今回ご紹介する言葉は、四字熟語の「臨機応変(りんきおうへん)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・対義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「臨機応変」をざっくり言うと……
読み方 | 臨機応変(りんきおうへん) |
---|---|
意味 | その場その時の状況の変化に合わせた対応をすること |
由来 | 古代中国で司令官が「自身で状況に応じて敵を制すことができる」と言ったエピソードから |
類義語 | 柔軟、ケースバイケース、当意即妙など |
対義語 | 杓子定規、四角四面、頑固など |
英語訳 | “act according to circumstances” (状況に応じて行動する)など |
このページの目次
「臨機応変」の意味をスッキリ理解!
「臨機応変」の意味を詳しく
「臨機応変」は「変化する状況に直面し、それに応じて対応する」という意味です。
型やマニュアルにとらわれず、その場に応じて適切な行動をすることを指します。
「臨機応変」は、それぞれの漢字の意味に注目するとより意味が理解しやすくなります。
それぞれの漢字の意味は以下のとおりです。
- 臨:状況に直面する
- 機:あることが発生するきっかけ
- 応:ふさわしい
- 変:変わる
これら4つの漢字を組み合わせて、「臨機応変」は「発生した状況にふさわしく変化する」という意味になっているのです。
ちなみに、「臨機」「応変」はそれぞれ単独で「場に応じた対応をすること」を意味する熟語として用いることができます。
「臨機応変」の使い方
- イベント中にトラブルが発生してしまった。しかし、その場にいたスタッフが臨機応変に行動したため、問題なくイベントを進行することができた。
- 明日が本番ですが、今日のミーティングで決まらなかった点については、臨機応変にやりましょう。
- 子供から高齢者まで年齢に合わせた対応を行ったところ、臨機応変な対応力をほめてもらった。
これらの例文にもあるように、「臨機応変」はマニュアルにはないような状況が発生した際に、自主的に状況を把握して最善の対策を取るという行動を表します。
通常とは異なる変わった状況に対して、柔軟な対応をした人に対する褒め言葉としても用いることができます。
「臨機応変」の由来
「臨機応変」の由来は、中国の歴史書である『南史』にさかのぼります。
当時存在した梁(りょう)という国に、蕭明(しょうめい)という司令官がいました。
梁がある国を攻めている時、ついに敵を取り囲んだのですが、軍を率いていた蕭明はしばらく特に動きを見せませんでした。
焦った部下たちは、蕭明に対して次に取るべき行動についてアドバイスをします。
すると、蕭明は「吾自ら機に臨みて変を制す。多言する勿れ(自分自身で事態に臨んで、変化に応じて敵を制するから、余計なことを言うな)」と言いました。
現代ではよく褒め言葉として使われますが、怒った将軍の一言が元々の由来だったのですね。
「臨機応変」の類義語
臨機応変には以下のような類義語があります。
- 柔軟(じゅうなん):やわらかくしなやかなさま
- ケースバイケース:状況に応じて問題を処理すること
- 当意即妙(とういそくみょう):気を利かせて状況の変化に対応すること
- 量体裁衣(りょうたいさいい):現実の状態に合わせて、物事に対応すること
- 当機立断(とうきりつだん):時期を捉えて、すぐさま決断を下すこと
- 変幻自在(へんげんじざい):自由自在に変化すること
- 融通無碍(ゆうずうむげ):行動や考えに何の障害もなくのびのびしていること
「臨機応変」と「柔軟」の違い
「臨機応変」と「柔軟」には以下のような違いがあります。
- 臨機応変:自分の行動範囲内の変化に対応して対処する
- 柔軟:広い範囲の状況や環境に対応・対処する
「柔軟」のほうが「臨機応変」よりも対処できる範囲が広いのです。
人のほめる時には「柔軟」という言葉を用いたほうが、より良い褒め言葉になるでしょう。
「臨機応変」と「ケースバイケース」の違い
「臨機応変」と「ケースバイケース」には以下のような違いがあります。
- 臨機応変:時と場合に応じて自分で考えて対応する
- ケースバイケース:時と場合に応じて、あらかじめ定められている異なる対応をする
「臨機応変」は接客業などで使われることが多く、その場で自分で考えて対応するというニュアンスです。
一方、「ケースバイケース」はあらかじめ、場合別にどう対処すべきかが定められていて、場合に応じて異なる方法で対処することを指します。
また、「臨機応変」の場合、できごとが発生してからそれに対応するまでの時間は短いです。
一方、「ケースバイケース」ではできごとが発生してからそれに対応するまでには少し時間的な余裕があることが多いです。
「臨機応変」の対義語
臨機応変には以下のような対義語があります。
- 杓子定規(しゃくしじょうぎ):状況の変化に関わらず、ひとつの考え方を押し通すこと
- 四角四面(しかくしめん):考え方や態度が堅苦しいこと
- 頑固(がんこ):かたくなでなかなか自分の考えや態度を改めようとしないこと
「杓子定規」の意味
「杓子定規」は「状況の変化に関わらず、ひとつの考え方を押し通すこと」という意味です。
「杓子」は、お米をすくうのに使う「しゃもじ」のことです。
「杓子定規」はそんなしゃもじを定規にして長さを測る様子を表しています。「杓子」を長さを測るのには向いていないことは明らかですね。
「杓子定規」は、このように状況に対して適切でない対応をすることすることを表しているのです。
「臨機応変」の英語訳
臨機応変を英語に訳すと、次のような表現になります。
- flexible
(柔軟な) - act according to circumstances
(状況に応じて行動する) - play it by ear
(その場で考える) - Circumstances alter cases.
(事情に応じて話が違ってくる)
まとめ
以上、この記事では「臨機応変」について解説しました。
読み方 | 臨機応変(りんきおうへん) |
---|---|
意味 | その場その時の状況の変化に合わせた対応をすること |
由来 | 古代中国で司令官が「自身で状況に応じて敵を制すことができる」と言ったエピソードから |
類義語 | 柔軟、ケースバイケース、当意即妙など |
対義語 | 杓子定規、四角四面、頑固など |
英語訳 | “act according to circumstances” (状況に応じて行動する)など |
臨機応変に動くことのできる力は、緊急事態に限らず日常的にもとても役に立つスキルです。
柔軟な頭で適切な対応ができるような人を目指したいものですね。