今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「朝令暮改(ちょうれいぼかい)」です。
言葉の意味・使い方・由来・「朝三暮四」との違い・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「朝令暮改」をざっくり言うと……
読み方 | 朝令暮改(ちょうれいぼかい) |
---|---|
意味 | 命令や方針などが絶えず変更されること。また、そのために当てにできないさま。 |
由来 | 中国の歴史書『漢書』 |
類義語 | 優柔不断、二転三転、三日坊主など |
対義語 | 終始一貫、首尾一貫、徹頭徹尾など |
英語訳 | lack of principle(朝令暮改)、inconsistent policy(一貫性のない政策)など |
このページの目次
「朝令暮改」の意味をスッキリ理解!
「朝令暮改」の意味を詳しく
「朝令暮改(ちょうれいぼかい)」は、命令や方針などがころころ変わる様子を意味します。
さらに、短い期間に命令や方針が次々と変更されて、当てにならない様子も表します。
「朝令暮改」は訓読みをすると「朝に令し、暮れに改む」になります。これは「朝に命じられたことが夕方には変更される」という意味です。
なお、「朝令」を「朝礼」と書くのは間違いです。
「朝令暮改」の使い方
- 今朝決められた方針が、もう変更された。まさに朝令暮改だ。
- 朝令暮改の政策に、人々は混乱している。
- 朝礼暮改であることは重々承知していますが、変更をお願いします。
「朝令暮改」の由来
「朝令暮改」は、『漢書(かんじょ)』という中国の古い歴史書に由来します。
王朝の財政や経済についての項目に、晁錯(ちょうそ)という人物が、皇帝に提出した文書が載っています。
この中で、以下のような記述があります。
「農民の勤めの苦労はこのように大変であるのに、水害や干ばつなどに見舞われるなか、急な租税を要求され、税の割り当てや取り立ての時期は守られず、さらには朝に出された法令が夕暮れのころには改められています」
当時の中国の農民たちは、大変な労働や災害によって生活に苦しんでいました。さらに、役人たちが厳しい税の取り立てをするため、農民たちの貧困は一層ひどくなってしまいました。
晁錯は、このような改善すべき国内の状況を皇帝に報告しました。この不況が、やがては国家の運営に悪い影響を及ぼすからです。
「朝令暮改」は、当時の役人たちが農民をかえりみずに、法令を次々に変えてしまう様子を表した表現だったのです。
「朝令暮改」と「朝三暮四」の違い
「朝令暮改」には「朝三暮四(ちょうさんぼし)」という、字面や読み方が似ていて混同されやすい四字熟語があります。
それぞれの意味は以下のとおりです。
- 朝令暮改:命令や方針などがころころ変わる
- 朝三暮四:目先の違いに気を取られて本質が同じであることに気づかない
まったく異なる意味を持っていることがわかります。
ただ、現代の中国には、「朝三暮四」は「すぐに方針を変えてしまう」という意味だという解釈もあります。
これは「朝令暮改」に近い意味ですね。
「朝令暮改」の類義語
朝令暮改には以下のような類義語があります。
- 優柔不断(ゆうじゅうふだん):いつまでも煮え切らず、ぐずぐずと決断できないでいる様子
- 二転三転(にてんさんてん):物事の内容などが何度も変わること
- 三日坊主(みっかぼうず):飽きっぽくて長続きしないこと
- 臨機応変(りんきおうへん):変化に応じて適当な処置をすること
- 朝改暮変(ちょうかいぼへん)
- 朝改暮令(ちょうかいぼれい)
- 朝出暮改(ちょうしゅつぼかい)
- 朝変暮改(ちょうへんぼかい)
- 朝立暮廃(ちょうりつぼはい)
- 朝令夕改(ちょうれいゆうかい)
- 天下法度(てんかはっと)
- 三日法度(みっかはっと)
「朝令暮改」と「優柔不断」の違い
「朝令暮改」も「優柔不断」も、「ものごとの方向性が定まらない」という共通のイメージを持っています。
しかし、「優柔不断」は、選択肢を前にして「決断する意志が弱いために、ものごとに方向性を与えられないでいる」というイメージの言葉です。
対して、「朝令暮改」のもつイメージは、「ひとまず命令や方針といった形で出されているものの、二転三転する」というものです。
「朝令暮改」の対義語
朝令暮改には以下のような対義語があります。
- 終始一貫(しゅうしいっかん):始めから終わりまで変わらないこと。
- 首尾一貫(しゅびいっかん):態度や考え方を始めから終わりまで貫くこと。
- 徹頭徹尾(てっとうてつび):始めから終わりまで、あくまで同じ姿勢を通すこと。
- 初志貫徹(しょしかんてつ):最初に決めた志を最後まで貫き通すこと
「終始一貫」と「首尾一貫」は、ものごとの始めから終わりまで、変わらない姿勢でいることを表します。
「徹頭徹尾」は、「始めから終わりまで」「どこまでも」「あくまでも」という様子そのものを言い表します。
「朝令暮改」の英語訳
朝令暮改を英語に訳すと、次のような表現になります。
- inconsistent behavior
(一貫しない態度) - lack of principle
(基本方針に欠ける) - a fickle policy
(一定しない方針) - inconsistent policy
(一貫性のない政策) - changeable
(変化しやすいこと) - change too often
(変更が多すぎる)
“inconsistent behavior” の意味
“inconsistent behavior” は「一貫しない態度」という意味です。
“inconsistent” は、「~と一致しない」という言葉です。
また、 “behavior” は「ふるまい」「態度」という意味の名詞です。
あわせて、「一貫しない態度」という表現です。
“lack of principle” の意味
“lack of principle” は「基本方針に欠ける」という意味です。
“principle” は、「主義」や「行動の基準」「基本的な方針」を表す名詞です。
“lack of~” とあわせて「基本方針に欠ける」という意味になります。
“a fickle policy” の意味
“a fickle policy” は「一定しない方針」という意味です。
“fickle” は、「気まぐれの」「一定しない」「変わりやすい」という意味の形容詞です。
“policy” は「政策」「方針」を意味する名詞です。
まとめ
以上、この記事では「朝令暮改」について解説しました。
読み方 | 朝令暮改(ちょうれいぼかい) |
---|---|
意味 | 命令や方針などが絶えず変更されること。また、そのために当てにできないさま。 |
由来 | 中国の歴史書『漢書』 |
類義語 | 優柔不断、二転三転、三日坊主など |
対義語 | 終始一貫、首尾一貫、徹頭徹尾など |
英語訳 | lack of principle(朝令暮改)、inconsistent policy(一貫性のない政策)など |
仕事の種類や分野によっては、「朝令暮改は当たり前」ということがあるでしょう。
そのような状況では、万全の準備と経験、そしてはっきりした目標が必要です。
時間に追われていても、目の前のことにとらわれず、落ち着いて柔軟な姿勢で物事に取り組むようにすれば、動揺したり不満がつのったりすることも少なくなります。
明確な目標さえあれば、どんなことがあっても達成できます。