今回ご紹介する言葉は、熟語の「払底(ふってい)」です。
言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「払底」をざっくり言うと……
読み方 | 払底(ふってい) |
---|---|
意味 | すっかり人やものがなくなること |
類義語 | 枯渇、皆無、不足など |
対義語 | 豊富、潤沢、十分など |
英語訳 | shortage(不足) |
「払底」の意味をスッキリ理解!
「払底」の意味を詳しく
「払底」とは、資源や人材などがすっかりなくなってしまうことです。
「払」という字には「なくなる」「はらいのける」という意味があります。また、「底」という字には「ものの奥深くのところ」「そこ」という意味があります。
これらが組み合わさり、「払底」は、「ものの奥からなくなる」「底をはらいのける」という意味になります。そこから、「すっかりなくなる」という言葉になったのです。
「払底」の使い方
- 人材の払底が原因で、その店は閉店を余儀なくされた。
- 話題の本は売り切れが続出し、どこの書店でも在庫が払底している。
上記の例文のように、「払底」は「〇〇の払底」など、そのままの形や、「払底している」というような動詞化した形で使われます。
①の例文では、なんらかの原因で人材がすっかりいなくなってしまったことについて、「払底」という言葉を使っています。「払底」という言葉で表現することによって、店の経営が成り立たないほど深刻な人材不足である様子が伺えます。
②の例文では、「話題の本」が売り切れ、書店の在庫がなくなったことを「払底」という言葉で表現しています。「払底」という言葉により、本の人気が非常に高かったことがわかります。
「払底」は基本的にはネガティブなイメージを持つ言葉ですが、②の例文のように、ポジティブな意味を強調する場合にも使えます。
「払底」の類義語
払底には以下のような類義語があります。
- 枯渇:ものが尽きること
- 皆無:まったくないこと
- 不足:十分な量に対して足りないこと
- 欠乏:必要な量に対して足りないこと
「枯渇」はもともと、「水が干上がってなくなること」という意味の熟語です。この意味から、水に限らず、「もともとあったものがすべてなくなってしまう」という意味が生まれました。
「皆無」は、「ものがまったくないこと」という意味になります。「枯渇」が「もともとあったものがなくなる」という意味であるのに対し、「皆無」は「そもそも元からない」というニュアンスが強くなります。
「不足」は、「栄養不足」や「点数不足」など、「量が十分とはいえない」という場合に使われる言葉です。
「欠乏」も不足と同様に「十分といえる量に対しては足りていない」という意味になります。「不足」よりもやや固い言葉で、書き言葉としての役割を持ちます。
「枯渇」「皆無」が「ほぼない」「まったくない」という場合に使われるのに対し、「不足」「欠乏」は、「十分といえる量には足りないが、少しはある」という場合に使われます。
「払底」により近いニュアンスとなるのは「枯渇」「皆無」ですが、場合に応じて「不足」「欠乏」も使い分けられるようにしましょう。
「払底」の対義語
払底には以下のような対義語があります。
「豊富」「潤沢」は、「ものが余るほどたくさんある」という意味の言葉です。どちらも「量が多い」という意味で使われますが、「豊富」が「種類が多い」という意味にもなる一方で、「潤沢」は種類の多さを表すことができないので注意しましょう。
「十分」「充足」は、「必要な量に対し、足りるだけの量がある」という意味の言葉です。この2つはほぼ同じ意味ですが、「十分」の方が「充足」よりもやや多い、という印象を与えます。
「十分」「充足」は、「豊富」「潤沢」のように「余るほどある」というわけではなく、あくまでも「必要と思われる量よりは多い」というニュアンスです。
「払底」の英語訳
払底を英語に訳すと、次のような表現になります。
- shortage
(不足) - scarcity
(欠乏)
shortageもscarcityも、「不足」「払底」という意味を持つ英単語です。
基本的にはどちらを使っても意味が通じますが、scarcityの方が「生活に必要不可欠なものが不足している」というニュアンスが強くなります。
より正確に言い表したい場合にはうまく使い分けましょう。
まとめ
以上、この記事では「払底」について解説しました。
読み方 | 払底(ふってい) |
---|---|
意味 | すっかり人やものがなくなること |
類義語 | 枯渇、皆無、不足など |
対義語 | 豊富、潤沢、十分など |
英語訳 | shortage(不足) |
「払底」はなじみが薄い言葉ですが、意味はそこまで難しくありません。うまく使えると表現の幅が広がるので、覚えておきましょう。