誤字とは「誤って書かれた、正しくない文字」という意味です。
文章を書く時、手書きでもスマホでも、間違いは避けたいですよね。
誤字と、誤記や誤植との違いが気になっている人もいるのではないでしょうか。
この記事では、誤字の意味や使い方に加えて、誤記や誤植との違いや、誤字を減らすための方法まで詳しく解説します。
☆「誤字」をざっくり言うと…
読み方 | 誤字(ごじ) |
---|---|
意味 | 誤って書かれた、正しくない文字 |
類義語 | 誤記 誤植 脱字 など |
対義語 | 正字 |
英語訳 | erratum(誤った字) typo(誤った字。タイプミス) a misused character(誤用された文字) など |
「誤字」の意味
誤って書かれた、正しくない文字
誤字は、主に漢字を間違えることを表します。
誤字は、以下の2字から成り立っています。
- 誤
うっかりした間違い - 字
言語を表す記号
つまり、誤字とは文字を間違えることを表します。
「誤字」の種類
誤字は細かく分類すると、以下のような種類があります。
- 意図していた文字ではないもの
- 異なる文字で読んでしまうもの
それぞれ例と一緒に見ていきましょう。
種類①意図していた文字ではないもの
誤字の多くは、文字を書く時に、意図している文字と異なる文字を書いてしまうことで生まれます。
例を見てみましょう。
正しい字 | 誤字 |
---|---|
よろしくお願い致します | よろしくお願い至します |
完璧 | 完壁 |
意外 | 以外 |
製薬 | 制約 |
刀 | 刃 |
種類②異なる文字で読んでしまうもの
誤字は、手書きで文字を書く時に、意図している文字と異なる文字で読んでしまうことでも生まれます。
例えば、ベートーヴェンの楽曲『エリーゼのために』は、誤字から生まれたとされています。
『エリーゼのために』を巡って、以下のようなエピソードがあります。
しかし、ベートーヴェンの周りにエリーゼという名前の人物はおらず、誰のために作った曲なのかは謎のまま、1827年にベートーヴェンは亡くなりました。
1923年、音楽学者・マックス・ウンガーがひとつの可能性を示しました。
それは、Elise(エリーゼ)ではなくTherese(テレーゼ)なのではないかというものです。
ベートーヴェンは、自分がピアノを教えていた女性・テレーゼに恋をしていたため、彼女に楽譜を送ったのです。
楽譜に書いた文字が汚く、『Therese(テレーゼ)』が『Elise(エリーゼ)』と読めてしまったため、『エリーゼのために』という楽曲のタイトルになったとされています。
「誤字」の使い方
誤字は本来、名詞です。
しかし、近年では誤字を動詞にして以下のような言い回しで使うこともあります。
- 誤字る
- 誤字った
- 誤字っている(誤字ってる)
例文を見てみましょう。
- 履歴書を書く時は、誤字に十分注意すべきだ。
- 作成した資料に誤字が多いと、社会人として常識を疑われかねない。
- 校正の仕事は、誤字脱字を見つけたり、表現の間違いを見つけたりすることだ。
- 大事な書類で誤字るのは避けたい。
- 誤字ったら書き直せば良いよ。
- この先生の資料、いつも誤字ってるよね。
動詞にした「誤字る」「誤字った」「誤字っている(誤字ってる)」は本来の使い方ではないため、親しい人だけに使うほうが無難です。
「誤字」の減らし方
誤字を減らすためには、文章をよく確認することが重要です。
文章を確認する時のポイントには、以下のようなものがあります。
- 誤字がある前提で読む
- 誤字の近くに注意する
- 音読する
- 紙面で読む
- 自分以外の人に頼む
それぞれ見ていきましょう。
減らし方①誤字がある前提で読む
誤字を減らすためには、文章を誤字がある前提で読むことが大切です。
人間は、誰でも間違いを犯します。
そのため、誰が書いた文章であっても、誤字などの間違いはあるつもりで確認することが必要です。
減らし方②誤字の近くに注意する
誤字を減らすためには、誤字の近くの文章に注意することも大切です。
1つ誤字を見つけても、油断せずに、その近くの文章も注意深く確認しましょう。
減らし方③音読する
誤字を減らすためには、書いてある文章を音読することも大切です。
声に出して読むことで、違和感がある文章に気付きやすくなります。
減らし方④紙面で読む
誤字を減らすためには、スマホやPC上の文章だとしても、印刷して紙面で読むことも大切です。
スマホやPC上の文章を、紙面で読み直すと間違いが見つかることがあります。
なぜなら、人間の目はずっと画面を見ていると疲れてしまうため、注意力が低下するからです。
減らし方⑤自分以外の人に頼む
誤字を減らすためには、自分が書いた文章を、人に読んでもらうことも大切です。
様々な人の確認を受けることで、自分一人だけで探すよりも多くの間違いが見つかりやすくなります。
「誤字」の類義語
誤字には以下のような類義語があります。
「誤記」を詳しく
誤記は、「誤った表記」という意味です。
誤表記ともいいます。
誤記は、以下の2字から成り立っています。
- 誤
うっかりした間違い - 記
書きしるすこと
誤記の例には以下のようなものがあります。
- 文字を間違う
ひらがなの「へ」とカタカナの「ヘ」を間違う - 使い分けを間違う
一般的な表記の「人」と生物学上の表記の「ヒト」の使い分けを間違う - 順番を間違う
「ひまわり」と書くところを「ひわまり」 - 脱落する
「こんにちは」と書くところを「こんちは」
「誤字」と「誤記」の違い
誤字と誤記は以下のような違いがあります。
誤字 | 誤記 | |
---|---|---|
意味 | 誤って書かれた、正しくない文字 | 間違った表記 |
対象 | 主に漢字 | 文字や記号 |
誤字と誤記は、間違える対象が異なります。
誤字は、主に漢字の間違いを表します。
一方、誤記は、漢字を含む全ての文字や記号の間違いを表します。
したがって、誤字は誤記の一部であるといえます。
「誤植」を詳しく
誤植は、「印刷物の間違った表記」という意味です。
誤植は、以下の2字から成り立っています。
- 誤
うっかりした間違い - 植
木を真っ直ぐに立てる
「誤植」の由来
誤植の由来は、活版印刷の工程のひとつである植字(しょくじ)という作業です。
活版印刷は、以下のような作業工程があります。
- 印刷したい内容の原稿を用意する
- 活字をひとつひとつ組み合わせて、版を作る
「活字」はハンコのようなもの。
版はインキを紙面に移すための板。 - 試し刷りをする
- 間違いがあった場合、版を作り直す
- 金属の枠に版を取り付ける
- 印刷する
- 使った物を清掃する
②の作業は、活字を版に真っ直ぐに立てるため、植字といいます。
植字を誤ると、印刷物に誤字が生まれます。
そのため、植字を誤ることを誤植と呼ぶようになりました。
「誤字」と「誤植」の違い
誤字と誤植は以下のような違いがあります。
誤字 | 誤植 | |
---|---|---|
意味 | 誤って書かれた、正しくない文字 | 印刷物の間違った表記 |
対象 | 主に漢字 | 文字や記号 |
方法 | 手書き、印刷物 | 印刷物 |
誤字と誤植は、間違える対象と方法が異なります。
誤字は、手書きや印刷物における、主に漢字の間違いを表します。
一方、誤植は、印刷物における、漢字を含む全ての文字や記号の間違いを表します。
「脱字」を詳しく
脱字は、「書き落とした文字」という意味です。
- 脱
取り除く - 字
言語を表す記号
つまり、脱字は、文字を書き落とすことを表します。
脱字の例には以下のようなものがあります。
- 「ご覧ください」と書くところを「ご覧ださい」
- 「行きます」と書くところを「行ます」
「誤字」と「脱字」の違い
誤字と脱字は以下のような違いがあります。
誤字 | 脱字 | |
---|---|---|
意味 | 誤って書かれた、正しくない文字 | 書き落とした文字 |
対象 | 主に漢字 | 文字や記号 |
誤字と脱字は、間違い方が異なります。
誤字は、主に漢字を間違えることを表します。
一方、脱字は、文字や記号を書き落とすことを表します。
「誤字脱字」を詳しく
誤字脱字は、「誤字と脱字を合わせた総称」です。
誤字と脱字の意味は以下の通りです。
- 誤字
誤って書かれた、正しくない文字 - 脱字
書き落とした文字
つまり、誤字脱字は、漢字を間違えたり、文字を書き落としたりすることを表します。
「誤字」の対義語
誤字には以下のような対義語があります。
- 正字(せいじ)
正しい書き方をした漢字
正字は、正しい書き方の漢字のみを指します。
そのため、ひらがなやカタカナは含みません。
「誤字」の英語訳
誤字を英語に訳すと、次のような表現になります。
- erratum
(誤った字) - typo
(誤った字。タイプミス) - a misused character
(誤用された文字) - a miswritten character
(誤用された文字) - illiteracy
(読み書きの能力がない)
「誤字」のまとめ
以上、この記事では誤字について解説しました。
読み方 | 誤字(ごじ) |
---|---|
意味 | 誤って書かれた、正しくない文字 |
類義語 | 誤記 誤植 脱字 など |
対義語 | 正字 |
英語訳 | erratum(誤った字) typo(誤った字。タイプミス) a misused character(誤用された文字) など |
現代では、手書きで文字を書くことが少なくなっています。
しかし、相手に伝わりやすいように、誤字を避ける気持ちは変わらず持っていたいですね。