活動
    野球部は丸刈りにしなければならない
    後輩は先輩に向かって大きな声で挨拶しなければならない
  • 宝塚音楽学校
    先輩が乗っている阪急電車に礼をする
    先輩の前では、眉間(みけん)にシワを寄せて口角を下げる

なお、宝塚音楽学校での不文律は、長い間「伝統」として重んじられてきましたが、2020年に廃止され、話題になりました。

「不文律」の使い方

不文律は、おもに以下のような言い回しで使います。

「不文律」の使い方
  • 不文律がある
  • 不文律を守る
  • 不文律に従う
  • 不文律を破る
  • 不文律が破られる
  • 不文律を壊す
  • 不文律が壊される

具体的な例文を見てみましょう。

例文
  1. サッカーの試合では、試合後にユニフォームを交換するという不文律がある。
  2. 我が家では、家族の皆が不文律を守っているので、喧嘩が少ない。
  3. A:「乾杯には必ずビールを飲む」という不文律に従う人が減ってきたな。
    B:部長、その考え方は古いです。それぞれ好きなものを飲めばいいじゃないですか。
  4. 歴史を振り返ると、偉人と呼ばれる人の多くは、悪しき不文律を破る存在だった。
  5. 中川さんが20代で取締役になったことを機に、わが社の年功序列の不文律は破られた。
  6. 不文律を壊すのは勇気が要ることだ。
  7. コロナ渦でリモートワークが盛んになった結果、「オフィスがなければ会社は円滑に運営できない」という不文律が壊された。

「不文律」の類義語

不文律には以下のような類義語があります。

  • 暗黙(あんもく)の了解
    口に出してはいないものの、当事者たちが了承していること
  • 暗黙のルール
    口に出してはいないものの、当事者たちが了承しているルール
    ※「暗黙の決まり」とも言う
  • 紳士協定(しんしきょうてい)
    公式の手続きをとらずに、互いを信頼して取り決めた約束
  • 口約束(くちやくそく)
    口頭だけで取り決めた約束
  • 慣例(かんれい)
    これまで行われてきて習慣化されたこと
  • 掟(おきて)
    特定の組織や場所で、「こうあるべきだ」とされている決まり
  • 不文習慣(ふぶんしゅうかん)
    明文化されていない習慣
  • 決まり事
    ①世間や組織のなかで「こうあるべきだ」と思われていること
    ②規則で明確に決められていること
  • 阿吽(あうん)の呼吸
    お互いの呼吸がぴったり合うこと
  • 以心伝心(いしんでんしん)
    何も言わずに心が通じ合うこと
  • 言わず語らずのうちに
    何も言わないうちに
  • 不文法(ふぶんほう)
    明文化されていないものの、法としての人を拘束するもの
  • 不文憲法(ふぶんけんぽう)
    明文化されていない憲法

「不文律」と「掟」の違い

不文律と掟は、どちらも、当事者のあいだで守られているルールを表します。

ただし、厳密には、両者は以下のような点が異なります。

強制力
口頭や文章での取り決め
不文律弱い行わない
強い行う場合もある

不文律と掟は、“強制力” と “取り決めの有無” が異なります。

不文律よりも掟の方が強制力が強いため、掟を破った人が罰せられる場合があります。

また、不文律は口頭や文章での取り決めを行いませんが、掟は手続きを行う場合があります。

たとえば、村の掟が文章化され、張り出されることがあります。

「不文法」について詳しく

不文法とは、明文化されていないものの、法律として効力をもつ決まりのことです。

たとえば、以下のようなものが不文法に該当します。

  • 慣習法(かんしゅうほう)
    社会的な慣習が法的に守るべきルールとして定着したもの
  • 判例法(はんれいほう)
    類似の事件について裁判所が何度も同様の判決をすることで、ルール化されたもの

「不文憲法」について詳しく

不文憲法とは、明文化された憲法がないことです。

たとえば以下のような国は憲法がないため、不文憲法の国といえます。

不文憲法の国の例
  • イギリス
  • ニュージーランド
  • サウジアラビア
  • オマーン など

「不文律」の対義語

不文律には以下のような対義語があります。

  • 規定(きてい)
    物事を明確に定めること
  • 契約(けいやく)
    互いに合意したうえで、法律上の権利や義務を発生させること
  • 合意事項(ごういじこう)
    互いの意思が一致すること
    ※合意事項として決定した内容は書類などの記録に残す
  • 成文法(せいぶんほう)
    明文化された法律

これらの言葉はすべて、決まりごとを明確に定めることを表します。

一方で不文律は、「明確に定めることはないが、慣習として守られるもの」という曖昧なものです。

そのため、上記の言葉は不文律の対義語となります。

「不文律」の英語訳

不文律を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • unwritten rule
    (書かれていないルール)
  • wordless rule
    (書かれていないルール)
  • unspoken rule
    (口に出されないルール)
  • unsaid rule
    (口に出されないルール)
  • unwritten law
    (書かれていない法律)
  • uncodified constitution
    (法典化されない、慣習の憲法)

「不文律」のまとめ

以上、この記事では「不文律」について解説しました。

読み方不文律(ふぶんりつ)
意味文章に表されていないものの、慣習的に守られている規則
類義語暗黙の了解
暗黙のルール
紳士協定 など
対義語規定
契約
合意事項
英語訳wordless rule
(書かれていないルール)
unspoken rule
(口に出されないルール)
unsaid rule
(口に出されないルール) など

不文律を守ることは、社会で生きていくうえで大切です。

しかし、理不尽なルールは、無理して守る必要がありません。

ですから、「それぞれの不文律に筋が通っているか」という点を見極めたうえで生活しましょう。

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スッキリ編集部
「言葉のギモンをスッキリ解決」をテーマに、難しい言葉の意味や使い方をわかりやすく解説します。