今回ご紹介する言葉は、ことわざの「昔取った杵柄(きねづか)」です。
言葉の意味、使い方、由来、類義語、対義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「昔取った杵柄」をざっくり言うと……
読み方 | 昔取った杵柄(きねづか) |
---|---|
意味 | 若い頃に身につけた技術や腕前のこと |
由来 | 『上方いろはかるた』 |
類義語 | 雀百まで踊り忘れず、昔取った杵柄、三つ子の魂百まで、など |
対義語 | 昔千里の今一理、麒麟も老いては弩馬に劣る、など |
英語訳 | Utilizing one’s experience of former days.(往年の経験を生かす)など |
このページの目次
「昔取った杵柄」の意味をスッキリ理解!
「昔取った杵柄」の意味を詳しく
「昔取った杵柄」には以下の2つの意味があります。
- 若い頃に身につけた技術や腕前
- 一度身についた腕前は衰えない
重さのある杵を操るためには、ある程度の技量が必要です。
「昔取った杵柄」は、少年時代にも餅をついていたように、大人になっても杵を使うことができるということを表したことわざです。
「取った」を「操った」と表記することもあります。
「取った」の意味
「昔取った杵柄」の「取った」は「使った」という意味です。
「杵柄」の意味
「杵柄」とは、「杵」の取っ手の部分のことです。
「杵(きね)」は臼(うす)に入れた餅(もち)をつくための道具です。
「杵」は昔は餅つき以外にも、収穫した穀物を脱穀して精製するための道具としても使われていました。
「昔取った杵柄」の使い方
- さすがに昔取った杵柄だな。まだまだ衰えていない。
- 昔よく友達とサッカーをしていたんで、昔取った杵柄ですよ。
「昔取った杵柄」は①の例文のように、人をほめる時に用いることが多いです。
②の例文のように、謙遜の意味で用いられることもあります。
「昔取った杵柄」はポジティブな意味の言葉ですが、目上の人には用いないほうが無難です。
意味を深読みして嫌味だと思われてしまう場合もあるからです。
そもそも、目上の人を評価すること自体が失礼と思う人もいます。
「昔取った杵柄」の由来
「昔取った杵柄」の由来は『上方いろはかるた』だとされています。
『上方いろはかるた』の一句に「昔取った杵柄」があるのです。
「昔取った杵柄」の類義語
「昔取った杵柄」には以下のような類義語があります。
- 雀(すずめ)百まで踊り忘れず:人が幼い時に身に着けた習慣は年を取っても直らない
- 昔の勘を取り戻す:かつての技能や能力を取り戻すこと
- 三つ子の魂百まで:幼い頃の性格は年を取っても変わらない
- 亀の甲(こう)より年の功(こう):長年の経験は貴重であること
- 年は薬:年を取って経験を積むこと、その力
- 年季を入れる:長い間その仕事の腕を磨くこと
- 頭はげても浮気はやまぬ:年を取っても色気がなくならず、浮気はおさまらないこと
- 老いたる馬は路(みち)を忘れず:経験を積んだものは進む道を誤らないこと
「昔取った杵柄」と「雀百まで踊り忘れず」の違い
「雀百まで踊り忘れず」は「人が幼い時に身に着けた習慣は年を取っても直らない」という意味です。
「昔取った杵柄」と「雀百まで踊り忘れず」には以下のような違いがあります。
- 昔取った杵柄:ポジティブなニュアンスで用いられる
- 雀百まで踊り忘れず:ネガティブなニュアンスで用いられる
「昔取った杵柄」も「雀百まで踊り忘れず」も「若い時に身に着けた技術・習慣」のことを表します。
しかし、「昔取った杵柄」はこれを「今でも衰えていない」とポジティブにとらえています。
一方、「雀百まで踊り忘れず」はこれを「くせが抜けない」とネガティブにとらえています。
「昔取った杵柄」の対義語
「昔取った杵柄」には以下のような対義語があります。
- 昔千里の今一理:優れた技能を持っていた人でも、歳を取ってしまえば劣ってしまうこと
- 麒麟(きりん)も老いては弩馬(どば)に劣(おと)る:どんなに優れた才能を持っていた人でも、歳を取ってしまうと凡人にも及ばなくなること
- 昔の剣今の菜刀(ながたな):若い頃は有能だった人も年を取ると役に立たなくなること
- 年は争えない:歳を取るとからだと衰えには勝てない
- 色褪せる:衰える
- 老いらく:年老いること
- 凋落(ちょうらく):衰え・落ちぶれること
- 衰萎(すいい):衰えて小さくなること
- 鈍る:働きが弱まること
「昔取った杵柄」の英語訳
「昔取った杵柄」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Utilizing one’s experience of former days.
(往年の経験を生かす) - old hand
(熟練者) - The skills he learned when he was young hasn’t got rusty.
(若い頃学んだ技術は衰えない) - using my experience from the past
(過去の経験を生かす)
まとめ
以上、この記事では「昔取った杵柄」について解説しました。
読み方 | 昔取った杵柄(きねづか) |
---|---|
意味 | 若い頃に身につけた技術や腕前のこと |
由来 | 『上方いろはかるた』 |
類義語 | 雀百まで踊り忘れず、昔取った杵柄、三つ子の魂百まで、など |
対義語 | 昔千里の今一理、麒麟も老いては弩馬に劣る、など |
英語訳 | Utilizing one’s experience of former days.(往年の経験を生かす)など |
「昔取った杵柄」ということわざから、若い時の経験は、歳をとっても活かせるということがわかります。