「九死に一生を得る」とは「ほとんど助かる見込みがないところから、奇跡的に助かること」という意味です。
「九回死んで、一回生き返る」ことが由来だと思ってしまいますよね。
九と一は、死ぬ可能性と生きる可能性の割合を表しているのです。
この記事では、「九死に一生を得る」の意味や使い方を詳しく解説します。
☆「九死に一生を得る」をざっくり言うと……
読み方 | 九死に一生を得る(きゅうしにいっしょうをえる) |
---|---|
意味 | ほとんど助かる見込みがないところから、奇跡的に助かること |
類義語 | 十死一生 万死一生 死線を越える など |
英語訳 | have a narrow escape (危ないところを助かる) have a close-set (of it) (危険なことから危うく逃れる) have a close shave (かろうじて逃れる) など |
漢数字がつくことわざ | 一寸の虫にも五分の魂 石の上にも三年 早起きは三文の得 |
このページの目次
「九死に一生を得る」の意味
ほとんど助かる見込みがないところから、奇跡的に助かること
「九死に一生を得る」は、非常に危険な状態から、かろうじて助かることを表します。
「九死に一生を得る」は、以下のように表記することもあります。
- 九死一生と省略する
- 九死に一生と省略する
- 「得る」を「うる」と読む
ここからは、「九死」と「一生」の意味を詳しく解説します。
「九死」の意味
ほとんど命が助からないような、危険な状態
九死は、九割、つまり90%は死が避けられないことから、ほとんど死が避けられないような危ない状態を表します。
「一生」の意味
- 生まれてから死ぬまでの間
例:一生忘れられない出来事、一生分の力を振り絞る - やっとのことで生き延びる
例:九死に一生を得る、九死一生 - (「一生の〜」の形で)生涯に一度しかないようなこと
例:一生のお願い、一生の不覚
「九死に一生を得る」では、②の「やっとのことで生き延びる」という意味で使われています。
一割、つまり10%しか生き残る可能性がないことを表します。
「九死に一生を得る」は、死ぬ可能性が九割で、生きる可能性が一割であることから、「ほとんど助かる見込みがないところから、奇跡的に助かること」という意味です。
九と一は、回数のことではなく、「九回死んで一回生きる」という意味ではありませんので、注意しましょう。
「九死に一生を得る」の使い方
「九死に一生を得る」は、生死に関することを述べる時に使います。
具体的な例文を見てみましょう。
- 僕が店を出た後すぐ、その店が爆発するという、まさに九死に一生を得る体験をした。
- 隣の家で火災が起きた時、ちょうど外出していたため九死に一生を得た。
- 海でおぼれた時にはもう駄目かもしれないと思ったが、救命ボートが来て九死に一生を得た。
「九死に一生を得る」の類義語
「九死に一生を得る」の類義語を、以下の2パターンに分けて見ていきましょう。
- 同じ意味をもつ語
- 似た意味を持つ語
類義語①同じ意味をもつ語
「九死に一生を得る」と同じく、「ほとんど助かる見込みがないところから、奇跡的に助かること」という意味の語には以下のようなものがあります。
- 十死一生(じっしいっしょう)
①ほとんど助かる見込みがないこと
②ほとんど助かる見込みがないところから、奇跡的に助かること - 万死一生(ばんしいっせい/ばんしいっしょう)
①死ぬ覚悟で事にあたること
②ほとんど助かる見込みがないところから、奇跡的に助かること - 万死(ばんし)に一生を得る
- 万死の中(うち)に一生を得る
- 万死を出(い)でて一生に遭う
- 一命を取り留める
- 命拾い(いのちびろい)
- 辛うじて(かろうじて)生き残る
十死と万死は、「ほとんど命が助からないような、危険な状態」を表します。
類義語②似た意味を持つ語
「九死に一生を得る」と似た意味の語には以下のようなものがあります。
- 死線を越える
生死の境を切り抜ける - 死中(しちゅう)に活(かつ)を求める
①助かる道がほとんどない状況から、なんとか生きる方法を見つけようとすること
②苦境を切り抜けるために、あえて危険な道を選ぶこと - 命に別状はない
危険な状態だったが、命に関わることではない
「死に活を求める」を「死中に活を入れる」と表記するのは誤りですので、注意しましょう。
「九死に一生を得る」の英語訳
「九死に一生を得る」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- have a narrow escape
(危ないところを助かる) - have a close-set (of it)
(危険なことから危うく逃れる) - have a close shave
(かろうじて逃れる) - escape with one’s life
(ほとんど助かる見込みがないところから、奇跡的に助かること) - save one’s neck
(危うく助かる) - save one’s skin
(自分だけ危険から逃れる) - the state of being barely alive
(かろうじて生きている状態) - barely escapes death
(かろうじて死をまぬがれる) - narrowly survive
(かろうじて生き延びる)
関連:漢数字がつくことわざ
「九死に一生を得る」は、漢数字の九と一が含まれていることわざです。
漢数字を含むことわざは、以下のようなものがあります。
- 一寸の虫にも五分(ごぶ)の魂
どんなに小さくて弱いものにも、それ相応の意地や考えがあるのだから、むやみに馬鹿にしてはいけない - 石の上にも三年
がまん強く辛抱すれば、いつかは必ず成功する - 早起きは三文(さんもん)の得
早起きすると良いことがある
「九死に一生を得る」のまとめ
以上、この記事では「九死に一生を得る」について解説しました。
読み方 | 九死に一生を得る(きゅうしにいっしょうをえる) |
---|---|
意味 | ほとんど助かる見込みがないところから、奇跡的に助かること |
類義語 | 十死一生 万死一生 死線を越える など |
英語訳 | have a narrow escape (危ないところを助かる) have a close-set (of it) (危険なことから危うく逃れる) have a close shave (かろうじて逃れる) など |
漢数字がつくことわざ | 一寸の虫にも五分の魂 石の上にも三年 早起きは三文の得 |
「九死に一生を得る」ことはなかなかないかもしれませんが、知識として覚えておきましょう。