「履き違える」とは「ズボンなどを間違えて履く」または「物事の意味を間違えて理解する」という意味です。
「取り違える」や「勘違い」など、似ている単語も多く、意味の違いが気になる方も多いのではないでしょうか。
また、直接の英語訳がない表現であるため、どう英語に訳していいか悩む方もいるでしょう。
この記事では、「履き違える」の意味や例文に加え、類義語との違いや英語訳も紹介します。
「履き違える」の意味
- ズボンなどを間違えて履く
- 物事の意味を間違えて理解する
例:自由と自分勝手を履き違えるな。
「履き違える」には、「ズボンなどを間違えて履く」と「物事の意味を間違えて理解する」の2つの意味があります。
やや文語的な言い方の場合、「履き違う(はきたがう)」とも言います。
もとは「ズボンなどを間違えて履く」という意味でしたが、転じて「2つの物事を間違えて理解すること」という意味でも使われるようになりました。
今は主に2つめの「(2つ以上の)物事の意味を間違えて理解する」という意味で使われています。
「履き違える」と「穿(は)き違える」の違い
「穿き違える」は「履き違える」の表記違いであり、読み方も一緒です。
「穿く」と「履く」には、以下のような意味の違いがあります。
- 履く
靴や靴下などの履物を足につけること、履くこと - 穿く
ズボンや袴などの衣類に足を通し、下半身に身につけること
「履き違える」の使い方
「履き違える」には、以下のような表現があります。
- 言葉を履き違える
- 立場を履き違える
- 目的を履き違える
- 意味を履き違える
それぞれの表現について、詳しく見ていきましょう。
使い方①:言葉を履き違える
1つめの表現は「言葉を履き違える」です。
「言葉を履き違える」とは、言葉の意味を勘違いすることです。
また、「勘違いに伴ってずれた行動をしてしまうこと」というニュアンスも含まれます。
例文には、以下のようなものがあります。
- 信頼という言葉を履き違えていた。
- 励ましの言葉を履き違えて、勝手に落ち込むのはよくない。
使い方②:立場を履き違える
2つめの表現は「立場を履き違える」です。
「立場を履き違える」とは、自分の置かれた立場を勘違いすることです。
主に、自分の立場が低いのにもかかわらず高く見積もってしまい、失礼な言動をすることを指します。
例文には、以下のようなものがあります。
- 立場を履き違えた行動をすると、クビにもつながりかねない。
- あなたはひどいことをした側なのだから、立場を履き違えないで。
使い方③:目的を履き違える
3つめの表現は「目的を履き違える」です。
「目的を履き違える」とは、仕事などにおける目的を間違えたり、見失ったりすることです。
例文には、以下のようなものがあります。
- 仕事の目的を履き違えると、努力が徒労に終わってしまう。
- 頼み事の目的を履き違えた結果、かえって相手を困らせてしまった。
使い方④:意味を履き違える
4つめの表現は「意味を履き違える」です。
「意味を履き違える」とは、何かしらの意味を勘違いすることです。
「履き違える」には、もともと「意味を勘違いする」という意味が備わっているため、厳密に言えば二重表現になります。
しかし、「〇〇の意味を履き違える」という形で使うことによって、何を履き違えているのかを明確化する効果があります。
例文には、以下のようなものがあります。
- 君の言ったことの意味を履き違えて、君を悲しませてしまった。
- 彼は「遊ぶ」と「だらける」の意味を履き違えている。
「意味を履き違える」は、厳密に言えば二重表現です。
二重表現とは、「頭痛が痛い」などのように、一つのフレーズの中で意味が重複してしまっているフレーズのことを指します。
しかし、前述の通り、何を履き違えているのかを明確化する目的で「意味を履き違える」というフレーズを使う人もいます。
公的な文書などでは避けた方が良いですが、日常会話であれば通じる言い回しです。
「履き違える」の由来
「履き違える」は、もともと「履物を間違える」という意味で使われていました。
人の履いているものを間違えて履いてしまう、という意味が転じて、物事の意味を間違えて理解する様子を指すようになりました。
「履き違える」の類義語
「履き違える」には以下のような類義語があります。
「履き違える」と「取り違える」「勘違い」の違い
「履き違える」「取り違える」「勘違い」の3語は、いずれもほぼ同じ意味で使えますが、以下のようにニュアンスが少し異なります。
履き違える | 取り違える | 勘違い | |
---|---|---|---|
使い方 | 「もともと知っているべきこと」に特によく使う | 「誰かから言われたこと」に特によく使う | うっかりしたミスなどによく使う |
例 | 自由と無責任を履き違える | 言われたことの意味を取り違える | 約束の時間を勘違いする |
なお、「取り違える」を「履き違える」と同じ意味で使いたい場合は、「意味を取り違える」という表現で使うことが多いです。
「履き違える」と「思い違い」「考え違い」の違い
「履き違える」と「思い違い」や「考え違い」には、以下の違いがあります。
- 履き違える
主に2つ以上のことがらの意味を間違えて/取り違えて理解する - 思い違い/考え違い
ある物事の意味を間違えて理解する
そのため、「思い違い」や「考え違い」の方がより広い意味で使うことができます。なお、「思い違い」と「考え違い」はほぼ同じ意味です。
逆に、「履き違える」は「2つ以上のことがらを逆に捉えてしまった」という意味を一語で表すことができるため、その点で便利な表現になります。
「履き違える」と「誤謬」の違い
「履き違える」と「誤謬」には、以下の違いがあります。
- 履き違える
主に2つ以上のことがらの意味を間違えて/取り違えて理解する - 誤謬
主に知識や論証などにおいての間違い
「履き違える」の英語訳
「履き違える」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- mistake
(間違える) - misunderstand
(誤解する) - have a mistaken/wrong idea
(間違った考えや認識を持つ) - confuse A with B
(AをBと混同する) - take A for B
(AをBと取り違える)
「履き違える」のまとめ
以上、この記事では「履き違える」について解説しました。
読み方 | 履き違える(はきちがえる) |
---|---|
意味 | ①ズボンなどを間違えて履く ②物事の意味を間違えて理解する |
由来 | 「履物を間違える」という意味の「履き違える」 |
類義語 | 取り違える 思い違い 考え違い など |
英語訳 | mistake(間違える)など |
「ズボンなどを間違えて履く」という意味から派生して「(主に2つ以上の)物事の意味を間違えて理解する」という意味になったことを覚えておきましょう。