アルバイトや部活、仕事などで他者やお客様に何かを依頼するとき「恐れ入りますが」や「申し訳ありませんが」といった言葉を、語調を和らげる前置きの言葉として置くことがあります。
たいへんよく似た表現ですが、使い方が異なるということは知っていますか?
今回は「恐れ入りますが」と「申し訳ありませんが」の違いについて解説します。
このページの目次
結論:自分のする行為か、他人のする行為かで区別する
- 恐れ入りますが:他者に何かをしてもらうことに対するお詫びを示す前置きの言葉
- 申し訳ありませんが:自分の行動によって相手に掛かる迷惑へのお詫びを示す前置きの言葉
誰の行為に対するお詫びか、という点で使い分けます。
「恐れ入りますが」をもっと詳しく
「恐れ入りますが」は他者に何かをしてもらうことに対するお詫びの気持ちを示す前置きの言葉です。
相手にとって面倒な依頼やお願いをするときや、質問に答えてもらうときに使います。
他人に行動してもらうということへのお詫びの気持ち、というポイントを押さえましょう。
「恐れ入りますが」の使い方の例
「恐れ入りますが」を使用した例文を以下に紹介します。
- 恐れ入りますが、こちらの資料を確認していただけますか。
- 恐れ入りますが、館内ではご飲食をご遠慮いただいております。
- 恐れ入りますが、ご主人様はご在宅でしょうか。
①の例文は「恐れ入りますが」を使って、資料の確認を依頼しています。資料の確認という面倒なことをしてもらうことへの申し訳なさを表しています。
②の例文は「恐れ入りますが」を使って、相手の行動を制限しています。何かをしてもらう以外にも制限する場合にも使う表現であるということを押さえましょう。
③の例文は「恐れ入りますが」を使って、質問をしています。質問に答えるという面倒なことをしてもらうことへの申し訳なさを表しています。
「申し訳ありませんが」をもっと詳しく
「申し訳ありませんが」は自分の行動によって相手に掛かる迷惑へのお詫びの気持ちを示す前置きの言葉です。
自分の都合により、相手に迷惑を掛けるときや、厚意を受ける際に使う表現です。
「申し訳ありませんが」の使い方の例
- 申し訳ありませんが、もう少々お待ち下さい。
- 申し訳ございませんが、後ほど折り返し連絡させてください。
①の例文は、相手に待たせることに対する謝罪の気持ちを「申し訳ありませんが」を使って表現しています。
②の例文は、こちらの都合により折り返しの連絡になることに対する謝罪の気持ちを表しています。「ありませんが」を「ございませんが」にすることで、よりていねいな印象を与えています。
「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」の類似表現
「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」には以下のような類似表現があります。
- 恐縮ですが:申し訳なく思い、恐れ入ること
- お手数おかけしますが:相手に労力を掛けることを申し訳なく思うこと
- せっかくですが:相手の期待に応えられないことを申し訳なく思うこと
- 失礼ですが:相手に対して無礼なことをすることを申し訳なく思うこと
いずれも、相手に掛ける迷惑について謝罪する気持ちを表す表現です。これらの言葉を使うことで、語調を和らげることができます。
便利な表現「クッション言葉」
人に言いにくいことを言うとき、語調を和らげるために使う表現を「クッション言葉」と言います。「申し訳ありませんが」「恐れ入りますが」もその一つです。
ここでは、その他のクッション言葉を紹介します。
- 差し支えなければ:依頼をする際、相手に不都合がないかを確認する言葉
- 申し上げにくいのですが:言いにくいことを言うときに語調を和らげる言葉
- 誠に勝手ながら:自分の都合で相手に迷惑がかかることへのお詫びの気持ちを表す言葉
まとめ
以上、この記事では、「恐れ入りますが」と「申し訳ありませんが」の違いについて解説しました。
- 恐れ入りますが:他者に何かをしてもらうことに対するお詫びを示す前置きの言葉
- 申し訳ありませんが:自分の行動によって相手に掛かる迷惑へのお詫びを示す前置きの言葉
「恐れ入りますが」「申し訳ありませんが」は仕事をする上で必ず使う表現ですが、二つの表現に違いがあるということはあまり知られていません。
この機会にぜひ、正しい使い方を覚えてビジネスのマナーを身に着けましょう。