今回ご紹介する言葉は、四字熟語「万死一生(ばんしいっしょう)」です。
言葉の意味・使い方・由来・類義語・英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「万死一生」をざっくり言うと……
読み方 | 万死一生(ばんしいっしょう) |
---|---|
意味 | 危険な状態で覚悟を決めること、その状態からかろうじて助かること |
由来 | 『史記』『貞観政要』 |
類義語 | 危機一髪、九死一生など |
英語訳 | Have a narrow escape(危ないところからかろうじて逃れる) |
「万死一生」の意味をスッキリ理解!
「万死一生」の意味を詳しく
万死一生は「ばんしいっせい」とも読みます。万死一生には、2つの意味があります。
一つ目は、「ほとんど助かる見込みのない危険な状態で必死の覚悟を決めること」という意味です。二つ目は、「危険な状態からかろうじて助かること」という意味です。
「万死」とは、万に一つも生き延びる希望を持てないほど、ほとんど助かる見込みのないことを指します。
しかし、現代的な意味では必ずしも生死に関わる場面のみで使われるわけではありません。「身に迫る危険」という意味で使われます。
「万死一生」の使い方
- 自転車に乗っていると、猛スピードで走る車と危うくぶつかりそうになり、万死一生だった。
- 自然災害による影響で、人々は万死一生の思いで避難所まで逃げてきた。
- 明日の試験のために勉強を始めたが、終わりそうにない。万死一生だ。
①の例文では、加速している自動車と衝突しかけたけれど、ぎりぎりのところで危険を避けることができたことがわかります。
②の例文では、自然災害による命の危険を感じながらも、命からがら、人々が避難所までたどり着けた様子がわかります。
③の例文では、ほとんど不合格を避けがたい状態で、試験に対して必死の覚悟を決めている様子がわかります。
「万死一生」の由来
1つ目と2つ目の意味には、それぞれ異なる由来があります。
『史記』の「陳余伝(ちんよでん)」の中に、「万死に一生を顧かえりみず」という文があります。これが、1つ目の意味「ほとんど助かる見込みのない危険な状態で必死の覚悟を決めること」の由来です。
『史記』とは、中国の歴史家である司馬遷(しばせん)によって書かれた歴史書です。
次に、『貞観政要(じょうがんせいよう)』の「君道(くんどう)」の中に「万死を出いでて一生に遇あう」と「万死に一生を得う」という文があります。
これらが、2つ目の意味「危険な状態からかろうじて助かること」の由来です。
『貞観政要』とは、中国の唐の時代に、天皇とその部下が話した内容や成した出来事を記録し、その後の政治の方法の参考になった本です。
「万死一生」の類義語
万死一生には以下のような類義語があります。
- 危機一髪(ききいっぱつ):ひとつ間違えば、非常な危険に陥いる瀬戸際のこと
- 九死一生(きゅうしいっしょう):危ういところで奇跡的に助かること
どちらも助かることが前提で使われる四字熟語です。「必死の覚悟を決める」という、万死一生の2つ目の意味は含まれていません。
「万死一生」の英語訳
万死一生を英語に訳すと、次のような表現になります。
- Have a narrow escape
(危ないところからかろうじて逃れる)
まとめ
以上、この記事では「万死一生」について解説しました。
読み方 | 万死一生(ばんしいっしょう) |
---|---|
意味 | 危険な状態で覚悟を決めること、その状態からかろうじて助かること |
由来 | 『史記』『貞観政要』 |
類義語 | 危機一髪、九死一生など |
英語訳 | Have a narrow escape(危ないところからかろうじて逃れる) |
以上から、万死一生には「覚悟を決めること」「危険から逃れること」の2つの意味、そしてそれぞれに由来があることがわかりました。
この四字熟語を使うことで、切迫感がより一層伝わりやすくなりますね。