「踏襲」の意味とは?使い方から類語や英語や対義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「踏襲(とうしゅう)」です。

言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「踏襲」をざっくり言うと……

読み方踏襲(とうしゅう)
意味前任者の作法などをそのまま受け継ぐこと
類義語準拠、継承、維持など
対義語順応、改正、更新など
英語訳follow(後を継ぐ)

「踏襲」の意味をスッキリ理解!

踏襲(とうしゅう):前任者の作法などをそのまま受け継ぐこと

「踏襲」の意味を詳しく

「踏襲(とうしゅう)」とは、前任者の作法などをそのまま受け継ぐことです。

「踏襲」を構成する漢字にはそれぞれ以下のような意味があります。

「踏襲」の漢字の意味
  • :「ふまえる」「ふむ」
  • :「受け継ぐ」「おそう」

「踏襲」は「踏」の「ふまえる」、「襲」の「受け継ぐ」という意味を組み合わせて「前任者の作法などをそのまま受け継ぐ」という意味になっているのです。

四字熟語「前例踏襲」の意味

「踏襲」は「前例踏襲(ぜんれいとうしゅう)」という形で四字熟語として使うこともできます。

「前例踏襲」は「これまでと同じやり方を続ける」という意味です。

「踏襲」とほぼ同じ意味であることがわかります。

「踏襲」の読み方

「踏襲」は「とうしゅう」と読みます。

「ふしゅう」「ふんしゅう」「しゅうとう」などと読み間違えてしまわないように注意しましょう。

「踏襲」の使い方

  1. 彼はこれまでのやり方を踏襲し、無難に役割を果たした。
  2. 先代の方法を踏襲するのはいいが、いつまでも同じことをしていては成長できないよ。

上記の例文のように、「踏襲」は「踏襲する」という形で、「やり方」「方法」などといった言葉に続いて使われることが多いです。

①の例文では、「彼」がそれまで行われてきた方法を受け継ぎ、当たり障りなく役割を遂行したことが表現されています。

②の例文では、先代の方法を「踏襲」する相手に対し、そのままでは変化がないことを諭しています。

このように、「踏襲」はポジティブな意味でもネガティブな意味でも使われます。

「踏襲」の類義語

踏襲には以下のような類義語があります。

  • 倣う(ならう):手本を真似すること
  • 準拠(じゅんきょ):すでにあるものをよりどころとして、それに従うこと
  • 継承(けいしょう):身分や財産などを前代から受け継ぐこと
  • 受け継ぐ(うけつぐ):前の人のものを引き継ぎ継続していくこと
  • 維持(いじ):もともとの状態を保ち続けること
  • 保守(ほしゅ):それまでの状態などを変えないこと
  • 世襲(せしゅう):特定の地位、財産などを子孫が受け継ぐこと
  • 続投(ぞくとう):交代せずに役目を続けること
  • 継続(けいぞく):前から行っていたことを続けて行うこと
  • 相続(そうぞく):亡くなった人の財産を受け継ぐこと

「踏襲」と「倣う」の違い

「倣う」は、先にあるものを手本にし、そのやり方に従って同じように物事を行うことです。

「倣う」は「踏襲」に対し、「真似をする」というニュアンスが強くなります。

また、「踏襲」するのは、前任者などが引退したり亡くなっていたりする場合に限りますが、「倣う」場合にはそうである必要がありません。

「踏襲」と「準拠」の違い

「準拠」は、すでにあるものを手本として、それに従うことです。

「準拠」は「踏襲」に対し、より形式的な部分を真似するというニュアンスが強いです。

たとえば、もともとある型の基準通りに商品を作成するときなどといった場面では、「準拠」が使われます。

「踏襲」と「継承」の違い

「継承」は身分や財産などを前代から受け継ぐことです。

「踏襲」はやり方や作法など、形のないものを引き継いだときに使います。

一方で、「継承」は財産など形のあるものに対しても使うことができる言葉です。

「踏襲」と「受け継ぐ」の違い

「受け継ぐ」は前の人のものを引き続き継続していくことという意味です。

「踏襲」がやり方・作法など形のないものを引き継いだ時に使うのに対して、「受け継ぐ」は形のあるものを引き継ぐ時にも用いられます。

そして、「受け継ぐ」は、軽い仕事やちょっとした伝統などを引き継ぐときにも使えます。

「踏襲」より広範囲で用いられる言葉なのです。

「踏襲」と「維持」の違い

「維持」はもともとの状態を保ち続けることです。

「踏襲」は誰か特定の人物から引き継ぐというニュアンスが強いです。

一方、「維持」は環境や思想など、ものごとそのものを引き継ぐ時に使われることが多いです。

「踏襲」と「保守」の違い

「保守」はそれまでの状態を変えないことという意味です。

「踏襲」は特定の人物から引き継ぐというニュアンスが強いです。

一方、「保守」は環境など、ものごとを引き継ぐ時に用いられることが多いです。

そして、「保守」には「積極的には変えないものの、必要があれば変える」というニュアンスがあります。

「踏襲」の対義語

踏襲には以下のような対義語があります。

  • 順応:行動などを変化する環境に合わせて対応させること
  • 改正:よくない点などを改めること
  • 更新:新しく上書きすること
  • 刷新:害のあるものを取り除き、新しくすること
  • 革新:古くからある思想や習慣などを新しく変えていくこと

「順応」は、環境などの変化を背景に、自身の行動をふさわしい形に変えていくことです。

「改正」「更新」「刷新」「革新」は、それまでの物事を変える場合に使う言葉です。

「改正」は規則などに対し、「更新」は記録などに対して使います。また、「刷新」「革新」は習慣や体制など、集団の行動規範やルールを変えていくときに使います。

どの言葉も、「変える」という意味が主軸となっており、「やり方を変えない」というニュアンスを持つ「踏襲」とは対になります。

「踏襲」の英語訳

踏襲を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • follow
    (後を継ぐ)
  • stick to
    (忠実に守る)
  • take over
    (引き継ぐ)
  • hand over
    (引き渡す)

“follow” には「後を継ぐ」「従う」などの意味があります。

“follow” だけでも「踏襲する」という意味にはなりますが、「彼のやり方を踏襲する」などと表現したい場合には “follow in his footsteps” と表現すると自然になります。

まとめ

以上、この記事では「踏襲」について解説しました。

読み方踏襲(とうしゅう)
意味前任者の作法などをそのまま受け継ぐこと
類義語準拠、継承、維持など
対義語順応、改正、更新など
英語訳follow(後を継ぐ)

新しいことが求められる現代では、ただ「踏襲」するだけでは相手を満足させられない場合もあります。

いいやり方などを「踏襲」しつつ、うまく新しいアイデアも生み出せるようにしたいですね。