今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「二人三脚(ににんさんきゃく)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「二人三脚」をざっくり言うと……
読み方 | 二人三脚(ににんさんきゃく) |
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意味 | 2人で足並みをそろえて物事に取り組むこと |
由来 | 二人三脚という競技から |
類義語 | 共栄共存、表裏一体など |
英語訳 | working together(一緒に働く) |
「二人三脚」の意味をスッキリ理解!
「二人三脚」の意味を詳しく
「二人三脚」は、2人が息を揃えて何か物事に対して協力的に取り組むことです。
2人でなぜ三脚なのかというと、2人が横並びになったときに真ん中の足を1つに縛るからです。そのため、他人から見たときに本来ならば4本の足があるはずですが、3本の足にみえてしまうため三脚になります。
まっすぐ前に歩くとき、1人ならば足を交互に前に出せば、自然と前に歩くことができます。しかしならば「二人三脚」の場合、簡単ではありません。真ん中の足をタイミングを揃えて前に出さなければ前に進まないからです。
こうした背景があるので、「二人三脚」は2人が息を揃えて物事に取り組むことという意味になるのです。
「二人三脚」の使い方
- 夫婦は二人三脚で生活してきた。
- 社長と副社長の二人三脚のコミュニケーションが成功の秘訣だ。
- 授業のペアワークは二人三脚で頑張ってきた。
「二人三脚」は2人が協力的な関係にあり、物事が上手く進むときに使われます。例えば恋愛やビジネスなどです。
①の例文は、夫婦関係に関する例文です。ある2人が何かに対して頑張ることをイメージするとき、誰もがイメージしやすいのは夫婦関係です。夫婦関係は信頼で成り立っています。
家計の収入を2人で支えることはもちろん、支出に関しても2人で相談することは重要です。妻か夫が稼いできたお金をどちらかが何も気にせずに浪費してしまうと、大変なことになります。
他にも、子どもの教育費やマイホーム購入など、2人で協力して推し進める場面がとても多いです。こうした協力関係にある夫婦について、「二人三脚である」と言い表すことができるのです。
②の例文はビジネスに関する例文です。ビジネスで重要なのは、信頼関係です。大企業では多くの人が努力して大きな結果を出していますが、トップで指示する人も信頼関係にいないといません。
例えば、社長と副社長です。トップに立って数十年先の未来を考える社長と現実的な問題を考える副社長が相互に信頼し合っているのは理想です。
様々な問題が起こったときに迅速な対応ができたり、今後の戦略を立てたりするのに優れているからです。こういったビジネス上の信頼関係についても、「二人三脚」を使えるので覚えておきましょう。
③は、学校のクラスに関する例文です。授業ではペアワークなどのワークショップで2人組になる機会が多いです。例えば英語の授業で対話分の読み上げです。
2人がぴったり息を揃えてセリフを読み上げなければなりません。「二人三脚」の信頼性が重要なのです。ペアワークの授業は「二人三脚」の信頼性が重要です。
こうしたペアワークの授業は年々増加しているので、「二人三脚」の単語もこれに伴って使用されることが多くなります。
「二人三脚」の由来
「二人三脚」は、元々2人で信頼し合いながら何か物事を進めるという意味ではありませんでした。
運動会などで「二人三脚」という競技を聞いたことがあるでしょう。2人組で片足を縛りながら、ゴールへ走る競技です。この競技が元で、今のように信頼関係を意味する四字熟語になったのです。
いかに速く走るのかというのも、2人が息を揃えることにかかっています。「1,2」と声を掛けながら走る「二人三脚」の競技が由来になっているのです。
「二人三脚」の類義語
「二人三脚」には以下のような類義語があります。
「共存共栄」は、お互いに敵対することなく助け合い、繁栄することです。共に共存しつつ、共に栄えるという意味です。たとえば、「中国は米国と共存共栄の世界を望んでいる」のように使用します。
この例文のように、世界の国々の関係を表すときによく使用する四字熟語です。
「共存共栄」は、ともに信頼しあって利益を得るという意味では「二人三脚」と共通しています。
しかしながら、「二人三脚」は2人の間の親密な関係を表しているのに対して、「共存共栄」は2人以上の場合にも用いることが可能なのです。
例えば、「この村では人々が共存共栄している」と言いたい場合です。
また、「二人三脚」よりも「共存共栄」のほうが、生死に関わるようなニュアンスが強いです。さらに、「二人三脚」は助け合う関係だけですが、「共存共栄」では助け合いながら生きるという意味が使いされます。この違いを理解して使用しましょう。
「表裏一体」は、2つのものの関係が、表面と裏面のようにくっついて離れない状況を意味しています。つまり密接な関係で相互依存の高い関係を意味しています。
しかしながら、「二人三脚」のように「2人が信頼し合っている」という前提条件がありません。利益を共有しているけれども、信頼はし合っていないという場合が「表裏一体」です。
例えば、石油を輸入している国と輸出している国の関係は表裏一体であるというように使います。どちらも利益のために貿易しているだけなので、密接な信頼関係があるとは限らないのです。
「二人三脚」の英語訳
「二人三脚」を英語に訳すと、次のような表現になります。
- working together
(一緒に行う)
「二人三脚」を英語にした場合、直訳することは不可能です。なぜならば、2人で力を合わせるという考え方がないからです。
英語圏にも運動会の「二人三脚」のレースはあります。しかし、それは “three-legged race” と呼び、「2人」とは明確に表記されません。ただ「3脚レース」と書かれるだけです。日本語の「二人三脚」は、レースと慣用句で使われますが英語は違います。
ですから、もし、協力して何かを行うと言いたい時には、 “working together” と言わないといけないのです。
“work” は働くという意味ですが、ここでは仕事という意味ではありません。何かを実施するという幅広い意味での働くです。そして共同で一緒にという意味に当たるのが、 “together” です。
“working together” は非常に覚えやすく、使いやすいのでぜひ試してみてください。「共存共栄」のように、2人以上の関係を表すときに使えます。
もし2人が二人三脚の関係であると言いたいときには、冒頭の主語の部分に “he and she” など人を挿入するとよいでしょう。
まとめ
以上、この記事では「二人三脚」について解説しました。
読み方 | 二人三脚(ににんさんきゃく) |
---|---|
意味 | 2人で足並みをそろえて物事に取り組むこと |
由来 | 二人三脚という競技から |
類義語 | 共栄共存、表裏一体など |
英語訳 | working together(一緒に働く) |
「二人三脚」は2人の間柄を表すときに便利な四字熟語です。日常生活でも使う頻度は多い四字熟語です。競技の二人三脚以外にも意味があるということは頭に入れておきましょう。
実際の使われている場面で、意味がわからなければ困ってしまいます。ぜひともこの記事で、そういったことがないように使い方や用法をしっかりと覚えるといいですね。