今回ご紹介する言葉は、ことわざの「阿吽の呼吸(あうんのこきゅう)」です。
意味、例文、由来、類義語、英語訳についてわかりやすく解説します。
☆「阿吽の呼吸」をざっくり言うと……
読み方 | 阿吽の呼吸(あうんのこきゅう) |
---|---|
意味 | 共に一つのことをする時に、お互いの呼吸がぴったり合い気持ちが一つになること |
由来 | サンスクリットで、「阿」は吸う息、「吽」は吐く息を表現したもの |
類義語 | 以心伝心、暗黙の了解、目は口ほどに物を言う |
英語訳 | Breathing of Aun.(阿吽の呼吸) |
「阿吽の呼吸」の意味をスッキリ理解!
「阿吽の呼吸」の意味を詳しく
「阿吽の呼吸」とは、共に一つのことをする時に、お互いの呼吸がぴったり合い、気持ちが一つになることです。絶妙にニュアンスや調子がぴったり合うことを言います。
例えば、夜6時頃の、非常に忙しい時間帯の飲食店ホールスタッフ(※)を想像してみてください。
次々に来店するお客さんを裁くのは大変ですよね。無線で情報共有する場合もありますが、無線で常に情報を飛ばしているのでは間に合わないことがあります。
言われたことだけやるのではなく、無線を使わなくても他のスタッフの仕事に気を配り、先回りをすることが出来れば、仕事全体が効率よく進みます。まさにこれが「阿吽の呼吸」です。
- ホールスタッフ(※):接客係として注文をとったり、下げたりする役割のスタッフのこと。
「阿吽の呼吸」の例文
- あの二人は何も言わなくても意思疎通できる、まさに阿吽の呼吸だね。
- 彼女とは阿吽の呼吸で仕事がこなせる。
「阿吽の呼吸」の由来
実は「阿」と「吽」は、日本語ではありません。
「阿」は、インドの古典語(サンスクリット)の口を開いて発する最初の音です。
「吽」は、インドの古典語(サンスクリット)の口を閉じて発する最後の音です。
口を開閉するという行為は、生まれてから死ぬまで、幾度(いくど)となく繰り返す行為です。口を開けなければ口を閉じることができません。逆に、口を閉じなければ口を開けることはできません。このことから、「阿吽」は、最初と最後がぴったりと合うことを表現しています。
口を開閉する行為、すなわち「阿」と「吽」は、宗教や習わしに反映されています。
例えば、大きな寺院にある金剛力士像(こんごうりきしぞう)は、阿形(あぎょう)と吽形(うんぎょう)が、対になっています。これは、仏教の始まりと終わりを表しています。
神社にある狛犬(こまいぬ)や、シーサーも同じです。どちらも、口が開いた動物と口を閉じた動物が対になっています。
ちなみに、「阿」は吸う息、「吽」は吐く息を表している、という解釈の仕方もあります。これも、生まれてから死ぬまでずっと続く行為です。このことから、「万物の根源」という意味もあります。
「阿吽の呼吸」の類義語
「阿吽の呼吸」には、以下のような類義語があります。
- 以心伝心:無言で心が通じ合うこと
- 暗黙の了解:何も言わずして、相手の理解や納得が得られること
- 目は口ほどに物を言う:気持ちがこもっている目つきは、言葉にすることと同じくらい説得力がある、ということ
「阿吽の呼吸」の英語訳
「阿吽の呼吸」を英語に直訳すると、次のような表現になります。
- Breathing of Aun.
(阿吽の呼吸)
英語には、「阿吽の呼吸」に対応する表現がありません。
アジア人は、相手の感情や周囲を探りながら会話をする傾向があります。一方で、欧米人は、相手が発した言葉をそのまま受け取り、はっきりと言ったことのみを理解する傾向があります。
つまり、欧米人に「阿吽の呼吸」は通用しないことが多いです。
このような文化の違いがあるため、対応する表現がないと考えられています。
まとめ
以上、この記事では「阿吽の呼吸」について解説しました。
読み方 | 阿吽の呼吸(あうんのこきゅう) |
---|---|
意味 | 共に一つのことをする時に、お互いの呼吸がぴったり合い気持ちが一つになること |
由来 | サンスクリットで、「阿」は吸う息、「吽」は吐く息を表現したもの |
類義語 | 以心伝心、暗黙の了解、目は口ほどに物を言う |
英語訳 | Breathing of Aun.(阿吽の呼吸) |
「阿吽の呼吸」とは、日本人の習慣や習性にぴったりの言葉ですね。