今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「瓜田李下(かでんりか)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「瓜田李下」をざっくり言うと……
読み方 | 瓜田李下(かでんりか) |
---|---|
意味 | 人から疑われるようなことはするな |
由来 | 「瓜田に履を納れず」と「李下に冠を正さず」 |
類義語 | 悪木盗泉、瓜田之履、李下之冠など |
英語訳 | take care to be not doubt(疑われないよう気をつけろ)など |
「瓜田李下」の意味をスッキリ理解!
「瓜田李下」の意味を詳しく
「瓜田李下」とは、「人から疑われるようなことはするべきではないということ」という意味を持つ四字熟語です。
「瓜田」はその字の通り「瓜(うり)の畑」を意味します。また、「李」は「すもも」を指します。ですから、「李下」は「すももの木の下」を意味します。
「瓜田」と「李下」は、どちらも「誤解され残念な結果になること」を表す漢文から生まれました。このため、両者が組み合わさった「瓜田李下」は、「人に疑われるようなことはしないほうが良い」という戒めを表すのです。また、「瓜田李下」は、疑いを受けやすい場所や境遇のたとえとして用いられることもあります。
ちなみに「瓜田李下」は、漢字の順番を入れ替えて「李下瓜田(りかかでん)」と表記されることもあります。
「瓜田李下」の使い方
「瓜田李下」は、悪い例や禁止事項を述べるときに使います。
また、下記の例文のように、文の中に単独で挿入します。「瓜田李下している」「瓜田李下な〇〇」などというように使うことはできません。
- 近くに警官がいるときに落ち着きをなくすのは、瓜田李下、不審者だと疑われてしまう。
- 瓜田李下、自分が間違っていないのならば堂々としているべきだ。
- 生徒会長であるからには、瓜田李下、疑われるようなことはしてはいけない。
- 瓜田李下、テスト中によそ見をするとカンニングだと思われますよ。
「瓜田李下」の由来
すでに述べたように、「瓜田李下」は漢文を由来に持ちます。「瓜田」は、「瓜田に履を納れず」という漢文から作られました。また、「李下」は「李下に冠を正さず」という漢文から作られました。
どちらも、『古楽府(こがくふ)』の「君子行(くんしこう)」に含まれる一節です。
「李下に冠を正さず」の「李」は「すもも」を指します。また、「冠」は王冠などの「かんむり」を意味します。
すももは木に成っているので、採るためには手を頭の上に伸ばさなくてはなりません。同じく、冠も頭につけるものなので、つけ直すためにはどうしても手を頭の上に伸ばす必要があります。
このため、すももの木の下で冠を直そうとすると、その人物にその気がなくても、周囲からはすももを盗もうとしているように勘違いされてしまいます。つまり、「李下に冠を正さず」には「疑いをかけられるような紛らわしいことはするな」という意味があります。
「瓜田に履を納れず」も、「李下に冠を正さず」と同様の意味を持ちます。瓜は地面の上に成るため、瓜の畑で靴を履き直そうとすると、周囲の人からはあたかも瓜を盗もうとしているように見えてしまいます。これも、紛らわしい行動から疑いをかけられてしまう例です。
このように、「瓜田に履を納れず」と「李下に冠を正さず」は、どちらも「疑いをかけられるような言動はするべきでない」という教訓が込められていますね。
それぞれの漢文から「瓜田」と「李下」が独立し、合体することで「瓜田李下」という四字熟語がうまれました。
「瓜田李下」の類義語
瓜田李下には以下のような類義語があります。
- 悪木盗泉(あくぼくとうせん):志のある人は、身を慎んで(つつしんで)悪事には近づかないということ
- 瓜田に履を納れず:人に疑われるような行動は慎むべきだということ
- 李下に冠を正さず:常に用心深く行動して、疑われるようなことはしてはならないということ
「瓜田之履」と「李下之冠」は、「瓜田李下」と同じように「瓜田に履を納れず」と「李下に冠を正さず」から作られた四字熟語です。
「悪木盗泉」は、上記の意味の他に「どんなに困っても、人として外れた行いはしてはならない」という意味も含まれます。この四字熟語も「瓜田李下」と同様に、戒めとして使われることがわかります。
「瓜田李下」の英語訳
瓜田李下を英語に訳すと、次のような表現になります。
- take care to be not doubt
(疑われないよう気をつけろ) - be careful not to invite the least suspicion
(わずかな疑惑も引き起こさないように、慎重になれ)
まとめ
以上、この記事では「瓜田李下」について解説しました。
読み方 | 瓜田李下(かでんりか) |
---|---|
意味 | 人から疑われるようなことはするな |
由来 | 「瓜田に履を納れず」と「李下に冠を正さず」 |
類義語 | 悪木盗泉、瓜田之履、李下之冠など |
英語訳 | take care to be not doubt(疑われないよう気をつけろ)など |
勘違いから疑いをかけられてしまった時、「濡れ衣を着せられた」と思うでしょう。しかし、疑いをかけられる行動をする方に問題がある場合もあるのです。何もないのに怪しい行動をするのは避け、堂々としていることが疑いをかけられない一番の策です。