今回ご紹介する言葉は、カタカナ語の「マイノリティ」です。
「マイノリティ」の意味・使い方・語源・類義語・対義語についてわかりやすく解説します。
☆「マイノリティ」をざっくり言うと……
英語表記 | マイノリティ(minority) |
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意味 | 社会の中で少数派にあたる集団や立場のこと |
語源 | ラテン語の “minor” |
類義語 | 異端、アウトサイダー |
対義語 | マジョリティ、主流派、大衆 |
「マイノリティ」とは?
「マイノリティ」の意味を詳しく
「マイノリティ」とは、社会の中で少数派にあたる集団や立場のことです。つまり、社会的少数派のことです。
言葉をそのまま解釈すると、数が少ないというだけで、弱者というわけではありません。
ただ、「特に裕福な富裕層」「国家を支配する一部の人」のような「強者」は、たとえ社会的に少数であっても「マイノリティ」とはいいません。
そのため、「マイノリティ」には少なからず「社会の中で少数派であり、なおかつ弱者」というニュアンスが含まれています。
「マイノリティ」の条件
一般的には、「マイノリティ」の条件としては以下の4つが挙げられる。
- 識別可能性(identifiability)
- 権力の差(differential power)
- 差別的かつ軽蔑的な待遇の存在(differential and pejorative treatment)
- 少数派としての集団意識(group awareness)
それぞれ見ていきましょう。
条件①:識別可能性
「マイノリティ」にはその人を「マイノリティ」と識別できる、マジョリティとの差があります。
その例としては以下のようなものが挙げられます。
- 肌の色
- 目の色
- 服装
- 文化 など
そして、マジョリティから差別的な扱いを受ける「マイノリティ」はマジョリティとの差を隠そうとするのがふつうです。
条件②:権力の差
「マイノリティ」はマジョリティよりも権力が低いです。
具体的には、社会的な地位や政治参加の度合いなどが低いことが多いです。
この条件に当てはまらないため、「国家を支配する少数の白人」などは「マイノリティ」と呼びません。
条件③:差別的かつ軽蔑的な待遇の存在
「マイノリティ」はその人が「マイノリティ」であるという理由だけで社会的な差別を受けます。
マジョリティには利用できて、「マイノリティ」には利用できないサービスや施設などが存在する場合もあります。
条件④:少数派としての集団意識
「マイノリティ」には少数派としての集団意識が芽生え、同じ「マイノリティ」と連帯します。
中にはさまざまな事情によって連帯しない「マイノリティ」も存在します。
しかし、そんな「マイノリティ」でも、同じ立場にあるという集団意識は共有しています。
「マイノリティ」と差別
「マイノリティ」は、多数派と異なる特徴があるがゆえに、社会における差別・偏見の対象となることがあります。
また、民主主義国家においては、多数派の意見が法律・政策に取り入れられることが多いです。
そのため、「マイノリティ」が社会制度によって不利な立場になったり、不平等な扱いを受けたりすることがあります。
ただ、現在では先進国を中心に「マイノリティ」を尊重しようとする動きがあり、以前より「マイノリティ」に対する差別は減っています。
「マイノリティ」の種類
特定の人々を「マイノリティ」と位置づける要因は、さまざまです。
ただ、大きく分けると以下の2つになります。
- 少数民族
- 性的少数者
それぞれ見ていきましょう。
少数民族
「マイノリティ」として一番一般的なのは、少数民族です。
少数民族は以下のような項目がマジョリティと異なるため、社会的に不利な状況に置かれることが多いです。
- 身体的特徴
- 文化
- 宗教
特に人口の多くを1つの民族が占める単一民族国家の場合、「マイノリティ」に対する偏見や差別は強くなります。
一方、多くの民族が混在する多民族国家などの場合、「マイノリティ」であっても大きな差別や偏見を受けない場合があります。
性的少数者
性的少数者も「マイノリティ」として一般的です。
性的少数者とは性のありかたが多数派と異なる人々のことです。
性的少数者は、具体的には以下のような「LGBT」と呼ばれる人のことを指します。
- レズビアン
自分は女性で女性が好き - ゲイ
自分は男性で男性が好き - バイセクシュアル
男性も女性も好き - トランスジェンダー
心の性別と体の性別が異なる
LGBT以外にも、性的少数者にはさまざまな種類があります。
現在の法制度や文化は「心と体の性別が一致しており、男性が女性を、女性が男性を好きになる」ことを前提に整備されています。
そのため、性的少数者は差別的な扱いを受けることが多くなっています。
「マイノリティ」の使い方
- どのような社会にも、マイノリティは存在する。無理やりマジョリティに同化させるのではなく、柔軟に違いを受け入れることが大切だ。
- 集団内の多様性を保つためには、マイノリティの意見に耳を傾けることが大切だ。
- 大学を卒業しても働かなかった僕は、社会的にはマイノリティとして見られているだろう。
また、「マイノリティ」を使った言葉としては、以下のようなものがあります。
- マイノリティグループ(minority group):国家や社会において、民族的・文化的・宗教的に少数派にあたる人たちの集団
- マイノリティオピニオン(minority opinion):集団内での少数意見
- マイノリティ投資(minority investment):特定の企業の株式の過半数以下の株式を取得すること
- ボーカルマイノリティー(vocal minority):自分の政治的意見を積極的に表明する少数派
- ノイジーマイノリティー(noisy minority):論理的な裏付けが乏しく、声だけが大きい少数者
「マイノリティ」の語源
「マイノリティ」の語源はラテン語の “minor” です。
ラテン語の “minor”には、「より小さい」という意味があります。
これが元となり、同様の意味の英単語 “minor” ができました。
英単語 “minor”から派生してできたのが、 “minority” です。
「マイノリティ」の類義語
「マイノリティ」には以下のような類義語があります。
- 異端:その社会・時代で正統とされる思想から外れていること
- 少数派:属する人が少ない集団のこと
- アウトサイダー:成立している社会の範囲外にいる人のこと
「マイノリティ」の対義語
「マイノリティ」には以下のような対義語があります。
- マジョリティ:社会的多数派
- 主流派:社会において主流となる人々のこと
- 大衆:社会の大部分を占める一般の人々のこと
自分の政治的意見を表明しない一般の人のことを、「サイレントマジョリティ」といいます。
この言葉は、元々は1969年にアメリカのニクソン大統領が演説で使用したことで有名です。
ニクソン大統領は、演説の中で、次のように言いました。
- the great silent majority of my fellow Americans
(私を味方してくれる、物言わぬ大多数のアメリカ国民へ)
まとめ
以上、この記事では「マイノリティ」について解説しました。
英語表記 | マイノリティ(minority) |
---|---|
意味 | 社会の中で少数派にあたる集団や立場のこと |
語源 | ラテン語の “minor” |
類義語 | 異端、アウトサイダー |
対義語 | マジョリティ、主流派、大衆 |
2002年には、アメリカで『マイノリティ・リポート』という作品が公開されました。
監督はスティーヴン・スピルバーグ、主演はトム・クルーズでした。
この映画の影響もあってか、「マイノリティ」という言葉は、日本でも誰もが使う言葉になっています。
適切な場面で使えるように、しっかり意味を覚えておきましょう。