今回ご紹介する言葉は、熟語の「二律背反」です。
言葉の意味・具体例・使い方・語源・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「二律背反」をざっくり言うと……
読み方 | 二律背反(にりつはいはん) |
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意味 | 十分な根拠や合理性を持っているふたつの命題が、矛盾して決して両立できないこと |
語源 | 「物事の基準」「相反する」という意味の漢字から |
類義語 | アンチノミー、矛盾、パラドックス、ジレンマ |
英語訳 | antinomie(二律背反・アンチノミー) |
このページの目次
「二律背反」の意味をスッキリ理解!
「二律背反」の意味を詳しく
「二律背反」とは、「十分な根拠や合理性を持っているふたつの命題が、矛盾して決して両立できないこと」です。
ふたつの命題が存在するとします。「命題」とは、「言語や式によって表した一つの判断の内容」です。基本的には、あるものの存在や是非などを肯定・否定するものです。
具体的には、以下のような文章が「命題」です。
- 人間は必ず死ぬ。
- ソクラテスは人間である。
ふたつの命題が単体では成り立つけれど、それらが同時には成り立たないことを「二律背反」と言います。
「二律背反」の具体例
たとえば、翌日に試験を控えた受験生がいるとします。受験生には、以下のふたつの選択肢があります。
- 試験の直前まで勉強する
- 明日に備えて、勉強はせずに早く寝る
➊では、直前勉強をすることによって、単純な勉強量を増やして知識を蓄えることができます。テストの直前にノートをぱらぱらと開いて見た知識が、直後のテストで出るという経験がある人もいると思います。
➋では、前日は早く就寝することで睡眠不足を防ぎ、当日の試験に集中することができます。また、直前まで勉強をしないことで焦りをなくし、リラックスして本番に臨むこともできます。
このふたつの選択肢は、それぞれに十分の妥当性や根拠があります。単体で見るとどちらも正しいように見えるのです。
しかし、これらふたつは、同時に実行することは不可能です。これを「二律背反」と言います。
「二律背反」の使い方
- 「感情と理性の間で揺れる」という二律背反の状態が続いている。
- ビジネスの世界では、価格と質という二律背反が常に付きまとう。
- 彼は、二律背反に陥った。
商品は基本的に「価格を安くすること」と「質を高くすること」が求められています。しかし、質を高くするとコストが上がることが一般的で、このふたつの欲求は「二律背反」であると言えます。
また、➌のように「二律背反に陥る」という形で使われることが多いです。
「二律背反」の語源
「二律背反」の「律」「背反」には、以下のような意味があります。
- 律:物事を行うときの基準になるもの・掟(おきて)
- 背反:互いに反していること・相容れないこと
つまり、「二律背反」とは、「ふたつの基準や道理が、お互い反するものであること」を表す漢字です。
「二律背反」の類義語
「二律背反」には以下のような類義語があります。
「二律背反」の英語訳
「二律背反」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- antinomie
(二律背反・アンチノミー)
まとめ
以上、この記事では「二律背反」について解説しました。
読み方 | 二律背反(にりつはいはん) |
---|---|
意味 | 十分な根拠や合理性を持っているふたつの命題が、矛盾して決して両立できないこと |
語源 | 「物事の基準」「相反する」という意味の漢字から |
類義語 | アンチノミー、矛盾、パラドックス、ジレンマ |
英語訳 | antinomie(二律背反・アンチノミー) |
「二律背反」の意味は少し複雑ですが、具体例を見ると理解しやすいと思います。また、意味だけでなく、類義語や使い方までしっかりと覚えておきましょう。