今回ご紹介する言葉は、ことわざの「塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳について分かりやすく解説します。
☆「塵も積もれば山となる」をざっくり言うと……
読み方 | 塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる) |
---|---|
意味 | ほんの些細なものでも、たくさん積み重なれば山のように大きなものになること |
由来 | 『大智度論』 |
類義語 | 雨垂れ石を穿つ、点滴石を穿つ、積羽舟を沈むなど |
英語訳 | Many a little makes a mickle.(たくさんの小さなものが大きなものを作る、塵も積もれば山となる) |
このページの目次
「塵も積もれば山となる」の意味をスッキリ理解!
「塵も積もれば山となる」の意味を詳しく
「塵も積もれば山となる」とは、ほんの些細なものでも、たくさん積み重なれば山のように大きなものになることです。また、小さなことでも疎(おろそ)かにしてはいけないことを言います。
最近では、若者の間で「チリツモ」と略されて使われています。
塵は、「些細なこと」「小さなこと」という意味です。「つまらないもの」というの意味で用いるのは誤りですので、注意しましょう。
また、「塵も積もれば山となる」は『江戸いろはかるた』の読み札としても用いられています。
「塵も積もれば山となる」の使い方
「塵も積もれば山となる」は、以下のように使われます。
- チョコレート1粒でも塵も積もれば山となる、ダイエットのために我慢しよう。
- 彼女は、どんな小さなことでも進んでやろうとする。まさに「塵も積もれば山となる」で、彼女は周囲から絶大な信頼を得ている。
- 1日に3分でもいいから、毎日フランス語の勉強をしよう。塵も積もれば山となるので、5年後にはフランス語の能力が格段に向上しているだろう。
例文①の「塵」にあたるものは、チョコレート一粒です。チョコレート一粒でも、繰り返し食べてしまうと大きなカロリー摂取になることを表しています。
例文②は、小さな行動を積み重ねることで周囲からの信頼を得ることに繋がったという例文です。
例文③は、「1日3分」という小さな積み重ねでも、積もりに積もった5年後には大きな成果を生み出すだろうということを表現した文章です。
「塵も積もれば山となる」の由来
「塵も積もれば山となる」は、『大智度論(だいちどろん)』という仏教に関する書物に由来しています。
『大智度論』は、大品般若経(だいぼんはんにゃきょう)という仏教の教えが書かれた書物の注釈書です。その内容は100巻にも及び、94巻に「塵も積もれば山となる」の由来となった文章が収められています。その内容は以下の通りです。
これを噛み砕いて現代語訳すると、「たとえば、どんなに小さなものでも積み重ねて山を作ったならば、それを動かすことは難しい」となります。
ここから派生し、「塵も積もれば山となる」ということわざが生まれました。
「塵も積もれば山となる」の類義語
塵も積もれば山となるには以下のような類義語があります。
- 雨垂れ石を穿つ(あまだれいしをうがつ):どんなに小さな努力でも、辛抱強く続けていればいつか必ず成功するということ
- 点滴石を穿つ(てんてきいしをうがつ):どんなに小さな努力でも、辛抱強く続けていればいつか必ず成功するということ
- 積羽舟を沈む(せきうふねをしずむ):小さなことも、積もり重なると大事になること
- 一文銭も小判の端(いちせんもんもこばんのはし):僅かだからといって粗末にしてはいけないこと
- 愚公山を移す(ぐこうやまをうつす):どんな困難も辛抱強く努力を続ければ成し遂げられるということ
- 石の上にも三年:がまん強く辛抱して続ければ、いつか成し遂げられるということ
「点滴石を穿つ」は、「雨垂れ石を穿つ」を言い換えたものです。雨垂れや点滴は、小さな水滴のことです。小さな水滴でも、長い年月同じ場所に落ち続ければいつかは石に穴を開けるしまうという意味から転じたことわざです。
「積羽舟を沈む」は、軽い羽根でも、大量になるとその重さで舟も沈んでしまうというたとえから生まれたことわざです。
「一文銭も小判の端」は、一文銭でも集まれば小判の金額に相当するのだから、小さなことを粗末にしてはいけないということわざです。
「塵も積もれば山となる」の英語訳
塵も積もれば山となるを英語に訳すと、次のような表現になります。
- Many a little makes a mickle.
(たくさんの小さなものが大きなものを作る、塵も積もれば山となる) - Even dust becomes a mountain if piled together.
(塵でも積み重なれば山となる) - Every little helps.
(ごく少しずつが力になる)
“Many a little makes a mickle.” は、「塵も積もれば山となる」の直訳とも言える表現です。
“Every little helps.” は、どんなに小さなものでも役に立つという意味です。
まとめ
以上、この記事では「塵も積もれば山となる」について解説しました。
読み方 | 塵も積もれば山となる(ちりもつもればやまとなる) |
---|---|
意味 | ほんの些細なものでも、たくさん積み重なれば山のように大きなものになること |
由来 | 『大智度論』 |
類義語 | 雨垂れ石を穿つ、点滴石を穿つ、積羽舟を沈むなど |
英語訳 | Many a little makes a mickle.(たくさんの小さなものが大きなものを作る、塵も積もれば山となる) |
物事は何事も継続することが大切ですが、何かを続けることはとても難しいことです。無理のない小さな頑張りこそ、継続の秘訣かもしれません。まさに「塵も積もれば山となる」ですね。
「塵も積もれば山となる」の意味と使い方を覚え、正しく使えるようにしましょう。