「鬼の目にも涙」の意味とは?使い方から英語や類義語まで例文付きで

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「鬼の目にも涙」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「鬼の目にも涙」をざっくり言うと……

意味冷酷で無情な人であっても、時には同情から涙を流すということ
由来冷酷で無慈悲にふるまう人を、気性が荒く、人を食らう鬼にたとえたこと
類義語鬼の血目玉にも涙、鰐の目にも涙、鬼の中にも仏がいるなど
対義語仏の顔も三度、鬼の空念仏、鬼の空涙など
英語訳Even the hardest of hearts can be moved to tears.(冷酷な心であっても動かされ、涙を流しうる。)

「鬼の目にも涙」の意味をスッキリ理解!

鬼の目にも涙:冷酷で無情な人であっても、時には同情から涙を流すということ

「鬼の目にも涙」の意味を詳しく


「鬼の目にも涙」は、冷酷で無情な人であっても、時には同情から涙を流すという意味のことわざです。また、どんな人間にも人をあわれむ心があるということを表します。

このことわざを実際に使用するのは、「普段は厳しく怖い人が、涙を流す」というような場合が多いです。同情や憐れみだけでなく、感動や安心から涙を流す場合も使うことがあります。

「鬼」とは、仏教や陰陽道(※1)に由来する、空想上の怪物のことです。非常に気性が荒く、人間を食らう存在であると考えられています。

  • 陰陽道(※1):古代中国で生まれた、自然科学・呪術・天文学の体系の1つ

「鬼の目にも涙」の使い方

  1. 入学式以来、生徒から「鬼教師」として恐れられてきたA先生が、映画館で映画を観ながら涙ぐんでいた。鬼の目にも涙とはまさにこのことだろう。
  2. 私の事情を話すと、今までは厳しく取り立ててきた借金取りの様子が一変した。気が付くと、「大変だったな」と言いながら、涙を流していた。まさに鬼の目にも涙だった。

「鬼の目にも涙」の由来

「鬼の目にも涙」は、冷酷で無慈悲にふるまう人を、気性が荒く、人を食らう鬼にたとえたことに由来しています。

江戸時代には、圧政によって人々を管理していた代官(※2)が、情けから年貢の取り立てをゆるめる際に、このことわざが使用されました。

  • 代官(※2):領主に代わり、年貢の取り立てなどの仕事を行う者のこと

「鬼の目にも涙」の類義語

「鬼の目にも涙」には以下のような類義語があります。

  • 鬼の血目玉にも涙:「鬼の目にも涙」と同義
  • 鰐(わに)の目にも涙:「鬼の目にも涙」と同義
  • 鬼の中にも仏がいる:「鬼の目にも涙」と同義
  • 判官贔屓(ほうがんびいき):弱者に同情し、味方すること
「鬼の目にも涙」の類義語として、上記以外に「鬼も頼めば人食わず」が挙げられている場合があります。しかし、「鬼も頼めば人食わず」は多くの場合、「好きなことでも、人から頼まれると、かえってやらなくなる」という意味で使用します。

「冷酷な人でも、頼めば情けをかけてくれる」という意味ではないので、注意しましょう。

「鬼の目にも涙」の対義語

「鬼の目にも涙」には以下のような対義語があります。

  • 仏の顔も三度:どんなに慈悲深い人でも、繰り返し失礼なことをすれば腹を立てるということ
  • 鬼の空念仏(そらねんぶつ):冷酷な人が、表向きだけ慈悲深いようにふるまうこと
  • 鬼の空涙:「鬼の空念仏」と同義

「鬼の目にも涙」の英語訳

「鬼の目にも涙」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Even the hardest of hearts can be moved to tears.
    (冷酷な心であっても動かされ、涙を流しうる。)
  • Tears from the hardest heart
    (冷酷な心からも涙が出る)
  • A tear in the ogre’s eye
    (オーガの目の中の涙)

まとめ

以上、この記事では「鬼の目にも涙」について解説しました。

意味冷酷で無情な人であっても、時には同情から涙を流すということ
由来冷酷で無慈悲にふるまう人を、気性が荒く、人を食らう鬼にたとえたこと
類義語鬼の血目玉にも涙、鰐の目にも涙、鬼の中にも仏がいるなど
対義語仏の顔も三度、鬼の空念仏、鬼の空涙など
英語訳Even the hardest of hearts can be moved to tears.(冷酷な心であっても動かされ、涙を流しうる。)

人生では、厳しい人や冷酷な人に出会うことがあるでしょう。しかし、いくら厳しい一面があったとしても、必ずどこかに人間味や優しさがあるはずです。

「鬼の目にも涙」は、普段は「鬼」のような人が、「涙」という意外な一面を見せたときに使う言葉です。適切な場面で適切な表現ができるように、しっかり覚えておきましょう。