今回ご紹介する言葉は、ことわざの「うだつが上がらない」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「うだつが上がらない」をざっくり言うと……
意味 | いつまでたっても出世しないこと |
---|---|
由来 | 一説によると、相応の建築費がかかる防火用の壁を「うだつ」と呼ぶことから |
類義語 | 甲斐性なし |
対義語 | 錦を飾る、一花咲かせるなど |
英語訳 | He can’t get on in the world.(彼は成功できない。) |
このページの目次
「うだつが上がらない」の意味をスッキリ理解!
「うだつが上がらない」の意味を詳しく
「うだつが上がらない」には、以下の2つの意味があります。
- いつまでたっても出世しない
- 金銭的に恵まれず、生活が向上しない
基本的に、思うようにならず、一定期間ぱっとしない状況が続く様子を表します。
「うだつが上がらない」は、基本的にネガティブな意味になります。そのため、面と向かって言うと悪口になる可能性があります。
「うだつ」は、漢字では「卯建」「梲」「宇立」などと書きます。
「うだつが上がらない」の使い方
「うだつが上がらない」は、以下のような場面で使用します。
- 謙遜するとき
- 良くない現状についてほのめかすとき
- 誰かを悪く評価するとき
それでは、それぞれの場面について、例文と一緒に見ていきましょう。
使い方①:謙遜するとき
「うだつが上がらない」は自分が置かれている状況を自虐したり、謙遜したりして説明するときに使うことがあります。
使い方②:良くない現状についてほのめかすとき
仕事面や金銭面において望ましくない状況を表現するために、「うだつが上がらない」と言うことがあります。
- 頑張って働いてはいるが、借金のせいで、まったくうだつが上がらない。
- ここ最近、うだつが上がらなそうな顔をしているが、どうしたんだ。そんな顔をしていると、本当に出世が遠のくぞ。
一方、②の例文における「うだつが上がらない」は、「いつまでたっても出世しない」という意味です。
使い方③:誰かを悪く評価するとき
「うだつが上がらない」は、しばしば第三者の噂や悪口を言う際に使われることもあります。
「うだつが上がらない」の由来
「うだつが上がらない」の由来は、諸説あります。
今回は、有力な説を四つご紹介します。
- 防火壁を由来とする説
- 梁(はり)の上に立てる柱を由来とする説
- 棟木から押さえつけられる様子を由来とする説
- 年中下積みになっている土台の枠を由来とする説
①防火壁を由来とする説
建物の外に張り出した防火用の壁のことを、「うだつ」「うだち」と言います。この意味の場合、漢字では「卯建」「宇立」と書きます。
「うだつ」は、江戸時代に、関西地方を中心に作られました。
立派な「うだつ」をつけるためには、相応の建築費がかかりました。そのため、裕福な家ほど立派な「うだつが上がる」ことになります。このことから、「うだつが上がる」ことは身分・裕福さの象徴になりました。
また、ここから、「うだつが上がらない」ことは、貧しいこと・貧相な家に住んでいることを意味するようになりました。
②梁(はり)の上に立てる柱を由来とする説
屋根の骨組みの最上部にある木材のことを、棟木(むなぎ)といいます。
また、柱に対して垂直に配置し、上部からの重みを支える木材のことを、梁といいます。
さらに、梁の上に立ち、棟木を支える短い柱のことを、「梲(うだつ)」といいます。
この説によると、「うだつが上がらない」とは、「梲を立てることができない」ということを表します。
「経済状況が悪く、自分の家の梲すら作れていない」ということから、「うだつが上がらない」が現在のような意味になりました。
③棟木から押さえつけられる様子を由来とする説
「梲(うだつ)」は、棟木を支える存在です。
そのため、「梲」は、棟木から押さえつけられているようにも見えます。
この様子を、上司の圧力により出世できない人に重ねた表現が、「うだつが上がらない」です。
④年中下積みになっている土台の枠を由来とする説
掘井戸など周囲を石で積み上げる時、一番下の土台として組む枠のことも「うだつ」と言います。
この「うだつ」は年中下積みになっていて、上から押さえつけられています。
この様子を、上司の圧力により出世できない人に重ねた表現が、「うだつが上がらない」という説です。
「うだつが上がらない」の類義語
「うだつが上がらない」には以下のような類義語があります。
- 甲斐性(かいしょう)なし:頼りにならない人のこと
- 三年鳴かず飛ばず:長い間何もしないか、これといった結果を出さずに過ごすことのたとえ
- 伸び悩む:思ったほど伸びず、期待より低い水準で停滞すること
- 冴えない:ぱっとせず、面白みに欠けること
- 芽が出ない:幸運が巡って来ず、なかなか成功できないこと
- ろくでなし:のらりくらりしていて役に立たない者
- 三下(さんした):取るに足らない者、下っ端の者
「うだつが上がらない」の対義語
「うだつが上がらない」には以下のような対義語があります。
- 錦(にしき)を飾る:出世・成功をし、故郷に帰ること
- 一花咲かせる:成功し、一時華やかに栄えること
- 立身出世:社会的に高い地位を得て、世に認められること
「うだつが上がらない」の英語訳
「うだつが上がらない」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- He can’t get on in the world.
(彼は成功できない。) - He cannot make any progress.
(彼には、進歩がない。)
“get on in” で「成功する」という意味です。
これに否定の “not” や “cannot” をつけることで「成功しない」「出世できない」といった意味になります。
まとめ
以上、この記事では「うだつが上がらない」について解説しました。
意味 | いつまでたっても出世しないこと |
---|---|
由来 | 一説によると、相応の建築費がかかる防火用の壁を「うだつ」と呼ぶことから |
類義語 | 甲斐性なし |
対義語 | 錦を飾る、一花咲かせるなど |
英語訳 | He can’t get on in the world.(彼は成功できない。) |
「いつまでたっても出世しないこと」「生活が向上しないこと」など、「うだつが上がらない」の意味は幅広いです。
そのため、比較的使い勝手がよいことわざといえるでしょう。
皆さんも、ぜひ1度使ってみてください。