「急がば回れ」の本当の意味とは?類語や英語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、ことわざの「急がば回れ」です。

言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

☆「急がば回れ」をざっくり言うと……

意味急いでいる時は、あわてて近道をするより落ち着いて遠回りをした方がかえって近いということ
由来室町時代の歌人、宗長(そうちょう)が詠んだ「もののふの矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋」より
類義語急がば高火、急いては事を仕損じるなど
対義語鉄は熱いうちに打て、先んずれば人を制すなど
英語訳Make haste slowly.(ゆっくり急げ。)

「急がば回れ」の意味をスッキリ理解!

急がば回れ:急いでいる時は、あわてて近道をするより落ち着いて遠回りをした方が、かえって早く着くということ

「急がば回れ」の意味を詳しく


「急がば回れ」は、急ぐときには、危険な近道をするよりも、遠回りでも安全な道を通る方が結局早いという意味のことわざです。

また、急ぎの仕事は多少時間がかかっても、安全で着実な方法で行う方が失敗を避けられるという戒めでもあります。

さらに、目的を達成するためには急ぐよりも余裕を持って行う方が、かえって運をつかむことがあるという意味でも使われます。

 

急いでいる時は、手っ取り早い方法を選ぼうとしがちです。例としては、急いでるがゆえに慣れない近道を通ろうとすることが挙げられます。

その場合、うまく目的地に辿り着ければ良いですが、道に迷ってしまう可能性もあります。そのため、多少遠回りであっても普段通っている道を行く方が、結局は早く目的地に着くことができるということは十分に考えられます。

同じ意味で、「急げば回る」「急ぐ道は回れ」とも言います。

「急がば回れ」の使い方

  1. 会社に遅れそうだったため裏通りの近道を使っていこうとしたが、やはり急がば回れで普段通りの道を行った方が安全だと判断した。
  2. 彼のやり方は要領が良く早く作業が進んでいる。しかし、私にとっては慣れない方法よりも急がば回れでいつも通りの方法で仕上げた方が早そうだ。

ここで注意したいのは、「急がば回れ」は「ゆっくり行く」という意味ではないということです。たとえば、「人生は長いんだから、のんびり行こう。急がば回れだよ」というように使うのは誤りです。

あくまで、「急いでいるときこそ、回り道でも安全な道を行く方がかえって早く着く」という意味であることに注意しましょう。

「急がば回れ」の由来

「急がば回れ」は、室町時代の歌人、宗長(そうちょう)が詠んだ「もののふの矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田(せた)の長橋」という短歌が語源とされています。

この短歌の舞台は、琵琶湖です。当時の武士が京の都に上る時の様子を表しています。

「もののふ」は「武士」、「矢橋の船」は「矢橋の港から出る船」、「瀬田の長橋」は「瀬田という場所に掛かる橋」を指しています。

 

当時、武士が京の都に上る時、琵琶湖を矢橋の船で渡るのが早いとされていました。しかし、比叡山(ひえいざん)から吹き付ける比叡おろしという風により、転覆する可能性もありました。

この短歌の後半は、「急ぐなら回り道でも瀬田の長橋を歩いて渡った方が安全である」ということを意味しています。

この短歌の「急がば回れ」の部分がことわざとして広まりました。

「急がば回れ」の類義語

「急がば回れ」には以下のような類義語があります。

  • 急がば高火(たかび):急いだ結果、かえって出来が遅くなること
  • 急ぎの文(ふみ)は静かに書け:急ぎのことほど、落ち着いて取り組むべきであるということ
  • 走れば躓(つまづ)く:急いでいる時ほど、失敗しがちであるということ
  • 急いては事を仕損じる:何事も焦るとできるはずのこともし損ねてしまうので、急ぐ時ほど落ち着いて行動するべきだということ

「急がば回れ」の対義語

「急がば回れ」には以下のような対義語があります。

  • 鉄は熱いうちに打て:物事は熱のある時に実行しないと成功しにくいということ
  • 好機逸(いっ)すべからず:物事を行う際の好機は逃すべきではないということ
  • 先んずれば人を制す:何事も人より先に行えば、人より優位に立てるということ

「急がば回れ」の対義語は、このように「迅速に手を打った方がいい結果が得られる」という意味の表現になります。

このほかにも、「急かねば事が間に合わぬ」「巧遅(こうち)は拙速(せっそく)に如(し)かず」などがあります。

「急がば回れ」の英語訳

「急がば回れ」を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • Make haste slowly.
    (ゆっくり急げ。)
  • Slow and steady wins the race.
    (遅くとも着実な者が競走に勝つ。)
  • More haste less speed.
    (急いでいる時ほど、スピードは落ちる。)

まとめ

以上、この記事では「急がば回れ」について解説しました。

意味急いでいる時は、あわてて近道をするより落ち着いて遠回りをした方がかえって近いということ
由来室町時代の歌人、宗長(そうちょう)が詠んだ「もののふの矢橋の船は速けれど急がば回れ瀬田の長橋」より
類義語急がば高火、急いては事を仕損じるなど
対義語鉄は熱いうちに打て、先んずれば人を制すなど
英語訳Make haste slowly.(ゆっくり急げ。)

「急がば回れ」は現代の日常生活でよく使われることわざですが、室町時代の短歌が語源となっていたことが分かりました。

いつの時代もいかなる状況でも、焦ってリスクのある近道を選んで失敗するよりも、余裕を持って安全な方法を選んだ方が得策ということは大いにあるでしょう。