今回ご紹介する言葉は、故事成語の「玉石混交(ぎょくせきこんこう)」です。
「玉石混交」の意味、例文、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「玉石混交」をざっくり言うと……
読み方 | 玉石混交(ぎょくせきこんこう) |
---|---|
意味 | 良いものとそうではないもの、優れたものと劣ったものが区別なく入り混じっていることのたとえ |
由来 | 『抱朴子』の「眞僞顚倒し、玉石混淆す」という言葉から |
類義語 | 玉石同架、玉石同匱、魚目混珠、など |
対義語 | 珠玉、精鋭、瓦礫、など |
英語訳 | Some fish some frogs. (魚もいればカエルもいる)など |
このページの目次
「玉石混交」の意味をスッキリ理解!
「玉石混交」の意味を詳しく
「玉石混交」とは、良いものとそうではないもの、優れたものと劣ったものが区別なく入り混じっていることのたとえです。
「玉石混交」を構成する漢字には以下のような意味があります。
- 玉:賢者のたとえ
- 石:愚者のたとえ
- 混交:混じり合っていること
貴重な玉と価値のない石とがまじりあっていることから、上記のような意味ができたのです。
「玉石混交」と「玉石混淆」の違い
本来は「玉石混淆」が正しい表記です。
しかし、「淆」が常用漢字ではないため、現在では「玉石混交」と表記するほうが一般的です。
特に常用漢字での表記が求められる新聞や公的文書では「玉石混交」と書かれます。
ちなみに、「淆」も「交」も同じように「入り混じる」という意味です。
「玉石混交」の表記
「玉石混交」には以下のような表記があります。
正しい表記 | 玉石混交 |
---|---|
玉石混淆 | |
誤った表記 | 玉石混合 |
玉石混同 | |
珠玉混合 |
ちなみに、「珠玉混合」は「珠玉」と「玉石」が混同された表現です。
「珠玉」は「宝石や真珠。美しく優れたもののたとえ」という意味です。
「珠玉混合」とすると「優れたものしかない」という意味になってしまうので注意しましょう。
「玉石混交」の読み方
「玉石混交」は「ぎょくせきこんこう」と読みます。
「ぎょくせきこんごう」は間違った読み方なので注意が必要です。
「玉石混交」の例文
- コンテストに出場している人は玉石混交だが、これから玉が選別されていくことだろう。
- 玉石混交の中から優れたものを選び出すのは専門家の役割である。
- ここには、世界各地から集められた玉石混交の美術品が所せましと並べられている。
「玉石混交」を人に使うのは2つの意味で失礼なので注意が必要です。
まず、そもそも「この集団には優れた人もいれば劣った人もいる」と人に優劣をつけること自体、失礼です。
また、「玉石混交」を人に使うと、人を「玉」や「石」などのモノにたとえることになるので失礼です。
特に取引先や目上の人には用いないようにしましょう。
「玉石混交」の由来
「玉石混交」の出典は『抱朴子(ほうぼくし)』の「尚博」という章です。
この章の中に以下のような言葉が出てきます。
「眞僞顚倒(しんぎてんとう)し、玉石混淆す」
これは現代語訳すると「本物と偽者を取り違え、玉と石を一緒くたにする」という意味です。
ここから「玉石混交」という言葉が生まれました。
『抱朴子』とは、中国の晋(しん)の時代の書物です。
これは神仙術に関するものを集大成したものです。
そして、後世の道教に大きな影響を与えました。
「玉石混交」の類義語
「玉石混交」には以下のような類義語があります。
- 玉石同架(ぎょくせきどうか):価値があるものと価値がないものが入り混じっていること
- 玉石同匱(ぎょくせきどうき):優れているものも劣っているものも同じように扱われること
- 魚目混珠(ぎょもくこんしゅ):本物と偽物が混じっていること
- 玉石雑揉(ぎょくせきざつじゅう):優れているものと劣っているものが混じっていること
- 種種雑多(しゅじゅざった):さまざまなものが入り混じってたくさんあること
- 牛驥同皁(ぎゅうきどうそう):賢者と愚者が同じ待遇を受けること
「玉石混交」の対義語
「玉石混交」には以下のような対義語があります。
- 珠玉(しゅぎょく):宝石や真珠。美しく優れたもののたとえ
- 精鋭(せいえい):選り抜きの優れた人々
- 瓦礫(がれき):役に立たないものの集まり
「玉石混交」の英語訳
「玉石混交」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Some fish some frogs.
(魚もいればカエルもいる) - mixture of wheat and chaff
(小麦ともみがらが混ざる) - jumble of good and bad
(いいものと悪いものがごちゃごちゃになっている) - thread and thrum
(糸と糸くず) - Mixed cobblestone
(ごちゃまぜの小石) - mixture of wheat and tares
(小麦と風袋の混合物)
まとめ
以上、この記事では「玉石混交」について解説しました。
読み方 | 玉石混交(ぎょくせきこんこう) |
---|---|
意味 | 良いものとそうではないもの、優れたものと劣ったものが区別なく入り混じっていることのたとえ |
由来 | 『抱朴子』の「眞僞顚倒し、玉石混淆す」という言葉から |
類義語 | 玉石同架、玉石同匱、魚目混珠、など |
対義語 | 珠玉、精鋭、瓦礫、など |
英語訳 | Some fish some frogs. (魚もいればカエルもいる)など |
「玉石混交」という言葉は日常生活でも用いられることがあります。
この言葉は意味だけでも覚えておいて、適切な場面があったら積極的に使っていきたいですよね。