今回ご紹介する言葉は、ことわざの「元も子もない(もともこもない)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳・「身も蓋もない」との違いについてわかりやすく解説します。
☆「元も子もない」をざっくり言うと……
読み方 | 元も子もない(もともこもない) |
---|---|
意味 | 失敗をして、利益を得るどころか元手まで失ってしまうこと。本来の目的が失われること。 |
由来 | 投資をして利子を得るはずが、失敗して元金まで失ってしまう様子 |
類義語 | 本末転倒、釈根灌枝、舎本逐末など |
英語訳 | all for nothing(無駄に) |
このページの目次
「元も子もない」の意味をスッキリ理解!
「元も子もない」の意味を詳しく
「元も子もない」には、2つの意味があります。
- 失敗をして、利益を得るどころか元手まで失ってしまうこと
- すでに手に入っていたものも、手に入れようとしていたものも、すべて失ってしまうこと。
①は、「儲けるつもりだったのに、逆に損してしまった」という意味です。②は、①の意味から派生したものです。
「元も子もない」の使い方
- 投資のタイミングを誤り、元も子もなくなった。
- ケガをしているのに無理して練習したら、元も子もなくなる事態になりかねない。
- 手段と目的を取り違えたら、元も子もない。
- 宿題を終わらせたのに、学校に持っていくのを忘れるのは元も子もない。
「元も子もない」は、①の例文では「利益を得るどころか元手まで失ってしまうこと」の意味として、②~④の例文では「本来の目的が失われること」の意味としてそれぞれ使われています。
「元も子もない」の由来
「元も子もない」の「元」は元金のことで、「子」は利子のことを指します。投資をして利子を得るはずが、失敗して元金(元手のお金。もともと持っているお金)まで失ってしまう様子から生まれた言葉です。
「元も子もない」の類義語
「元も子もない」には以下のような類義語があります。
- 本末転倒(ほんまつてんとう):大事なことと、些細なことを取り違えること
- 釈根灌枝(しゃくこんかんし):物事の根本を忘れること
- 舎本逐末(しゃほんちくまつ):物事の根幹となることをいいかげんにして、必要のないことに関心を持つこと
いずれも①ではなく②の「本来の目的が失われること」の対義語です。「本末転倒」の「本末」は物事の根本的な部分のことで、「転倒」はひっくり返ることです。
「釈根灌枝」の「釈根」は「根を捨てること」で、「灌枝」は「枝に水をやること」です。些細なことに気を取られて、肝心なことを忘れることを指します。
「舎本逐末」の「舎本」は「本質を」捨てることで、「逐末」は「つまらないものを追い求めること」です。
これらの四字熟語は、すべて「目的と手段を取り違える」というニュアンスを含んでいます。
「本末転倒」の例文は以下の通りです。
- 学費を稼ぐためにアルバイトに専念して、勉強の時間を確保できないのは本末転倒だ。
- 部屋の整理をするのに、かえって散らかしてしまうのは本末転倒だ。
「釈根灌枝」の例文は以下の通りです。
- 徹夜で勉強したのに寝坊するのは、釈根灌枝だ。
- 仕事に精を出しても、家族との時間を作れなかったら釈根灌枝だ。
「舎本逐末」の例文は以下の通りです。
- 良いアイデアが思いついても、締め切りまでに提出できなければ舎本逐末だ。
- 作業を効率化するための作業に時間を取られることは、まさに舎本逐末だ。
「元も子もない」の英語訳
「元も子もない」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- all for nothing
(無駄に)
以下で例文をご紹介します。
・What he had done was all for nothing. (彼がしたことは無駄になってしまった)
「元も子もない」と「身も蓋もない」との違い
「身も蓋もない」は、「元も子もない」と意味は異なるものの、言い回しが似ているため混同されがちな言葉です。「身も蓋もない」は、「表現があまりにも直接的で、含みや情緒がないこと」という意味です。
容器も蓋もなく、すべてがさらけ出されていて丸見えであることを表しています。そこから、「身も蓋もない」は「ストレートで面白みのないこと」という意味を持つようになりました。
まとめ
以上、この記事では「元も子もない」について解説しました。
読み方 | 元も子もない(もともこもない) |
---|---|
意味 | 失敗をして、利益を得るどころか元手まで失ってしまうこと。本来の目的が失われること。 |
由来 | 投資をして利子を得るはずが、失敗して元金まで失ってしまう様子 |
類義語 | 本末転倒、釈根灌枝、舎本逐末など |
英語訳 | all for nothing(無駄に) |
「元も子もない」はよく使う言葉ですが、その意味をきちんと理解できている人は多くないかもしれません。この機会に、類義語や対義語も確認しておきましょう。