今回ご紹介する言葉は、ことわざの「藪(やぶ)から棒(ぼう)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「藪から棒」をざっくり言うと……
読み方 | 藪(やぶ)から棒(ぼう) |
---|---|
意味 | なんの前触れもなく、突然に物事を行うこと |
由来 | 江戸時代中期の浄瑠璃の『鑓の権三重帷子』の一節より |
類義語 | 寝耳に水、青天の霹靂、足元から鳥が立つなど |
英語訳 | It was a bolt out of the blue.(それは藪から棒だった。) |
「藪から棒」の意味をスッキリ理解!
「藪から棒」の意味を詳しく
「藪から棒」とは、なんの前触れもなく、突然に物事を行うことを意味することわざです。予期していないことが起こる時にも使います。
「藪」とは、草や低木(ていぼく)、もしくは竹がたくさん生えている場所のことです。このことわざでの「棒」とは、誰かが突いてくる棒を意味します。
「藪から棒」は、「藪から棒を突き出す」を省略したものです。
藪では、草や木が多く生えており、暗くてよくものが見えません。その中で急に棒を突き出されると驚いてしまうことから、突然な行動のことを示す言葉として、「藪から棒」が使われるようになりました。
「藪から棒」は、日常ではもちろん、ビジネスのシーンでも使うことができます。自分が言おうとすることが、相手にとって唐突であるかもしれない場合、そのことわりを入れる時に使います。
例えば、「藪から棒で大変失礼致しますが、この案件の見直しをお願いしても宜しいでしょうか。」というように使います。
混同しやすい!「藪から蛇(へび)」との違い
混同しやすい言葉に、「藪から蛇(へび)」というものがあります。言葉は似ていますが、全く別の意味を持ちます。
「藪から蛇」は、自分が余計なことをして、かえって悪い結果を招くことを意味することわざです。
「藪から棒」は、自分は特に何もせずとも突然なことが起こること言います。それに比べて「藪から蛇」は、自分がしたことによって思わぬ悪い結果を導いてしまうことを言います。
「自分で藪をつついたら、蛇が出てきてしまった」というのが、「藪から蛇」の語源です。注意して使い分けましょう。
「藪から棒」の使い方
- 姉の唐突な思いつきは、藪から棒だった。
- Aさんの藪から棒な発言は、周囲を困らせた。
- 取引先の藪から棒な要求に、私たちはこたえようとした。
- 藪から棒に、抜き打ちテストが行われた。
「藪から棒」の由来
「藪から棒」の語源は、江戸時代の中ごろの浄瑠璃(じょうるり)である『鑓(やり)の権三重帷子(ごんざかさねかたびら)』に出てくる一節です。
浄瑠璃とは、日本の伝統芸能の一つで、三味線(しゃみせん)伴奏による語りものです。語りものとは、三味線でテンポをとりながら、音に乗せて語って聴かせる物語のことです。
浄瑠璃の『鑓の権三重帷子』に、「藪から棒と申さうか 寝耳(ねみみ)に水と申さうか」という一節があります。この一節が、「藪から棒」の語源だと言われています。
「藪から棒」の類義語
「藪から棒」には以下のような類義語があります。
- 寝耳(ねみみ)に水:予想もしてないことが起きて驚くこと
- 青天(せいてん)の霹靂(へきれき):予想外なできごとが起こること
- 足元から鳥が立つ:近くで意外なことが突然起きること
- 窓から槍(やり):予期していないときに、突然脅(おどか)かされること
「藪から棒」の英語訳
「藪から棒」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- It was a bolt out of the blue.
(それは藪から棒だった。) - without the slightest notice
(全く知らせなしに)
まとめ
以上、この記事では「藪から棒」について解説しました。
読み方 | 藪(やぶ)から棒(ぼう) |
---|---|
意味 | なんの前触れもなく、突然に物事を行うこと |
由来 | 江戸時代中期の浄瑠璃の『鑓の権三重帷子』の一節より |
類義語 | 寝耳に水、青天の霹靂、足元から鳥が立つなど |
英語訳 | It was a bolt out of the blue.(それは藪から棒だった。) |
「藪から棒」な出来事は、生きていればたくさんあるでしょう。自分が考えてもいなかったことを突かれると、人は少しあせってしまうものです。
そのような突然の出来事が起きた時でも、落ち着いて対応できる人が慕われます。普段から冷静な判断ができるよう心がければ、「藪から棒」な出来事に戸惑うことなく、適切な対応ができるようになるでしょう。