フーテン(瘋癲)の意味とは?男はつらいよの寅さんがきっかけで流行

言葉

フーテンとは「就職せずに怪しい見た目でフラつく人物、家や定職がなく放浪する人」という意味です。

使われ始めたのが昭和の時代なので、若い人にとってはなんだか意味の分からない単語に感じませんか?

そこで今回は意味や使い方などをわかりやすく丁寧に解説します。

☆「フーテン」をざっくり言うと……

表記フーテン
意味就職せずに怪しい見た目でフラつく人物
家や定職がなく放浪する人
語源精神異常を表す瘋癲が
ドラマ「男はつらいよ」で意味が変化
類義語ヒッピー
プータロー
風来坊 など
対義語エリート
サラブレット など
英語訳insanity
insane person
vagabond など

「フーテン」の意味

フーテン

就職せずに怪しい見た目でフラつく人物、家や定職がなく放浪する人
例:彼はフーテン人生を歩んでいる。

フーテンは「就職せずに怪しい見た目でフラつく人物、家や定職がなく放浪する人」という意味です。

単純に無職の人をさす場合も多いです。

たとえば、就職活動をせず、何かしらの職業に就かない生活している人はフーテンに該当します。

その他の意味も詳しく見てみましょう。

病気での意味

フーテンは瘋癲(ふうてん)と表記すると、精神疾患という意味になります。

精神が異常になり、日常生活に支障をきたす状態を指します。

漫画での意味

永島慎二(ながしましんじ)が書いた漫画「フーテン」が存在します。

1960年代の新宿を舞台に、売れない漫画家が家出少女や社長などに出会うストーリーです。

音楽での意味

ヒップホップ音楽では、瘋癲(ふうてん、英語:“FU-TEN”、“fu-ten”というバンドが存在します。

1990年代後半に関西地方で結成し、活動している4人組です。

瘋癲(出典:https://www.facebook.com/233018310080320/photos/a.325551937493623/325553464160137/?type=3&source=44)

こちらが瘋癲です。

プロレスでの意味

プロレスには、風天(フーテン)という名前の団体が存在します。

2005年にプロレスラーの池田大輔(いけだだいすけ)が設立して、2015年ごろまで定期的な興行を開催していました。

こちらがフーテンプロレスがラゾーナ川崎で行った試合です。

「フーテン」の使い方

フーテンは無職の人について言及する時によく使用します。

特に怪しげな人や、働いているのかどうか分からないような見た目の人物に対して使います。

実際の例文には以下のようなものがあります。

  1. どうも、フーテンの僕です。
  2. ずっとフーテン生活をしている。
  3. フーテン族として生きていこう。

フーテン生活、フーテン族という表現もよく使用します。

フーテン族とは、フーテン生活を送る人たちのことで、職につかずふらふらして過ごす人たちです。

また、フーテンの〇〇というフレーズもよく使います。

こちらはテレビドラマ「男はつらいよ」で主人公の寅さんがフーテンの寅と名乗ったことで、模倣して使うようになりました。

「フーテン」の語源

フーテンの語源は、精神異常を表す瘋癲です。

しかし、テレビドラマ「男はつらいよ」で主人公の寅さんが使用したことで広まりました。

こちらが有名となったドラマのセリフです。

「私、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します」

出典:『男はつらいよ』

もともとが精神異常を指す言葉でしたが、このドラマによって定職に就かずブラブラしている人という意味が加わるようになります。

また、寅さんのイメージによって、精神異常ではなく自由気ままに暮らす心が優しい人物という意味合いも登場しました。

つまり、昔は瘋癲と言えばネガティブで嫌われる意味でしたが「男はつらいよ」が放送される1960年代にはフーテン表記になり、無職や自由気ままに暮らすという意味合いに転換しました。

ちなみに、寅さんは厳密に言えば、物を売って生活しているので、フーテンの定義には当てはまらないことに注意しましょう。

「フーテン」の類義語

フーテンには以下のような類義語があります。

  • ヒッピー
    奇抜な服装で放浪する若者
  • プータロー
    就職もせずに暮らしている人
  • 風来坊(ふうらいぼう)
    どこかから現れて去っていく人
  • 引きこもり
    ずっと部屋で生活している人
  • ニート
    働かずに暮らしている人
  • 無職
    職がない人

フーテンの類義語には、ふらふらする放浪者を表す単語が該当します。

「フーテン」の対義語

フーテンには以下のような対義語があります。

フーテンの対義語には、社会的にしっかりした地位についているような人物を表す単語が該当します。

「フーテン」の英語訳

フーテンを英語に訳すと以下のような表現になります。

  • insanity
    (精神異常)
  • insane person
    (狂人)
  • vagabond
    (放浪者)
  • wanderer
    (歩き回る人)
  • hippie(hippy)
    (ヒッピー)

フーテンは、精神異常と放浪者という異なる意味合いがあるので、英語に訳す時は注意が必要です。

特に“insanity”や“insane person”は過激な単語なので、安易に使わないでよく考えてから使いましょう。

「フーテン」のまとめ

以上、この記事ではフーテンについて解説しました。

表記フーテン
意味就職せずに怪しい見た目でフラつく人物
家や定職がなく放浪する人
語源精神異常を表す瘋癲が
ドラマ「男はつらいよ」で意味が変化
類義語ヒッピー
プータロー
風来坊 など
対義語エリート
サラブレット など
英語訳insanity
insane person
vagabond など

フーテンは昭和の言葉なので、現在使用することは少ないかもしれません。

しかし、日本の文化を知る上では大変重要な単語です。

ぜひ、この記事を参考に意味や使い方を覚えてみてください。