「齟齬」の意味とは?使い方から類語や英語や対義語まで例文付きで解説

言葉

今回ご紹介する言葉は、熟語の「齟齬(そご)」です。

言葉の意味・使い方・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。

「齟齬」の意味をスッキリ理解!

齟齬(そご):意見や物事が上手く一致しないこと

「齟齬」の意味を詳しく

「齟齬」という熟語は、用いられている漢字に注目すると、その意味をより理解しやすくなります。

まず「齟(そ)」は訓読みで、「かむ」や「くいちがう」と読めます。部首に歯へんが使われていることから、「上の歯と下の歯がかみ合わない」という「歯」に関連した意味を持っています。次に「齬(ご)」も同じく「くいちがう」と読めます。

これらの漢字を合わせて、「齟齬」は「意見や物事などがかみ合わない、食い違うこと」を意味しているのです。

 

「かみ合わない」や「食い違う」は、双方が「一致しないこと」を同時に指しています。「齟」の意味にあるように、「上の歯の形と下の歯の形が違うため、ぴったりかみ合わせることができない」という状況をイメージすると意味が想像しやすくなります。

用いられている漢字はどちらも見慣れないものですが、しっかりと意味の由来から理解しましょう。

「齟齬」の使い方

「齟齬」の使い方の例として、以下のような文が挙げられます。

  1. そのデモの参加者の数については、警察側と主催者の間で見解に齟齬があるようだ。
  2. 人気映画の続編のストーリーの進め方を巡ってスタッフの間で意見に齟齬が生じている。
  3. メンバーが一人抜けてしまったせいで、計画に齟齬をきたしてしまった。

上記の例文のように「齟齬」は、~と~の間で「齟齬が生じる」や「齟齬をきたす」という形で使われるのが一般的です。

1つ目の例文では、デモの参加者数が「警察による発表」と「主催者による発表」との間で一致していないさまを「齟齬」で表現しています。

2つ目の例文では、続編映画のストーリーの進め方において「スタッフ達の意見」がかみ合ってないことを「齟齬」と言う熟語で表しています。このように「齟齬」には、「意見が対立している」や「作業が順調に進まない」といったネガティブな意味合いがあるのです。

 

最後の例文では、「計画」と「現状」の間で「食い違い」が起こっていることを「齟齬をきたす」と表現しています。

「きたす」という言葉は「物事を起こらせる」という意味です。ここから分かるように「齟齬をきたす」は、何かが発生することによって「齟齬」ができてしまったという時に使われる言い回しです。この例文の場合、「メンバーが一人抜ける」ということが計画に「齟齬」をきたしています。

また、「友人と齟齬をきたす」と言えば「食い違いからケンカになる」という意味合いでも用いることができます。時と場合によって上手く使い分けましょう。

「齟齬」の類義語

齟齬には以下のような類義語があります。

  • 食い違い:物事や意見が上手く一致しないこと
  • 行(ゆ)き違い:思い通りいかず、食い違いが生まれること
  • 矛盾(むじゅん):ある2つのものが、同時に正しいとは言えないこと
  • 軋轢(あつれき):仲が悪くなること

「齟齬」に用いられている漢字はどちらも常用漢字ではありません。そのため、これらの類義語で言い換えると読む人に分かりやすい文章になるでしょう。

「食い違い」は、「食い違いがある」や「食い違いを生じる」という形で「齟齬」と同じように使える単語です。

「軋轢」は、「軋轢を生じる」という形で不仲を表現するのに使われます。これは、前章で解説した「食い違いからケンカになる」という意味の「齟齬をきたす」と同じように用いることができます。

「齟齬」の対義語

齟齬には以下のような対義語があります。

  • 符合(ふごう):複数の物事がぴったりと合うこと
  • 疎通(そつう):意見などが通じること

「一致する」や「食い違いがない」というのが、「齟齬」の反対の意味です。

「符合」は、「ぴったりと合う」という意味を持つ「齟齬」の対義語です。しるしやマークという意味の「符号」とは違う言葉であるため気を付けましょう。

「疎通」は、主に複数の人の間で「意思」や「意見」が通じることに対して用いられます。例えば、「二人の間に齟齬が生じていたが、実際に会って話すことで意思を疎通することができた」というように使えます。

「齟齬」の英語訳

齟齬を英語に訳すと、次のような表現になります。

  • discrepancy
    (不一致)
  • contradiction
    (矛盾)
  • go wrong
    ((計画などが)狂う)

英語の名詞の形で「齟齬」を表したい場合、最初の2つの英単語を用いると良いでしょう。例えば “There is a discrepancy in between the result and my expectation.” といえば、「結果と私の予想の間で齟齬がある」という意味になります。

「齟齬が生じる」や「齟齬をきたす」などの動詞の形で用いたい場合は、“contradiction” の動詞形である “contradict” や “go wrong” を使いましょう。

例えば、 “go wrong” を “His calculation has gone wrong.” というように用いれば、「彼の計画は齟齬をきたした」という意味を表すことができます。

まとめ

以上、この記事では「齟齬」について解説しました。

読み方齟齬(そご)
意味意見や物事が上手く一致しないこと
類義語食い違い、行き違い、矛盾、軋轢
対義語符合、疎通
英語訳discrepancy(不一致)、contradiction(矛盾)など

「齟齬」という熟語は、あまり日常的な言葉とは言えないでしょう。

いざ使う場面が来た時のために、言葉の意味と使い方をしっかりと理解しておきましょう。