「収斂」の意味とは？使い方から英語や対義語や類義語まで例文付きで

今回ご紹介する言葉は、熟語の「収斂(しゅうれん)」です。

言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「収斂」をざっくり言うと……

「収斂」の意味をスッキリ理解！

「収斂」の意味を詳しく

「収斂」とは、縮むことや、縮んだ結果複数の物が一つにまとまることを指す熟語です。

「収(しゅう)」は「集める、取り入れる、まとめる」という意味を持つ漢字です。

「斂(れん)」は訓読みでは「斂(あつ)める、斂(おさ)める」と読みます。集めることや、取り立てることを表す漢字です。「収」と似た意味を持っています。

薬局で『収れん化粧水』という商品を見たことがある人もいると思います。これは、「収斂」を多くの人にわかりやすくするために、一部を平仮名で表記しています。『収れん化粧水』は、通常の化粧水よりも清涼感があり、肌を引き締める効果を持ちます。この引き締める作用が収れん作用と呼ばれています。

一般的には上記の意味で用いられますが、学術的に用いられる場合、その分野によって指す意味が変化します。

物理学での「収斂」

多くの光が、一点に集まることを指します。「集束(しゅうそく)」とも言います。

たとえば、光の下でレンズをかざすと光が一点に集まります。これはレンズによって光が曲げられて、「収斂」しているのです。

また、この光の集まった点のことを「焦点(しょうてん)」と言います。

数学での「収斂」

数列や関数が、ある値に限りなく近づくことを指します。「収束(しゅうそく)」とも言います。

たとえば、ある数列があるとします。この数列では、一番目の項よりも二番目の項、二番目の項よりも三番目の項がある値に近くなっていきます。このように、大きい項になればなるほどある値に近づいていくとき、この数列は「収斂」すると言います。

また、このときのある値を、「極限値(きょくげんち)」と言います。

生物学での「収斂」

系統の異なる生物同士が、似た姿に進化する現象を指します。「相近(そうきん)」とも言います。

アザラシとアシカがこの例として挙げられます。どちらも海に住む生物であり、流線型のシルエットなど見た目がよく似ています。

しかし、アザラシとアシカの祖先は全く異なっており、親戚関係にあるわけではありません。海で生きていくことに適応した結果として、偶然似た姿へと進化していったのです。これが、生物学での「収斂」です。

「収斂」の使い方

「収斂」は、文中では以下のように使われます。

①は、「まとまり」「ひとつになる」という意味で用いられています。議論を通じて、複数出ていた意見が1つの案に落ち着いたことを表します。

②は、縮むという意味で用いられています。

③は、引き締めるという意味で用いられています。「収斂」の持つ本来の意味からは少し離れますが、商品名として幅広く使われるフレーズなので覚えておくとよいでしょう。

「収斂」の類義語

「収斂」には以下のような類義語があります。

「収束」はとくに「収斂」と似た意味を持つ熟語です。現在は「収斂」の代わりに「収束」を用いる場合も多く見られます。

「収斂」の対義語

「収斂」には以下のような対義語があります。

「発散」は、物理学や数学の用語としての「収斂」の対義語として使われます。

「紛糾」は「議論が紛糾する」という使われ方をすることが多いので、覚えておくとよいでしょう。

「収斂」の英語訳

「収斂」を英語に訳すと、次のような表現になります。

まとめ

以上、この記事では「収斂」について解説しました。

複雑な漢字が含まれていますが、意外と日常の中でも見かける言葉なので、読み方をしっかり覚えて使ってみてください。