今回ご紹介する言葉は、熟語の「了承(りょうしょう)」です。
言葉の意味・使い方・返答・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「了承」をざっくり言うと……
読み方 | 了承(りょうしょう) |
---|---|
意味 | 引き受けること、納得すること |
類義語 | 了解、承知、承諾など |
対義語 | 拒否、拒絶、辞退など |
英語訳 | approve(承諾)、agree(同意する)、understanding(理解する)など |
このページの目次
「了承」の意味をスッキリ理解!
「了承」の意味を詳しく
「了承」とは相手の事情や申し出を理解し、引き受けることを表す言葉です。
「了承」を構成する漢字には以下のような意味があります。
- 了:意味を理解する
- 承:相手の意向を受け入れる
そのため、「了解」よりも、受け入れるニュアンスが強い言葉であり、相手の事情をくんで納得することを言います。
目上の人に対して「了承しました」と言うことは、上から目線な印象を与えるため控えた方がいいでしょう。
「了承」の書き換え
「了承」は、「諒承」「領承」「領掌」とも書くことができます。
どの字を用いても同じ意味を表しますが、それぞれ以下の成り立ちがあります。
「諒承」は、「相手の事情をくんで納得する」という意味で使われます。
古くは「りょうじょう」という読み方で使われていました。
「領承」は、「納得する」という意味で使われています。
言われたことを理解したり納得したりすることを表します。
「了承」と書くのが一般的です。
「了承」の使い方
「了承」は、主に以下のような言い回しで使われます。
- 了承を得る
- 了承しました/いたしました
- 了承願いします/ください
- ご了承いただいております
- 了承済み
それぞれの言い回しの意味について、例文とともに見ていきましょう。
了承を得る
「了承を得る」とは、「相手に理解してもらうこと、納得してもらうこと」です。
- この企画については、あらかじめ課長の了承を得なくてはならない。
この例文は、「この企画については、あらかじめ課長の許可がいる」ことを表しています。
今回の例文のような場合は「許可」と置き換えても問題ありません。
こちらの意向や提案を上司や目上の人に伝え、理解・納得をしてもらうことを「了承を得る」と言います。
了承しました/いたしました
「了承しました/了承いたしました」は、自分が相手の意向や提案に対して理解や納得を示すときに使用する表現です。
- 先日報告のあった件について、了承しました。
この場合は、「承知しました」「かしこまりました」「わかりました」などの表現が適切です。
了承願います/ください
「了承願います/ください」は、自分の意向や提案を相手に理解してもらいたい・納得してもらいたいときに使います。
- こちらの都合で大変恐れ入りますが、日程を変更させていただくこととなりました。ご了承願います。
- 誠に勝手ながら、この度の公演は中止とさせていただきます。何卒ご了承ください。
1つ目の例文は「こちらの都合で公演を中止したことを受け入れてほしい」という意味です。
「何卒ご了承ください」という言葉自体が失礼に当たるというわけではありませんが、相手によっては、一方的に無理やり納得させられるという印象を持たれる恐れがあります。
そのため、ビジネスシーンなど目上の相手に使う場合は、2つ目の例文のように「ご了承願います」という、より丁寧な言葉に言いかえるのがよいでしょう。
2つ目の例文は、「こちらの都合で日程を変更しますが、どうかご理解のほどよろしくお願いします」という、ビジネスシーンでよく使われる典型的な文です。
「申し訳ございませんが」「恐れ入りますが」などと一緒に使われます。
ご了承いただく
「ご了承いただく」は、目上の人から理解・納得を得るという意味です。
- 契約内容の変更につきまして、ご了承いただけますと幸いです。
また、目上の人から了承を得ていることについて本人に感謝を述べる際は「ご了承いただき、ありがとうございます」などと伝えます。
了承済み
「了承済み」は、「しっかりと確認し、理解してされている」という状態を指す表現です。
- その件については、すでに部長も了承済みだ。
「了承」を求められたときの返答
「ご了承ください」「ご了承いただけますと幸いです」など、了承を求められた場合は、以下のように受け答えします。
- 承知しました
- 承りました
- かしこまりました
- 拝承しました
返答①:「承知しました/いたしました」
「承知しました」は、聞き入れることを表す丁寧な表現です。
- ご連絡いただいた件について、承知しました。
ビジネスのシーンでも多く使われる言葉で、目上の人に対しても使うことができます。
返答②:「かしこまりました」
「かしこまりました」は「承知しました」と同様に、聞き入れることを表す丁寧な表現です。
- 明日のお約束を18時に変更とのこと、かしこまりました。
相手に対する敬意が強くあらわれた表現です。
返答③:「拝承しました」
「拝承しました」は「承知する」の謙譲語にあたる表現です。
- 社長直々にご依頼いただいた件、拝承しました。
返答④:「了承しました」は避ける
「了承しました」という返事は適切ではありません。
これまでも説明してきたように、「了承」にはやや上からなニュアンスが含まれているためです。
「わかりました」は正しい敬語ですが、相手に対する敬意がやや低い表現です。
失礼にはなりませんが、相手に馴れ馴れしい印象を与える可能性があります。
「了解」は、目上の人が目下の人に使う言葉です。
日常会話で使うこともありますが、上司や取引先などの目上の人に対して「了解しました」を使うのは失礼に値します。
「了承」の類義語
「了承」には以下のような類義語があります。
「了承」と「承諾」の違い
「了承」と「承諾」には、以下のようなニュアンスの違いがあります。
- 了承:相手の事情をくんで納得すること
- 承諾:他人の依頼や要求などを積極的に受け入れること
「了承」と「承諾」では納得の度合いが異なるのです。
また、「了承」が目下の人に使うことが多い言葉なのに対して、「承諾」目上の人に使うことが多い言葉です。
「了承」と「承認」の違い
「了承」と「承認」には、以下のようなニュアンスの違いがあります。
- 了承:相手の事情をくんで納得すること
- 承認:そのことが正しいことであると認めること
「了承」と「同意」の違い
「了承」と「同意」はほとんど同じように使われますが、以下のようなニュアンスの違いがあります。
- 了承:相手の事情をくんで納得すること
- 同意:他人と同じ意見であること、賛成すること
「了承」には上から下へというニュアンスがありますが、「同意」にはそのような意味合いはありません。
「了承」と「容赦」の違い
「了承」と「容赦」には、以下のようなニュアンスの違いがあります。
- 了承:相手の事情をくんで納得すること
- 容赦:相手の事情や主張を許すこと
ただし、「容赦」には「許す」という意味が含まれており、 申し訳ないが納得してほしいというニュアンスになります。
「了承」の対義語
「了承」には以下のような対義語があります。
- 拒否:受け入れないこと、跳ねのけること
- 拒絶:相手の事情などを突き返すこと、取り合わないこと
- 辞退:得ている権利を放棄すること、することをやめること
- 反論:相手の論や主張に反対の意見を述べること
対義語には「何かを認めない、やめる」などの意味が共通しています。
「了承」の英語訳
「了承」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- approve
(承認する、許可する) - agree
(同意する、賛成する) - understanding
(理解) - acknowledge
(認める)
“approve” は、他動詞としてだけでなく “approve of 名詞” という形でも使用するため、注意して使い分けましょう。
また、 “understanding” は「理解する」という意味であるため、「了解」の英語訳としても使用されます。
まとめ
以上、この記事では「了承」について解説しました。
読み方 | 了承(りょうしょう) |
---|---|
意味 | 引き受けること、納得すること |
類義語 | 了解、承知、承諾など |
対義語 | 拒否、拒絶、辞退など |
英語訳 | approve(承諾)、agree(同意する)、understanding(理解する)など |
「了承」は、ビジネスシーンでとても頻繁に使われる言葉であるため、「了解」などと使い分けができるようにしましょう。