今回ご紹介する言葉は、ことわざの「蛙の面に水(かえるのつらにみず)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳について分かりやすく解説します。
☆「蛙の面に水」をざっくり言うと……
読み方 | 蛙の面に水(かえるのつらにみず) |
---|---|
意味 | 何事にも動じず、平気でいる様子。また、何をしても意味がないこと。 |
由来 | 京都のいろはかるた |
類義語 | 豚に念仏猫に経、石に灸など |
対義語 | 鳩に豆鉄砲、鬼の目にも涙など |
英語訳 | like water off duck’s back(無駄なこと) |
このページの目次
「蛙の面に水」の意味をスッキリ理解!
「蛙の面に水」の意味を詳しく
「蛙の面に水」とは、「どんなことをされても気にせず、平気でいる様子」のことです。
「神経が図太い様子」や、「効果がないこと」のような意味合いで使われます。褒め言葉ではなく、皮肉の意味が強いことに注意しましょう。
蛙に水をかけても、何の効果もなく平気でいる様子から、このことわざができました。
「蛙の面に水」の使い方
- 息子は近頃、夜まで遊び歩くことに夢中だ。小遣いを減らしたが、蛙の面に水だった。
- 若い女性は、ダイエットに執着する。しっかり食事をすべきだという意見も、まるで蛙の面に水だ。
「蛙の面に水」の由来
「蛙の面に水」は、京都のいろはかるたに含まれています。
いろはかるたとは、「以呂波骨牌」とも書きます。江戸時代に作られ、いろは48文字を頭文字としたかるたのことです。地域によって内容は異なります。
例えば、「か」は以下のようになります。
- 江戸:かったいの瘡(かさ)うらみ
- 京都:蛙の面に水
- 大阪(名古屋):影裏の豆もはじけ時
京都のかるたに書かれた言葉が、ことわざとして会話で使われるようになりました。
「蛙の面に水」の類義語
蛙の面に水には以下のような類義語があります。
- 豚に念仏猫に経(ぶたにねんぶつねこにきょう):立派な教えでも、理解できない者には何の意味もないこと
- 石に灸(いしにきゅう):効き目や反応が何もない様子
- 犬に論語(いぬにろんご):何を言っても無駄な様子
- 牛に経文(うしにきょうもん):何の効果もないこと
- 馬の耳に念仏(うまのみみにねんぶつ):人の話に耳を貸さず、忠告などが少しも効果がないこと
「蛙の面に水」の対義語
蛙の面に水には以下のような対義語があります。
- 蛇に見込まれた蛙:強いものや、苦手なものの前で、身がすくんで動けないさま
- 鳩が豆鉄砲を食ったよう:突然の出来事に、目を丸くするさま
- 開いた口が塞がらない:人の言動などに、あきれてものが言えないさま
- 穴があったら入りたい:身を隠したいほど恥ずかしいさま
- 鬼の目にも涙:どんなに冷酷な人間でも、涙を流すことがあるということ
「蛙の面に水」の英語訳
蛙の面に水を英語に訳すと、次のような表現になります。
- like water off a duck’s back
(無駄なこと) - have a thick skin
(鈍感) - have a lot of nerve
(図太い神経)
like water off duck’s a backは、直訳すると「アヒルの背中を流れる水のよう」です。
アヒルの羽毛は、油分でコーディングされており、水をかけても流れてしまいます。この様子が、「無駄なこと」という意味の表現として、使われています。
“Giving him advice is like water off a duck’s back.(彼にアドバイスをするのは、無駄なことだ)” のように使います。
have a thick skinは、直訳すると「分厚い皮膚」という意味です。皮膚が分厚いため、痛みなどを感じないというさまから、「鈍感」という意味で使われます。
“He must have a thick skin.(彼は鈍感に違いない)” のように使います。
have a lot of nerveは、「神経がたくさんある」というさまを表します。このことから、「何があっても気にならない」や「図太い神経」という表現になりました。良い意味でも、悪い意味でも使われます。
“You have a lot nerve.(君は神経が図太いね)” のように使います。
まとめ
以上、この記事では「蛙の面に水」について解説しました。
読み方 | 蛙の面に水(かえるのつらにみず) |
---|---|
意味 | 何事にも動じず、平気でいる様子。また、何をしても意味がないこと。 |
由来 | 京都のいろはかるた |
類義語 | 豚に念仏猫に経、石に灸など |
対義語 | 鳩に豆鉄砲、鬼の目にも涙など |
英語訳 | like water off duck’s back(無駄なこと) |
「蛙の面に水」は、気にしないさまという意味から、褒め言葉だと勘違いされやすいことわざです。しかし、正しくはネガティブな意味を表します。しっかり確認し、正しく使えるようにしましょう。